シニアに頼るのは花だけでなくNHKも朝日新聞も | 宇田 明の『まだまだ言います』

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宇田 明が『ウダウダ言います』に引き続き、花産業のお役に立つ情報を『まだまだ』発信します。

今回のお題は、

またまた「花産業が頼るべきはシニア」についてです。

花産業は、

先細りが予想される物日・仏花・シニアに頼っていることは耳にタコができるぐらい述べてきました。

2019年11月10日「先細りする物日・仏花・シニアに頼らざるを得ない花産業」
https://ameblo.jp/awaji-u/entry-12543960245.html

若い世代は切り花や鉢ものを買ってくれない。
買ってくれるのは、60歳代、70歳以上のシニアばかり。

若者が買ってくれないといって悲観することはありません。
すべての年代から支持されることは理想ですが、
商いの神髄は、

「岩盤支持者=お客さま」を取りこぼさないこと。
トランプ大統領を見ればわかる。
アメリカファーストといいながら、全アメリカ国民のことは考えていない。
4割の岩盤支持者が喜べば再選できる。
花にはシニアという岩盤支持者がいる。
若者はいつまでも若者でいられるわけではない。
年を重ね、シニアになれば花や緑を楽しむ余裕ができる。

若い世代が花を買わないことを、それほど悲観しなくてもよいのかもしれません。


シニアに支えられているのは花産業だけの特徴ではありません。
新聞もしかり、NHKもしかり。

家計調査を見てみましょう。


図1 世帯主の年代別 新聞代、NHK受信料支出金額(総務省家計調査2018)

   以下の図とも構成員二人以上世帯(単身者は含まれていない)

 

若い世代は、

新聞を読まないから購読もしない。
毎朝、

新聞が届いているのが当たり前と思っているのはシニア世代。
年間の新聞代支出は、

29歳以下では2,877円にすぎないが、70歳以上では38,543円。
ほぼすべてのシニア世代は新聞を購読。
すなわち、新聞の岩盤支持者はシニア。

深刻なのことは、

新聞を読む習慣がない若者がシニアになったとき、新聞を読む可能性はきわめて低いということ。

そこが花とちがう。
高度な知識人が集まる朝日新聞や読売新聞は、将来をどう考えているのでしょうか。
すくなくとも紙媒体は消滅する運命でしょう。


シニアに支えられているのはNHKもおなじ。
若者はテレビを見ない(らしい)。
当然、受信料を払わない。
受信料をきっちり支払っているのは60歳代以上のシニアだけのようです。
NHKは受信料で成りたっている放送局。
そうすると、ほとんどの世帯が受信料を払い、しかも後述するように他の世代より世帯数が多いシニアが最大のお客さま。
シニアに見放されたらNHKは経営ができない。

シニアは演歌と考えると、それもちがう。

月刊誌、週刊誌などの雑誌を電車内で読んでいるのを見かけなくなりました(私自身は電車にめったに乗らないので、噂話として聞いているだけですが)
2000年の雑誌購入額は年間5,406円でしたが、2018年には3,033円。
45%も減りました。
雑誌業界もたいへんです。
年代別ではどの年代も3,000円程度で、かわりはありません。
それは、世代、男女、趣味などのターゲットを細切れにしぼっているので、どの世代にも楽しめる雑誌があるということでしょう。
これもトランプ大統領方式。
全世代を相手にしない。
読者は岩盤支持者だけ。
新聞広告を見ると、週刊誌はシニアをターゲットにしているようです。


画像 新聞に掲載された週刊誌広告

 

ある週の週刊誌。
サプリ、病院の薬、年金、死・・。
これでは若い世代は読まないわ。

このようにシニアに依存してる業界はたくさんあります。


図2 世帯主の年代別 国内パック旅行、ゴルフプレー料金、スポーツクラブ使用料支出金額

   (総務省家計調査2018)

 

旅行は時間と金と体力があるシニアの世界(国内パック旅行)。
ゴルフはシニアのスポーツ。
体力を鍛えるスポーツジムも、健康志向の
シニアがお客さま。

図3 世帯主の年代別 教養的習い事月謝、信仰祭祀費支出金額(総務省家計調査2018)

 

茶道、華道、社交ダンス、絵画などの教養的習い事の月謝もシニア。

シニアは健康、教養にお金をつかう。
信仰・祭祀費はもちろんシニアが群を抜いています。
お寺の維持費、神社の氏子費、墓地の管理料、おさい銭、お札など。
仏花、墓花、榊などはこの延長線上にあります。
しかし、

この信仰・祭祀費だけは将来のシニアに受け継がれるかどうかは疑問です。
信仰・祭祀費が減ることは仏花・榊購入費が減ることに通じます。
信仰・祭祀費と仏花・榊は運命共同体です。


長々と述べましたが、

シニアに頼っている業界がたくさんあることがわかりました。


さて、花業界。
「花はシニアに頼る業界」、それで十分ハッピーになれるのではないでしょうか。
外国人観光客に頼るデパート業界よりずっとましです。


図4 年代別切り花、園芸植物(鉢もの、苗ものなど)・園芸用品(ポット、用土、肥料など)および

    年代別世帯数(赤折線)(総務省家計調査2018)

 

シニアの強みはボリュームが大きいことです。
今後ますます大きくなります。


2020年、世代別世帯数推計(総務省家計調査)。
世帯主の年齢が29歳以下はわずか100万世帯。

これらは構成員が二人以上の世帯のデータですから、単身者は含まれていません。
20歳代の単身者がどんな消費行動をとっているかは家計調査ではわかりません。


30歳代は410万世帯。
40歳代、50歳代、60歳代は600万世帯台。
70歳代は650万世帯。
80歳代は350万世帯ありますが、安定して消費支出をしているのは85歳までと仮定すると200万世帯。
したがって、70歳以上は650万世帯+200万世帯=850万世帯。
60歳以上の世帯数はあわせて1,480万世帯。
二人以上世帯の45%が60歳以上のシニア世帯。
圧倒的なボリューム。
石を投げればシニアに当たる。


表1 年代別切り花購入額合計(総務省家計調査2018)

 

年代別の切り花購入額合計を計算すると表1のようになります。

(世帯購入額×世帯数)
29歳以下はわずか23億円。
60歳代は704億円。
70歳以上は1,017億円。
60歳以上が1,721億円です。
二人以上世帯の切り花購入額の68%を60歳以上のシニア世帯が占めています。
花のお客さまは圧倒的にシニア。
このことを念頭に、花産業は戦略を考えましょう。


表2 年代別切り花購入額拡大シミュレーション

 

花屋さんの業態、経営方針はさまざまです。
当然、若者をターゲットにする花屋さんも必要です。
がんばって29歳以下、30歳代の切り花購入額を、いまの2倍に増やしたとします。
そうすると増加額は120億円。
一方、シニアの購入額を1割増やすと、
増加額は172億円。


20歳代、30歳代を2倍にするより、60歳以上を1割増やすほうがずっとかんたん。
個々の花店の経営は自由ですが、花産業としてはシニアを堂々とターゲットにするほうが売上を増やしやすい。


次回は、

シニアをターゲットとした消費拡大活動を考えます。
といっても

花産業、年末商戦真っ最中、松はどうだ、千両はどうだ・・に気がいっているでしょう。
毎度のことですが、年が明けて時間があるときにでもお読みいただければ幸いです。

 

宇田明の『まだまだ言います』」(No.203. 2019.12.1)


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