女の涙には訳がある@三毛猫さん | ネヴァーランドのオーガスティーヌ

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夏が近づいて、緑が鮮やかに照り映える草むらに。。。

その女はいた。

女の涙@三毛猫さん1

ひとり立ち尽くし、悲しみにくれているその後ろ姿を。。

しばし呆然と眺める。

女は時々嗚咽をもらし、静かに泣いていた。

「どうなさったのですか?

私に力になれることなら。。。」

つい声をかけてしまった。

「アナタ。。。」

夕暮れのため息のように密やかに、あまりにか細い声で女が囁いた。

女の涙@三毛猫さん2

「見たわね?」

謎めいた言葉とともに、女は振り向き。。。

チロリと舌を出して、妖艶に笑った。

「私をこの夕暮れに見てしまったモノは、もう帰れないのよ、何処にもね。。。」

女の涙@三毛猫さん3

「ついていらっしゃい」

私は、確認することもなく、背を向けて草むらの中へと分け行る女をフラフラと追っていた。

足元に、小さな虫の亡骸があったことにも気づかずに。。。

頭と細い四肢がバラバラに散乱した虫は、キラキラと光っている草の葉の先を

もう見えない眼に、虚しく照り返していた。


逢魔が時。。。

夕暮れは、魔に出会うトキ。。。




ペタしてね

今宵は、ちょいと怪談風ですにゃ ペタ。