その後、しばらくして完成したものも送りますね、と送られてきた写真を見て、びっくり仰天!
なんと、六芒星ではないですか!
六芒星ということは、何かあるな、と調べて始めたらあまりにも奥が深くて正直驚いています。
六芒星。この形は正三角形を上下に重ねた星型の形のことで、日本では古くから籠目紋(かごめもん)と呼ばれてきました。でも、なぜ籠目紋なのか。それは竹ひごで編んだ籠の目の形が正六角形をしているからなのです。
籠を編むという歴史を紐解くと、縄文時代、それも草創期まで遡ります。種子島で出土した土器の底にその痕跡が見つかったもので、遺跡から出土した炭化材などの放射性炭素年代測定すると、約13500年前のものなのだとか。
そして、後に籠目と呼ばれ六芒星となる編み方「六つ目編み」の竹籠は、およそ8000年前の縄文前期のものが佐賀にある東名遺跡という湿地から見つかっています。
古墳時代には「籠目紋土器」と呼ばれる、六つ目編みの籠目のみを土器の下につける土器が幾つも出土していますが、呪具として使われていたのではないかと推測されています。
平安時代以後、陰陽道の影響で五芒星や六芒星の形そのものが邪なものを払う力があるとされ、魔除けの記しとして使われていますが、それ以前からこの六芒星である籠目紋は、既に呪術的な意味を持っていたことがわかります。
後に五角形の五芒星は仏教と結びつき、六芒星は神道で使われてるようになりました。
神社には魔除けや聖域を守る結界として六芒星を使っているところもあり、元伊勢と呼ばれる丹後國一之宮 籠神社の文様もこの六芒星、籠目紋が使われています。
家紋としての籠目紋は、これ。
因みに伊勢神宮の灯籠にも籠目紋を見ることができます。
また、奈良の天河天社の御神宝『五十鈴』も金と銀の2つの五十鈴が六芒星の形で吊れており、鈴緒を振り鳴らすことで、一つの音霊となります。
更に、平安以後、陰陽道の影響もあり、六芒星の形と共に籠目模様の隙間も「目」であると捉えられるようになりました。物の怪のや邪気、悪霊といった悪い類いは「凝視」されることを嫌うということから、この六芒星の籠は目籠とも呼ばれるようになります。目籠は、魔除として家の玄関に吊るしたり、目籠そのものが無くても籠目紋にもチカラがあるとされ、お札を玄関先に貼るという風習も生まれました。
ケチャップで有名なカゴメも、この籠目からつけたのだとか。カメラのキャノンが観音からきていると知った時と同じぐらい、驚きました。
そして、六芒星の星型「籠目」が魔除けなのに対し、神様の依代とされるのが『髭籠(ひげこ)』です。これは、同じ正六角形の形がどこまでも広がる平面を作ることができることから、永遠を意味しています。六つ目編みの竹籠を編み上げて、編みっ放しにして、竹の末端が髭のように残ることからこの様に呼ばれているのです。
つまり六芒星となる籠目編みの平面籠は、霊的な祓いと共に、聖なる依代ともなる、呪術的なものだったのです。
なんとも奥深い竹籠の世界。
ワークショップでは、「六芒星」に仕上げることも「髭籠」に仕上げることもできます。
10月9日(金)10月10日(土)
どちらも先着8名(密にならないよう人数限定です)
午前10時~12時までです。
会場:東京谷中「天'sSPACE」
参加費は材料費込で3800円(税別)です。
『竹と対話し 竹を編む』
大分の竹ひごで作る 六つ目編み
詳細は
『野中たんぽぽの世界 ~竹細工から一閑張りまで~』
http://www.office-ten.net/tanpopo.html