平成の花産業③-量販の台頭、もうパッカー屋とはよばせない- | 宇田 明の『まだまだ言います』

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今回のお題は、

「平成をふりかえり、令和の花産業を考える」の3回目として、
「花専門店の減少、量販の台頭」です。

昭和の末から平成の初頭にかけ、

花産業はイケイケドンドン、

国内生産はうなぎのぼり。
しかし、生産額(切り花・鉢もの・苗もの)は

平成10年(1998)がピークで3,000億円、

その後は下り坂の20年。

苦しいのは花農家だけではない。
花屋さんも同じ。
花屋さんで花が売れないから、

生産者が花をつくっても売れない。

なぜ、花屋さんで花が売れないのか?


それは、

消費者家計での消費支出が減り、

切り花購入額が減ったから(図1)。


図1 2人以上の世帯あたりの消費支出額(青線)と切り花購入額(赤線)の推移

    (総務省家計調査)

    両者は相関するが、

         平成28年(2016年)からは消費支出が増加に転じたのに、

    切り花支出額は減少のまま。

    なにがおこっているのか?

 

2人以上世帯の年間消費支出額は359万円で平成がはじまり、

バブルとともに400万円まで上昇(11%増)。
その後は下り坂の20年。

平成末には345万円で、昭和末に逆戻り。
世帯あたりの切り花購入額は消費支出額に比例。
消費支出額の増加にともない、

切り花購入額も9,765円から13,130円に増加(34%増)。
消費支出額の減少とともに、切り花購入額も減り続け、
平成の終わりは8,256円(同37%減)。
こちらも昭和末に逆戻り。


世帯あたりの切り花消費額が減った影響は、

当然、消費者に近い川下側からおこる。

まず、

花屋さんの1商店あたりの年間売り上げにあらわれる(図2)。


図2 花専門小売店(商業統計では「花・植木小売業」)の商店数(赤線)と

    1商店あたりの年間売上金額(青線)

 

平成のはじめには2,100万円。
バブルで上昇、

ピークには3,300万円(60%増)、
あとはお決まりの下り坂。

最新の商業統計データの平成26年(2014年)には2,000万円(ピーク時から40%減)。
商業統計調査、

次は平成31年=令和元年(2019年)(確定データ公表は令和2年(2020年))。
そのときには2,000万円を下回るか、回復しているか?


売り上げが減ると商店数が減る。
儲からなければ経営をつづけられない。
24,500店ではじまり、

28,700店(17%増)まで増え、

21,000店(ピーク時の27%減)で平成を終えた。

平成31年(令和元年)は2万店を切っただろう。
増えるのは緩やかだが、減るのは早い。
ただし、

統計不正で説明したように、

統計は数字をうのみにできない。
「ほんまかいな!?」が原則。

商業統計の花店数は実感的な店数、巷でいわれている店数より多い気がするがいかがでしょうか。


平成後半から末までの花産業を「芋づる式チャート」でまとめると

図3のようになる。
川上の農家と川下の花屋さんが苦しくて、

川中の市場だけが安泰なわけはない。
結局は市場の経営も苦しくなる。


図3 平成の花産業を「芋づる式チャート」で解析

   つまり、「風が吹くと桶屋が儲かる」式解析法

   すべての現象は、世帯あたりの消費支出額が減りつづけていることが原因

 

さて、このような政府統計ではわからないことがある。
図2はいわゆる花屋さんのデータで、

百貨店、スーパー、ホームセンターなどの花売り場は含まれない。

経済活動では、

目で見えるものより、

見えないものが重要。
量販、量販が納品しているスーパーの花売り場の数や

販売額の実態がわからない。

しかし、

総務省の「全国消費実態調査」(図4)で動向は推測できる。

図4 2人以上世帯の切り花購入先の変遷(総務省 全国消費実態調査)

    平成31年(令和元年)のデータはまだ公表されていないので、宇田が勝手に推測

 

消費者はどこで切り花を買っているか?
平成は6年(1994)からしかわからないが、

一般小売店(商業統計の花・植木小売業に相当)が71%、

スーパー等(量販)が13%。
関西では量販は「パッカー屋」とよばれた。

東京はもっと上品な呼び名があるらしい。


画像 量販の花束加工場

    場内の作業環境(温度、空気清浄度など)はさまざまな認証を取得し、

    おけの水には切り花栄養剤が使われる

 

それが、

平成26年(2014年:最新の消費実態調査)では

一般小売店(花専門店)が42%、スーパー(量販)が30%。
次の調査である平成31年・令和元年(2019年:公表は令和2年)には、

購入金額で両者は並んでいるだろう。
数量では圧倒的にスーパー(量販)が多くなる。
令和は

「家庭用の花はスーパーで買う」が当たり前の時代になる。
もうパッカー屋とはよばせない。


画像 スーパーの花売り場

    鮮度、日もち、デザイン、品揃えなど年々向上している。

    特に鮮度、日もちは専門店より優れていることが多い。

    花店での「滞留日数」が、鮮度、日もちに最も影響する。

 

平成の30年間、花産業の明確な特徴は二つ。
①国産切り花が減り、輸入切り花が増えた。
②消費者の切り花購入先は、一般小売店が減り、スーパーが増えた。
すなわち量販の台頭。

では家庭用の花=ホームユースや仏花は量販・スーパーにおまかせでよいのか?


よくない!


花店が2極化してしまう。
ギフトの大手チェーン店とホームユースの量販。

個人の花屋さんは両者の間に埋没し、存在感を失う。

ギフトで経営が成りたつ専門店は東京だけ。
2極化では地方経済、地方の花産業はますます衰退する。


どうするか?

花屋さんが、

八百屋さん、果物屋さんとちがうのは、

花屋さんには多様な能力が求められること。
すなわち、
①切り花、鉢ものなどを取り扱う技術者、職人としての能力
②装飾、花束、ブーケ、寄せ植え、ギャザリングなど芸術的能力
③モノを売る商人(あきんど)としての能力


花屋さんは①と②は申し分ない。
というか、それに重きを置きすぎている。
もはや芸術家。
忘れられているのが「商人(あきんど)」。


画像 花屋さんは商人である

    商法における商人とは、「自己の名をもって商行為をすることを業とする者」。

    「業として」とは、「少なくとも赤字にはならないことを目標として反復継続すること」を意味する。

 

花屋さんが販売する商品構成は時代とともにかわる。
昭和には、商品としてキッチンブーケもプリザーブドフラワーもハーバリウムもギャザリングもなかった。
とくに購買人口が少ない地方では、

生花、鉢ものを売るだけの経営ではしんどいだろう。
生花、鉢ものを売るために、

店の商品構成を柔軟に見直してもよいのではないか。


日本農業新聞の「論説」母の日花需要(2019年5月12日)。
キーワードは「多様性」。

「これまで通りの販促をしていても需要は一向に伸びない。
花の品種や色を増やすだけでなく、

異業種との連携が打開の糸口になる。」



画像 日本農業新聞(2019年5月12日)

    (松山誠氏のFBより)

 

これは母の日に限ったことではなく、日常の営業に通じる。
個人商店にとって、異業種交流はそんなに簡単ではない。
それならば、
「一人異業種交流」

 

異業種に花も売ってもらうのではなく、

花屋さんが異業種の商品を、

生花や鉢ものとともに売ればよい。
時代の変化に合わせて、

商品をお客さまに提供するのが商人の使命。
商人(あきんど)はしたたかでなければならない。

令和の花屋さんは商人になる。

宇田明の『まだまだ言います』」(No.174 2019.5.12)


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