今年7月の改正臓器移植法の全面施行を前に、国民への普及啓発の方法などを話し合う厚生労働省の「臓器移植に係る普及啓発に関する作業班」(班長=篠崎尚史・東京歯科大市川総合病院角膜センター長)は5月11日、啓発用リーフレットなどを活用した今後の啓発活動の方針について意見を交わした。委員からは、国民への周知はもとより、医療従事者にも理解を促すべきとの意見が相次ぎ、医師や移植コーディネーター向けの啓発についても検討していくことになった。

 この日は、改正臓器移植法の全面施行に向けて厚労省が作成した啓発用リーフレット案を事務局側が紹介した。
 リーフレット案には、臓器提供に関するQ&Aや提供に必要な条件、脳死や心停止の状態から臓器提供に至るまでの流れなどが記されている。また、改正法により親族への優先的な臓器提供が可能になったため、そのための必要条件や留意事項も記載されている。このリーフレットは、新たな様式の臓器提供意思表示カード(ドナーカード)と一体型になっており、提供意思の有無など必要事項を記入して切り取り、ドナーカードとして携帯することができる。委員はこれらの内容についておおむね了承したが、部分的に表現の修正を求める意見が出されたため、次回までに修正を加えて再度検討することになった。

 また普及啓発の一環として、ドナーカードと同様の記載事項が運転免許証や保険証の裏面にも表示されるようになったが、石川晴巳委員(マッキャンヘルスケアワールドジャパン、ストラテジック・プランナー)は、「免許証などへの記載が進むと、否応なしに広く(臓器移植が)知られるようになるが、医療従事者への啓発は十分か」と疑問を呈した。これに他の委員らも、「脳死や心停止となった患者の家族に対して、どのタイミングでどのように説明するかなど、統一的なルールやフォーマットづくりが必要」などと同調。篠崎班長も「法改正に伴う大きな変更点を理解してもらうためにも、しっかりとした普及啓発のツールを」との認識を示し、作業班で医師や移植コーディネーター向けの啓発についても検討していくことになった。


【関連記事】
ドナーカードの様式変更案を了承―臓器移植委
ドナーカードなどの意思表示方法で議論―臓器移植・普及啓発作業班
ドナーコーディネーター大幅増を―移植者協議会・大久保理事長
医療従事者への「親族優先提供規定」周知に学会活用へ―改正臓器移植法
あて先ない「紹介状」の提供依頼に注意を―厚労省

皇族に「危害」ネット上で予告 26歳無職男を逮捕(産経新聞)
鉄道撮り続け60年 広田尚敬の写真集が連続発売 レールのように終わりなく(産経新聞)
<放鳥トキ>巣にカラス侵入、卵捨てる ふ化厳しく(毎日新聞)
<JR埼京線>新宿駅で男性はねられ死亡 約2万人に影響(毎日新聞)
医療・介護連携テーマに6月にセミナー(医療介護CBニュース)