熊野三山奉納公演『能舞』では、総合プロデューサーというのが、私の立ち位置でした。
能の専門家でもない私が、このようなカタチで関わらせていただくことになろうとは、想像すらしていないことでした。
そもそもプロデューサーとは一体何をする者なのか。
一般的には、企画、予算、人材、スケジュールなど、制作プロジェクトのすべての側面を統括し責任を負う役割…ということになりますが、
平たく説明すると、
①「素晴らしい!」と純粋に思える何か(又は人)とであい②こんな風に世の中に繋げたら素敵だろうな!というビジョンを思い描き③その為にはこうしたら良いのではないかな?というアイデアを思い浮かべ④アイデアを実行に移す為の段取りを全て整え実行し⑤ビジョン通り、またはそれ以上の成果を果たす、ということかと思います。
プロデューサーとしてのお仕事の中心は、④からで…更に、
今回、ビジョン以上の成果を果たしたかどうかは神のみぞ知るところでありますが、後々、また何かに繋がっていくのではないかとは思います。
ただ、やはり、今回、日本を代表する古典伝統芸能である能楽の芸を極められ、またお人柄も大変素晴らしい、シテ方観世流能楽師、鈴木啓吾さんとの出会いはとても大きいものでした。
(根津・ハミングバードカフェでの能登支援イベントで)
また、鈴木さんの奥様、秀子さんにもどれほどお世話になったことでしょうか。その昔、出版社の編集のお仕事をされていたとのことで、パンフレットは全てお任せした他、関係各所へ共に出向いたり、本来なら私が一人で頑張らなければならない協賛の取り付けなども一緒に動いてくださり、本当にありがたかったです。
秀子さんのチャーミングな姿をご紹介したかったのですが、写真はNGとのことで、
お二人の仲睦まじい後ろ姿だけ。
またTENのスタッフ浅井は、今回実行委員会の事務局を一手に引き受けてくれただけではなく、本来なら私がやらなくてはならない会社の多くの仕事も任せることになり、かなりの負担をかけたと思うのですが、終始笑顔で乗り切ってくれました。
他にも協賛してくださった企業や個人の皆様や特に特別協賛ということで、全ての正式参拝やご祈祷も含め同行ツアーに参加くださった皆様。同行ツアーのバス手配からアテンドまで全て引き受けてくださった、高野観光サービスの高野さん、各行政関係の皆様、様々なカタチでサポートしてくれた熊野在住の友人たちの存在も大きく、感謝の気持ちでいっぱいです。
今回、私は表舞台にも登場させていただいたのですが、三山それぞれのイメージに合わせた衣装を、舞台衣装作家のkuuさんが作ってくださいました。
kuuさんは当日の衣装担当として、また現場スタッフとして支えてくださり、
(『能舞』那智の滝前で)
(熊野速玉大社『能舞』本番直前 kuuさんチェック中)
(本宮大社・大斎原にてホッと一息)
心強い限りでした。
また、これまでも私が様々なイベントなどを開催する度、当日スタッフとして東京から手伝いに来てくれた友人たちの存在も大きく、今回、会場設置から受付、同行者のサポートなど八面六臂の活躍をしてくれたことも有り難く…。
(心強いスタッフの面々)
最終日三山でのご奉納を終えた夜、軽く打ち上げをしました。
この日「皆さんの打ち上げで飲んでください」と熊野本宮大社の九鬼宮司様より『やたがらす』のお酒をいただき、
熊野の神の遣い、八咫烏。なんてありがたいことでしょう。隅々までのお心遣いに感謝です。
そして奉納全てを終えた早朝。
川湯温泉の露天風呂に入り幸せに浸っていたら、大きな虹がかかってきて、
まるで神様からの祝福の様に感じたのですが、あいにく露天風呂の中。携帯などあるわけもなく…。
と、そんなところに、那智と本宮での『能舞』奉納を見届ける為、わざわざ東京から熊野へ来てくれた、大好きな友人であり日本屈指の絵馬師である、永崎ひまるさんが、その虹の写真を送ってくださったのです。
(撮影 永崎ひまるさん)
(那智の滝の前で、永崎ひまるさんと)
那智でひまるさんの姿が見えた時にも嬉しかったのですが、翌日、本宮・大斎原での雨による諸々準備変更の時には、スタッフと共に動いてくれたこともありがたく…。
友達ってありがたい存在ですね。
そして、『能舞』の奉納が終わっておよそ2週間後。
私は再び熊野へと向かいました。
4月13日〜15日は毎年熊野本宮大社さんの例大祭が行われるのですが、今年は15日のみ参列させていただきました。
もう、かれこれ20年以上ずっと通わせていただいてい|る例大祭ですが、今回、ありがたいことに宮司様から表彰していただき、感謝状をいただきました。
もちろん、能を奉納された鈴木さんもいただいたのですが、
総合プロデュースとして表彰いただけたことは、この上なく嬉しいことです。
賞状と共にいただいたのは、
記念のタテ。
名前が入った世界に一つだけのタテは、生涯の宝物となりました。
熊野の神様とは、本当に長いお付き合いになりますが(笑)、まるで父親のような神様だな、と感じることがあります。
細かなことはイチイチいうことはないけれど、ガツンと怒られるこもあり、でも、どこかで成長を見守ってくれている様な安心感もあって。
熊野の神様がやりなさい、と言っているのだから、きっと出来るだろう…。だから自分を信じようという気持ちにもさせられます。
これからも、精進して自分にできる精一杯をしていこうと思います。
完