今回は、アメリカ英語(米語)とイギリス英語(英語)の表記や語彙の違いを紹介します。


米語と英語でもっとも大きく異なる点はスペリングと語彙です。

まずスペリングの違いですが、辞書や参考書などでも広く紹介されているためご存じの方も多いと思います。

(英)colour/labour (米)color/labor
(英)centre/ litre(米)center/ liter
(英)paralyse/organise(米)paralyze/organize
(英)defence/licence(米)defense/license
(英)traveller/fuelling(米)traveler/fueling
(英)analogue/dialogue(米)analog/dialog

同一のドキュメントやウェブサイトで英米のスペリングが混在していると、読者にマイナスのイメージを与えてしまう可能性があります。こうしたスペリングの不統一は、Word「校正ツール」の言語設定を「米国」か「英国」に設定することで防ぐことができます。ただし「toward(米)」と「towards(英)」など校正ツールでエラー表示されない単語もありますので注意が必要です。

また、企業・組織名、商標・製品名などの固有名詞については、たとえ米国向けの文章であっても、各組織の表記ルールを優先します(厚生労働省Ministry of Health, Labour and Welfare)。

一方、語彙や慣用表現については、英米で異なる点も多く、特にビジネスなどのフォーマルな文章では混同しないよう注意する必要があります。

次の例文をご覧ください。あるアメリカ系企業の採用担当者に宛てたカバーレターです。アメリカ系企業へのレターなので、本来であればいわゆる米語で書くべきですが、このサンプル文章では英語の表記や語彙、慣用表現が混在しています。どこが問題でしょうか?

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(住所)
June 30, 2013
The Personnel Director
Personnel Department
Okinawa Corporation
(住所)

Dear Sir or Madam

I am writing to apply for the position of chief engineer advertised in the Okinawa Times of 25 June. Please find enclosed a copy of my CV.

I am currently employed as an engineer with ABC Company, have more than ten years of experience in creating mobile phones…(省略)

I am available for an interview at any time. Please feel free to contact me if you require any further information.

Yours sincerely,

(応募者氏名)
**********************************************************

・日付
☓ Okinawa Times of 25 June(英)
○ Okinawa Times of June 25(米)
こちらは前回お話したとおりです。日付の書き方は英米で異なります。

・慣用句
☓ Dear Sir or Madam(英)
○ To whom it may concerned; (米)
☓ Yours sincerely (英)
○ Sincerely yours(米)
ビジネスで使われる慣用句も、標準的なフォーマットが英米で異なるケースがあります。また「Mr(英) Mr.(米)」「Prof(英) Prof.(米)」など敬称の略語も、ピリオドを付けるか付けないかの違いがあります。

・語彙
☓ CV (Curriculum Vitae)(英)
○ résumé(米)
☓ mobile phones (英)
○ cell phones (米)
日常的な語彙やビジネスで頻繁に使用する語彙も、実は英米で違いがある場合がよくあります。普段のコミュニケーションでは大きな問題は起こりませんが、書き言葉では注意したいところです。

グロービッシュという言葉もあるように、英語は今や世界共通語となっていますので、少しの間違いや米語と英語の混在など気にしなくてもよいという意見もあるかもしれません。また事実、英語ネイティブの人でも英米の語彙や慣用表現を混同してしまうことも少なくありません。

しかし、企業や組織が正式文章として作成するドキュメントやプレスリリース、ウェブサイトなどでは、こうした混同や不統一はできるだけなくしていく努力が求められます。さらに自動車業界や教育分野など、業界や専門分野によっても英米で使用される語彙は大きく異なり、場合によっては読者を混乱させてしまう可能性もありますので、十分な注意が必要です。

英語で文章を書くときには、対象読者や地域に応じて、英米のスペリングや語彙、慣用表現なども適切に使い分けることを心がけましょう。

次回は「キャピタライズ」についてご紹介していきます。


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