粗利(あらり)が大きいのは「たこ焼き屋」?「花屋」? | 宇田 明の『まだまだ言います』

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宇田 明が『ウダウダ言います』に引き続き、花産業のお役に立つ情報を『まだまだ』発信します。

前回は、令和新時代、花産業のキーワードでした。
三つのキーワードは、
①百花繚乱(ひゃっかりょうらん)
②着眼大局着手小局(ちゃくがんたいきょく・ちゃくしゅしょうきょく)
③薄利多売(はくりたばい)

今回のお題は、

キーワード三つ目の「薄利多売」を掘りさげます。
 

前回説明したように、
ここでいう「薄利多売」とは、

「安売り大量販売」ではなく、リピーターを増やすためには「接客(あいさつ・笑顔・会話)」に加えて「お手頃価格」が必須ということでした。

平成後半の20年間、

花のマーケットは縮小、消費は減りつづけました。
このままでは、

令和が終わるまでに国内の切り花生産は消滅し、花いちばは役割を終えてしまいます。

消費拡大策のひとつが家庭消費(ホームユース)、普段使いの花の拡大です。

ホームユース消費拡大で、業界が無視、あるいは避けているのが「価格」。
庶民には「価格」がいちばん大事な要素です。
熱心に活動をしても、家庭消費が増えないのは、庶民には花が高すぎるからです。

画像 庶民にとって、家庭用(ホームユース)の花は高すぎる

    リピーターにはなかなかなれない


いつまでも、

「花は高いから、高嶺の花だから価値がある」といっていてはマーケットが小さくなるばかりです。
家庭用のお手頃価格の花(ホームユース)はスーパー、量販にお任せでは、街の花屋さんは八百屋さんとおなじように、姿を消してしまいます。

令和新時代は、

街の花屋さんが、

お手頃価格の花を消費者に届けることを真剣に考えなければなりません。
お手頃価格の花を提供するには、流通ルートすべてでコスト削減にとり組まなければなりません。
では、生産者から花屋さんまでの流通ルートのどこにコストがかかっているのか?

市場、仲卸は手数料商売です。
しかも、市場の手数料は卸売市場法で定められています

(現在は自由化されていますが、大田花き以外は、あいかわらず横並びで中央卸売市場では9.5%)。

生産者の経営は、

各都道府県庁が品目ごとにこまかく調査し、経営指針を公表しています。
標準的な生産コスト、再生産価格、1時間当たりの賃金などが明らかになっています。
生産者段階でのコストは上昇一方で、採算が合わなくなっています。
それでもコストを削減するためには、用途に応じた規格の切り花を生産することで対応できます。

ブラックボックスが花屋さんの経営です。

粗利が大きい商売は、たこ焼き屋と花屋と無責任に述べてきました。

2019年6月30日「キーワードで考える令和新時代の花産業」

https://ameblo.jp/awaji-u/entry-12487591781.html


これにはなんの根拠もありません。
大阪の花屋さんの自虐ネタにすぎません。



画像 粗利(率)が大きいのはたこ焼き屋か花屋か?

 

昨年10月に報道されたたこ焼き屋さんの脱税事件は、いろんな意味で話題になりました。


大阪城公園で、たこ焼き屋を経営していた女性が1億3千万円を脱税。
2014~16年の3年間で所得が3億3千万円(1億1千万円/年)あったのに、申告していなかったそうです。
この間の売上は7億2千万円(2億4千万円/年)。
客さえ来てくれれば、8個600円(高いなあ)のたこ焼きを売って、年間2億円以上の売上。

夕刊フジによると、

たこ焼き屋さんの原価率は一般に38~40%だそうです。
粗利率は60%。
粉もん業界、あなどれまへん。



画像 大阪城公園のたこ焼き屋が脱税 

    夕刊フジ(電子版)の抜粋記事(2018年7月27日)

 

一方の花屋さん。
たこ焼き屋ほど客は来ない。
客数が少ないから、客単価を高く、粗利率を高くが経営理念(たぶん)。
花屋さんの経営内容についての公的データはほとんどありません。
農林水産省花き産業・施設園芸振興室が毎年公表している「花きの現状について」(平成31年4月)では、図1のような「花きの小売価格の構成比(試算)」を掲載。
これは「平成21年度花き産業の流通コストに関する調査」(MPSジャパン(株)受託)の一部。
つまり、10年前の平成21年以降はこのような調査はないということだろう。



図1 切り花・青果物の小売価格の構成比

   (平成21年度(2009)花き産業の流通に関する調査委託事業 MPSジャパン(株))

 生産者受取価格は、切り花では28.8%で、青果物の45.1%と比べて小さい。

 反対に、小売経費は切り花では53.8%で、八百屋の24.7%に比べて大きい。

 もちろん、花屋と八百屋では販売の手間が違うのだが

 

その10年前のデータから粗利率を花屋さんの業態別に示したのが図2。
粗利(売上総利益)=売上高-仕入原価
粗利率(%)=粗利/売上高×100

 

粗利率は、

専門店61%、

スーパー40%、

ホームセンター38%。

参考までに、仲卸は18%、いちばは9.6%、八百屋さんは34%。

そして、たこ焼き屋は60%

 


図2 切り花販売小売業の業態別粗利率

   切り花(青)小売・仲卸・卸売市場(ピンク)・八百屋(緑)は図1と同じ事業のデータから計算

   たこ焼き屋は夕刊フジのデータ


1本100円で売っている切り花の仕入原価は、

専門店では39円、スーパーでは60円、ホームセンターでは62円。
別の言い方をすると、

100円で仕入れた切り花を、

専門店は258円、

スーパーは167円、

ホームセンターは160円で売っていることになる(図3)。



図3 100円で仕入れた切り花の小売り販売金額

        生産者の感覚では専門店の粗利率はもっと大きい(小売価格はもっと高い)
    図1の事業データから計算


以上のように、

農水省のデータから、

花屋さん(専門店)の粗利(率)は、たこ焼き屋さんと同じ60%であることがわかりました。
大阪の花屋さんの自虐ネタ

「粗利が大きい商売はたこ焼き屋と花屋」は正しかった。
(ただし、MPSジャパン(株)受託調査データは専門店、スーパー、ホームセンターそれぞれ3店を調査。
したがって、あくまで傾向を把握するための参考データであり、統計的な信頼性はないと、注意書きに示されている)


粗利率が大きいということは、コスト削減により小売価格を下げる余地があるということです。

このことは、次回以降に考え、今回はここまで。
 

宇田明の『まだまだ言います』」(No.182 2019.7.7)


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