オーロラはその日、そのときによって、
見られる場所は大きく変化します。
日によって1,000km、それ以上も舞台を移すことは普通です。
それは太陽活動による影響が大きく、
科学的にはある程度の予測は出来ますが、
現場では情報を得られず、ただ空を見上げることになります。
私は5週間連続でじっくりとオーロラの現れる場所を観察することが出来ましたし、そもそも20年近くも実感してきました。
私の経験で表現します。
標準的な、オーロラ活動が「並」の場合の発生場所は以下のようなオーバル帯(卵形)となります。
レンタカーなどで比較的アクセスしやすいポイントを示しました。
どのポイントも、若干オーロラの活動帯からやや外側に位置しています。
出来るならば、オーロラの近くに迫りたいのですが、
平均的に言うと、ややオーロラを離れた場所から、
すなわち南側から北の空を眺めるとオーロラが見える機会が多いことになります。
あくまでも平均的な話ですが、
運が良いと、すなわちオーロラの活動度がアクティブならば、
この卵が大きくなり、南側に膨らんできます。
非常に活発であれば、
アンカレジで付近までもオーロラが及んでくることもあり、
そのときの活動度によって大きく場所を移してきます。
わかりやすく説明します。
<オーロラ活動が弱いとき>
ピンクの丸印は、今回の取材で私が陣取ったポイントです。
オーロラが元気がないときは、オーロラが発生するオーバル(卵形の地域)が小さくなり、陣地からは遙か北(北北東)の地平線付近に見えることが多くなります。
このような感じに見えることが多いです。
アラスカのDenali Hwyから。
地平線ギリギリに見えます。遠いなーと感じてしまいます。
アラスカのTokから見た「遠くのオーロラ」
およそ700〜800km向こうの天頂で見られていると予想。
おそらく北極海の海岸線あたりにいたなら、天頂に見えるはず。
<オーロラ活動が中程度の活動のとき>
強くもなく、弱くもない活動で、平均とは意味が少し違います。
中程度の活動の場合は、弱いときより南側に膨らんでくるため、
陣取ったポイントからは近くに寄って見えてきます。
この場合は500kmくらい向こうでしょうか。
中程度の活動の場合は、一般的な鑑賞地ではいつもいつも天頂付近まで来てくれるわけではありません。
また一晩の中でもショータイムが起きやすい時間帯があります。一番活発になりやすい時間帯に、自分の近くに来る確率が高まります。取材した北米北西部では、0〜3時頃がピークになりやすいようです。絶対ではないので、朝が来るまでは、いつチャンスが来るかはわかりません。
100kmくらいまで迫ってきました。ドキドキする瞬間です。
<オーロラ活動が強いとき>
活発になると活動域のオーバルは広がり、さらに南側に膨らみ、
また広範囲に、多発的にオーロラが発生します。
天頂、自分の真上まで来ました。
頚が痛くなりそうですが、迫力があり圧巻です。
繊細な様子、ダイナミックな様子がよく観察できますので、
オーロラを楽しむにはベストな位置にいます。
360℃の全天映像。中心が天頂。
ちょうど真上にオーロラのカーテンが輝いています。
人の目でも魚眼レンズで見てみたいものです。
活動的になると、明らかに「普段とはまったく違う」様相を呈します。
360度の空を所狭しと変幻自在に様子を変えていきます。
オーロラを見たことがない人は、ダイナミックさに驚きます。「こんなに動くんだ!」
爆発時におけるブレブレな撮影(10年ほど前に撮影)
ダイナミック過ぎて、露出時間を短くしても動いてブレてしまいます。
クライマックスに「オーロラ爆発」が見られることがあります。
エネルギーの解放は一気に起きますが、それは写真では様子を伝えられませんので、今回の取材の目的は、それを動画で記録することで、それは実現しました。
2021年10月以降の上映イベントで披露します。
年内は関東〜九州、来年GW頃は関東〜東北をまわりますので、ぜひご期待ください。
・・・
さて飛行機からオーロラがよく見えるのはご存じでしょうか?
雲の上は空気が薄く、地上よりもきれいに見えるものです。
北米航路では、北極に近い方を飛んでいるケースが多く、
今回私がアラスカからシアトルに向かう飛行機からたっぷりと見ることが出来ました。
アンカレジ空港を発って30分。
この日はオーロラ予報では「活発」でしたので見えるはず!
私は機材を備えて窓側に陣取りました。
飛行ルートはオーロラの活動域に沿って飛んだようで、
およそ3時間の間、ずっとその活動を見ることが出来ました。
動画で記録することに成功しましたので、合わせてご期待ください。
<取材期間5週間のオーロラ活動について>
オーロラチャンス35日間の中で
・完全なオーロラ爆発 1日
・準爆発 3日程度
・爆発ではないが鮮やかで見事なオーロラ 5日間程度
・磁気嵐と思われる 5日程度
・取材にならない弱々しい夜 半分程度?
正直、もっとたくさんの収穫、大物を一網打尽に出来ると信じていましたが、自然、宇宙が相手です。甘くはなかったです。
さて、太陽活動は2019年末に底を付けて、
今は新しいサイクルに入って上向きトレンドにいます。
ところが、今回の取材時期に太陽活動の影響、
すなわち黒点のフレアやCMEの影響によるド派手なお祭りには当たりませんでした。
その上昇トレンドにある「小さな谷間」にはまったようです。
たとえて言いますと、株価のように、
大きなベクトルの向きの中で上下するようなものです。
来年2022年、23年と、太陽の活動度は増してくるとみられ、
大物を狙っている方は、これからコツコツ通われるのが良いと思われます。
一回で大物に当たるなど、そのような考えは忘れてください。
自然は私たちの都合には無関係です。
また、1日でも滞在日数を多く出来た方がチャンスも多くなることをご理解ください。
単純に確立の問題です。
気にされるなら、晴天率はあからさまにチャンスの有無に関わります。
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では、おまけに、
お祭りとはどのような様子になるかと言いますと、
豪華なシーンがウッハウッハと撮り放題となり、
一夜にして大漁となります。
たとえば・・・
2014.02.19. アラスカ北極圏
2012.03 アラスカ北極圏
オーロラ生体験を希望されている方は、太陽活動トレンドを見据えて計画を具体化されるといいでしょう。
ずばり2022、23,24,25年はチャンスです。
繰り返しますが、一回ツアーに参加して念願の華麗なオーロラに当てようとは思わないでください。
それから、私がよく耳にする、
「いつかは・・・」はいつまでも実現しないことを意味します。
決断するときが来ています。