消費拡大活動は選挙活動①(カーネーション・スプレーマム編) | 宇田 明の『まだまだ言います』

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宇田 明が『ウダウダ言います』に引き続き、花産業のお役に立つ情報を『まだまだ』発信します。

世間は一挙に選挙ムード。
政治家、マスコミ、評論家は大騒ぎ。

花の消費拡大活動は選挙活動と同じ。
選挙には「イメージ選挙」と「どぶ板選挙」があります(図1)。
固い支持基盤をもたない新党は、イメージ選挙。

ブームを起こし、それに乗ろうとします。
風が吹けば大勝、吹かなければ惨敗。


 

図1 花の消費拡大活動は選挙活動とおなじ

    「イメージ選挙」か「どぶ板選挙」

 

固い支持基盤を持つ既存政党は、日ごろからの「どぶ板選挙」。
握手と利益誘導。

道をつけ、橋を架け、公民館をたてる・・。

これまでの花の消費拡大活動は、前者「イメージ選挙」。
花を買ったことがない「無党派層」をターゲット。
しかし、風は吹かず、ブームはおこらず、惨敗。


イメージ選挙は、行政や中央組織・団体がくりひろげる

「暮らしにもっと花を!」的な総論的な、ぼんやりした、

結果を求めない活動には適しています。

花の消費拡大活動が成功しないのは、

「下戸にビールを売ろうとしたから」という私見をのべました。
それは、ことばをかえると「イメージ選挙」。

2017.9.3「花の消費拡大活動が成功しない理由は『下戸にビールを売る』」
https://ameblo.jp/awaji-u/entry-12307277928.html


成果を求める消費拡大には、

固い支持者、すなわちリピーターのリピート回数を増やす活動、

「どぶ板選挙」が必要です。

画像 どぶ板選挙

    靴をすり減らし、握手、握手・・     

 

一方では、きびしい品目間選挙がくり広げられています。

キクやバラやカーネーションなど、品目ごとにシェアを争っています。

今回は、各論として、品目ごとに消費が減っている理由と、

国産の花の消費を伸ばすための方策=選挙活動を考えます。

図2は、2016年の消費量を2000年と比較したものです。

(消費量は「国産生産数量+輸入数量」で、

実際に家庭や業務用などで消費された数量ではありません。

花屋さんで廃棄された数量も含みます。)
 

全切り花は2000年対比81%。
つまり16年で19%の消費が減りました。


図2 切り花の消費量の増減(2016年消費量/2000年消費量)

    消費量=国産生産数量+輸入数量   

 

どの品目も同じように19%が減ったわけではありません。
バラは38%、輪ギクは30%、トルコギキョウは19%、

ガーベラは6%の消費が減りました。

一方、右肩下がりの時代にもかかわらず、

消費が増えている品目があります。
カーネーションは2000年対比110%、
スプレーマムは150%。


カーネーションは10%、
スプレーマムにいたっては50%も消費が増えました。

まず、カーネーションとスプレーマムの消費が伸びている理由を

考えてみましょう。


図3は、品目ごとの輸入率。

図3 切り花各品目の輸入率(2016年)

   輸入率=輸入数量/国産数量+輸入数量
 

 

全切り花の輸入率は26%。
(これには、大量に輸入されるサカキ、ヒサカキ、葉ものが含まれるので、

切り花だけならもっと輸入率は少ない。)
 

カーネーションは59%、スプレーマムは48%が輸入。
カーネーションは2012年に輸入が国産を上回り、

以降、差が広がっています。
 

スプレーマムは輸入の主力マレーシアの事情で、

なんとか国産が上回っているだけで、

ベトナムでの生産が本格化すると、

輸入率が50%を超えるのは時間の問題。

残念ながら、カーネーションとスプレーマムの消費が増えたのは、

国内生産者が、がんばったからではありません。


カーネーションではコロンビアと中国、

スプレーマムではマレーシアとベトナムが、がんばったからです。
 

輸入が、国産の弱点を補ってくれたので、消費が伸びたのです。
反対に、バラは、国内生産者の思いだけで生産し、

花屋さん、消費者の思いとのギャップを補ってくれる輸入が少ないので、消費が減っているのです。

さて、輸入の助けで消費が伸びたカーネーションとスプレーマムは、

緊急に、どんな活動をしなければならないのか?

目標は明確。
国産の「弱点」を克服して、輸入からシェア奪還。

「弱点」とはなにか?

 

カーネーション。
花屋さんが輸入を支持するのは当然。
コロンビア産は国産より高品質。
中国産は国産より安い。

国産カーネーション農家が取り組むこと。
コロンビアに対しては、
・夏場の品質向上。
・寒冷地と暖地の端境期である9~11月の品質向上。
中国に対しては、仏花のシェアを奪還するために、
・低コスト生産=短茎多収


画像 関西仏花に使われる「赤い花」は、すべて中国産赤カーネーション

    定時・定量・定質・定価で量販の絶大な支持

 

どちらも栽培技術で解決できることで、

農家の本業、本務。

それがわかっていても、できない。

それは、寒冷地の農家を助けてくれる研究者、技術者が少ないから。
夏場の主力産地、北海道の花農家、農協がやるべきことは、

花の研究者、技術者の充実を知事に要望すること。

スプレーマム
弱点はカーネーションに比べると少ないが、
ボリューム、水あげでマレーシアに劣り、
新規性でベトナムに劣る。
葬儀需要が定着し、「白輪ギク化」したことで、

安定はしたが、将来が不安でもある。

国産スプレーマムが取り組むことは、
・将来有望なマムを経営に取りこむ。
・マムは国産3,000万本、輸入1,300万本で、輸入率30%

(公的な統計がないので、あくまで推定)。
放置すれば「マム=輸入」になる。
・国産がシェアを維持するためには、夏型のマムを育種。
・新規品種の導入。

国内のキク種苗会社は、キクのイメージに固執しすぎて、

海外種苗会社より、大胆で斬新な花型、草姿の育種に劣る。
・葬儀需要に対応するためには、周年安定供給
スプレーマムはカーネーションと違い、暖地でも1年中栽培できる。
それだけに、生産コストが安い時期だけ生産をする農家が増えると、

需給バランスがくずれる。
・スプレーマムの弱点は葉
国産は水が下がり、葉が萎れやすいとの花屋さんの指摘がある。

 


 

品目ごとの消費拡大は、固い支持者頼みの「どぶ板選挙」。

この場合、固い支持者はリピーターではなく、プロの花屋さん。
花屋さんの支持があって、消費は拡大する。

 

花屋さんの支持を得るのは、単純明快。

「利益誘導」。

票を入れれば(=仕入れれば)儲かる、損をしない!

花屋さんが儲かる(損をしない)花だから、

カーネーションとスプレーマムは消費が伸びた。

次に、カーネーションとスプレーマムのムラでは、

国産と輸入が支持を争っている。

国産は花屋さんの支持を減らしつづけている。

それは、輸入に比べて、弱点が多すぎるから。

 

国産カーネーションとスプレーマムの消費拡大=選挙活動は、

ぼんやりした総論的な「イメージ選挙」ではなく、

「弱点を克服」して、

花屋さんに利益をもたらす、利益誘導型の「どぶ板選挙」。

若い人に期待が集まるのは、選挙も花づくりも同じ。

 

以上、国産カーネーションと国産スプレーマムの選挙活動でした。

次回は、支持を減らし続けているバラについて考えます。

 

「宇田明の『まだまだ言います』」(No.89 2017.9.24)

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