野党に転落した国産カーネーションが復権するためには? | 宇田 明の『まだまだ言います』

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前回は「国産カーネーションが国内流通量首位の座をコロンビア産に奪われた」でした。
政治に例えると、国産カーネーションは政権を失い、野党転落。
カーネーション業界の決定権、主導権はコロンビア産に移りました。
国産カーネーションはコロンビア産の動向をうかがいながら、

そのすきまで生き残るしかありません。
 

国産カーネーションが復権し、政権をとりもどすにはどうしたらよいのか?

カンタンです。

 

敗因を分析し、改善する。
敗因は、「品質でコロンビアに負け、価格で中国に負けた」
対策は、「品質でコロンビアに勝ち、価格で中国に勝つ」
とりあえず低価格の中国産はあとまわし。

 

日本の花は世界一の品質と自負してきたのですから、

価格はともかく、品質で輸入に負けるわけにはいきません。
輸入は手加減をしてくれません。

これ以上シェアを奪われると、

国産カーネーション生産者は戦意喪失、

白旗をあげなければなりません。
コロンビアに奪われたシェアを奪いかえさないかぎり、

国産カーネーションはアメリカやオランダとおなじ消滅の道を歩むことになります。

カーネーションが消滅すると、バラが続き、スプレーマム、輪ギクが続き、ドミノ倒し。

そこで、今回のお題は、

「国産カーネーションが品質でコロンビア産に勝つには?」です。

品質には品評会で金賞を受賞する「外的品質」だけでなく、

内的品質、均質的品質、納期品質、社会的品質の5つがあります。

いちばん先に判断されるのは目で見てわかる「外的品質」。
スタンダードカーネーションでは茎の硬さと花の大きさ、
スプレーカーネーションでは茎の硬さと輪数(花の数)。
国産カーネーションの外的品質がコロンビア産に

おおきく差を付けられているのは8月から11月。
つまり、生育時の温度が高い時期。


図 国産と輸入スタンダードカーネーションの月ごとの入荷量と輸入率

  (大阪鶴見地方卸売市場 2017年)

 

カーネーションは気象環境に敏感な植物。
好む気候は、光にあふれ、涼しく、乾燥。

 

夏から秋の品質は、気温で決まります。
カーネーションにとっては日本の夏は暑すぎる。
そのため、カーネーションは1年中花は咲きますが、

輪ギクのように、ひとつの産地で1年中出荷することができません。
冬~春に出荷する暖地と、

夏~秋に出荷する寒冷地とのリレー出荷になります。
図でわかるように、夏は北海道や長野県の担当ですが、

それでもコロンビアの涼しさにはかないません。

日本の四季、夏は暑く、冬は寒い。


図 国内カーネーション主産地とコロンビアの平均気温比較

  コロンビア、ボコタは標高2,600mで1年中一定の気温


どうすれば8月~11月の品質がよくなるか?
(1)残念ながら、すぐにはどうしようもない。
 できることをするだけ。
①茎が硬い品種をえらぶ
②積極的に攻めるなら、

ヒートポンプで夜冷、夜だけ涼しい環境をつくる
新しい考え方EOD夜冷。
つまり、夕方から4時間だけ21℃まで冷房、
その後は温室開放、常温
これで茎は硬くなる
問題点
・コストにみあう市場価格が得られるか
・側窓まで自動開閉できる温室は限られる
・投資に耐えられる経営体力が残っているか

画像 カーネーションの茎の硬さ

 茎が軟らかいと弓なりになり、花が下を向く

 剛直すぎると上品さがなくなる

 国産の強みは上品さ、これぐらいのしなやかさ

 長崎 浜塚剛氏のFBより


②守るなら、

従来の経営である、暖地では年内出荷用の全開放型ハウスと、

12月から出荷する暖房ガラス室とで分担を徹底。

ハウス、温室の開口部を大きくし、風を通す

 

③ロマンなら、避暑地に第二農場を持つ、あるいは気候が適した海外へでる

④二代目、三代目後継者が忘れがちな親父の篤農家技術
農業でいちばん大事なのは、

植えつけ時の「土の湿り気」、「土のこなれ具合」
露地の花、野菜ならば、これでその後の生育が100%決まる。
雨に当たらないハウス、温室では、

トラクタ、耕耘機、管理機をかける前の「土の湿り気」。
ほこりが立つような乾燥も、じゅくじゅくもダメ。
畝をたてたあとの湿り気、均平化(きんへいか)。

 

苗を植えるときの手加減、
強すぎない、弱すぎない。
カーネーションは植えつけ時、地際の傷からリゾクトニア菌が侵入。
数字や文章で表現できない百姓のワザ。


画像 植えつけ前の土のならし、均平化、湿り具合

    農業共通の農家に必用なワザ

    長崎 浜塚剛氏のFBより

 

(2)コロンビアに負けているのは「外的品質」よりも「納期品質」「社会的品質」
いわゆる信用・信頼。


表 花の5つの品質

 

花が咲いたときに切れただけ、箱詰めして市場出荷。
先のことはわからないでは、
花屋さんは段取りができない。
欲しいときに欲しい量がなければ商売ができない。
国産は信用・信頼に問題。
12月にはどれだけ出荷できるかの

見積もりをする能力が、つくる技術とともに重要。
人間のワザだけではどうしようもない天候の急変がある。
そのためには、

日本最大の花市場 大田花きの磯村社長が推奨しているように

「品質を担保した冷蔵貯蔵」。


大田花き「社長コラム」
2018年10月22日「荷が少ない今、しっかり鮮度管理をした「貯蔵」で消費者に花を届けよう」
https://otakaki.co.jp/pres/%E8%8D%B7%E3%81%8C%E5%B0%91%E3%81%AA%E3%81%84%E4%BB%8A%E3%80%81%E3%81%97%E3%81%A3%E3%81%8B%E3%82%8A%E9%AE%AE%E5%BA%A6%E7%AE%A1%E7%90%86%E3%82%92%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%8C%E8%B2%AF%E8%94%B5%E3%80%8D/

切り花の貯蔵は「諸刃の剣(もろはのつるぎ)」
利益も大きいが、弊害もある。
しかし、安定供給が最優先、

貯蔵の歯車がひとつまわった。

(3)前処理マニュアルの再確認
革命的前処理技術「STS」が普及して30年。
切り花収穫後、水あげを兼ねてのSTS処理はあたりまえの技術になっている。
あたりまえすぎて緊張感が欠けてはいないか。
自己流になっていないか。
産地ごとにマニュアルを再確認、

改めるべきはあらため、マニュアルを厳守。
国産が日持ちでコロンビアに負けることがあってはならない。

(4)脱葉
すべての切り花に共通。
花屋さんの、「下葉1枚まで買った花屋のもの、勝手にとるな」も
生産者の「脱葉したら市場で高く売れるのか」も、もはや成立しない。
商品としての切り花は、産地で脱葉するが基本になる。


次回は、「価格で中国産に勝つ」です。
そんなことできるの?

 

宇田明の『まだまだ言います』」(No.147. 2018.11.4)

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