こんにちは。
今日は「論理的思考の重要性と応用」といった話を書いてみます。
クイズから始めます。ちなみに、ChatGPT4oは、5秒で正解を叩き出しました!
(参考に)一番最後にChatGPTの解説を載せておきます。
みなさんの前に、「E」 「R」 「2」 「9」 と書かれた4枚のカードが置かれています。
カードにはそれぞれ、片面にはアルファベットが、もう片面には数字が書かれている。
いま、カードを2枚だけ裏返して、「母音が書かれたカードの裏はかならず偶数である」というルールが成立しているかどうか確認してください。
みなさんなら、どのカード2枚を裏返しますか?
これは、「慎重な判断ができる人」だけが解ける問題です。挑戦してみてください。
(解けたら以下をご覧ください)
「こんなの簡単ですよ」と直感でわかった方は、「E」と「2」を裏返せばいいのでは?そう思ったことでしょう。
ですが、「E」は正解ですが「2」は間違いです。
(では、「E」と「2」と思われた方は、もう一度考えてみましょう。答えが出たら、以下の続きをご覧ください)
はい、それでは、解説します。
「E」を裏返すことが正しいのは明白です。なぜなら、「母音が書かれたカードの裏はかならず偶数である」というルールが成立するには、当然、母音である「E」の裏に偶数が書かれていなければいけませんから。なので、このカードを裏返すのは確定です。
そして多くの人が「2」を裏返して、そこに母音が書いてあればルールを証明できる」と考えます。ですが、上でお伝えしたように、残念ながら不正解です。
ここで見落としがちなのが、「9」の存在です。仮に「2」の裏に母音が書かれていたとしても、「9」の裏にも母音が書かれていたら、ルールは成立しません。
●ルールの見落とし
「母音が書かれたカードの裏はかならず偶数」。このルールが成立しているかどうかを確かめるのが、この問題の趣旨です。で、ここからが重要なのですが、
「母音が書かれたカードの裏はかならず偶数である」というルール、ここがポイントですが、これは「偶数が書かれたカードの裏もかならず母音である」という意味ではありません。
たとえ偶数の裏が子音であっても、「母音が書かれたカードの裏はかならず偶数」というルールには違反しません。ちまり、「偶数が書かれたカードの裏は母音でも子音でもかまわない」のです。
一方で、奇数が書かれたカードの裏はかならず子音でなければいけません。奇数のカードをめくって、そこに母音が書かれていたら、「母音が書かれたカードの裏はかならず偶数である」のルールが破綻するからです。
よって、裏返して確認すべきなのは奇数である「9」です。
以上より「E」と「9」を裏返すことで、この4枚のカードにおいてルールが成立しているかどうかを確かめられます。どうでしたか、正解された方は「慎重な判断ができる人」なんだと思います。
これは、世界的に有名な認知心理学者ウェイソンが考案した「ウェイソンの4枚カード問題」がもとになった問題です。
当時、正解率は10%未満だったことでも知られています。この問題は、「頭のいい人だけが解ける論理的思考問題」から一部抜粋しました)
この問題、なんかに似ていませんか? そう、高校の数学で習った「対偶」です。
「AならばBである」が成り立つとき、「BでないならばAではない」も成り立つという法則です。
たとえば「人間ならば動物である」が成り立つとき、「動物でないならば人間ではない」も成り立つということです。この対偶の概念を、今回の問題に当てはめてみると、
命題:片面が母音ならば、その裏面は偶数である
対偶:その裏面が偶数でないならば、片面は母音ではない
こうしてみると、「偶数でないカードの裏を確かめる必要がある」と、わかりやすいですね。
学生の頃、「こんな勉強が何の役に立つんだろう」と思った方は多いと思います。僕もその一人です。
ただ、世の中であまり役に立ちそうにない知識でも、こんな感じで応用することができます。
なので、僕たちが一生懸命努力して勉強してきたことは、将来にも何かしらの力になっていくはずです。
●「思考」のまとめ①
今回の問題から学びたいのは、「何が確認できればいいのか」だけでなく、「何が確認できなければいいのか」という視点で考えることも大事、ということですね。
で、上で取り上げた問題に対する類似の事例を紹介します。
ある効率のよい仕事のやり方を思いつきました。周囲に話をしてみると、皆一様に「いいんじゃない」「よくできているよ」と賛同してくれました。
けげんな顔をする人もいましたが、熱を込めて説明をすると、最後は分かってくれました。
にもかかわらず、上司に説明したところ、嫌な顔をされました。出てくるのは、「そこまでやらなくても」「○○はどうするの?」といった後ろ向きの話ばかり。
いくら説明してものれんに腕押しで、揚げ句の果てに、「そんなことより△△の件は?」とはぐらかされる始末でした。
なぜ分かってもらえないのか。せっかくみんなのためを思って考えた、誰もが認めるよい提案なのに、といくら考えても、上司は理解のない人、わかってない人、としか思えませんでした。
さて、みなさんは、この状況をどう見ますか?みなさんの打ち手を教えてください。
では、解説します。
ここで、まず疑うべきは、「本当にあなたが思うほど優れた提案なのか?」というところです。
人は、いったん自分の考えが正しいと思うと、それに合った情報ばかり集める癖があるからです。
●都合のよい情報ばかりに目がいく
たとえば、「周囲から賛同を得た」といっても、賛同を得やすい人にだけ話をしたのかもしれません。都合のよい話だけを相手につまみ食いされた可能性もあります。
あるいは、いろいろ忠告や指摘をしてくれた人もいたのに、軽く考えて聞き流してしまったことはないでしょうか。好意的な表情や態度だけとらえて、「分かってくれた」と早合点したのかもしれません。
合理的に考えるためには、自分にとって都合の悪い情報や、仮説や信念を否定するような情報(反証)も集めた上で、総合的に判断する必要があります。
ところが、ひとたび仮説や信念を抱くと、支持する情報ばかりに目がいき、反証が目に入らなくなってしまいます。それでは、正しいかどうかが立証できず、他人を説得することもできません。
これを「確証バイアス」と呼んでいます。
自分に都合のよい情報や、仮説や信念を支持する情報ばかりを集める傾向です。
例えば、新しく商品やサービスを出そうとして試作を作って、アンケートなどでコメントを拾う時もそうです。否定的な意見は軽くとらえ、好意的な肯定意見を重視しがちです。
逆に既存の商品やサービスの売上が落ち、「顧客離れを起こしている」という仮説を立てたときに、顧客からの不満の声ばかり集めてしまうことがあります。
そうではなく、顧客からの感謝の声や顧客でない人からの声など、幅広く情報を集めた上で、総合的に判断する必要があります。
もちろんビジネスは科学の実験や数学の証明ではないので、完全に正しさを証明することはできません。それでも、どれだけ確からしさを高めるかが重要です。
●「思考」のまとめ②
このケースから学びたいのは、仮説を検証するときには「肯定する情報と否定する情報を、公平に吟味すれば信頼性が高まる」ということです。否定情報も大切に扱うことを忘れない、ですね。
(参考)
冒頭のクイズに対するChatGPT4oの解説を載せておきます。お時間のある方は読んでみてください。
この問題は、「母音が書かれたカードの裏はかならず偶数である」というルールが成立しているかどうかを確認するために、どのカードを裏返すべきかを問う論理パズルです。
論理的に考えると、ルールが成立しているかどうかを確認するためには、次のカードを裏返す必要があります:
「E」のカード:このカードには母音が書かれています。したがって、ルールを確認するためには、このカードの裏が偶数であることを確かめる必要があります。
「9」のカード:このカードには奇数が書かれています。ルールが「母音が書かれたカードの裏はかならず偶数である」というものであるため、奇数が書かれたカードの裏には母音が書かれていないことを確かめる必要があります。
「R」のカードと**「2」のカード**は確認する必要がありません。なぜなら、
「R」のカード:子音が書かれているので、ルールに影響しません。
「2」のカード:偶数が書かれていますが、このカードの裏に母音が書かれていてもいなくてもルールには影響しません。
したがって、裏返すべきカードは「E」と「9」です(ここまで)。
正解に向かってまったくムダのない回答はさすがAIですね。
それでは、今日も笑顔あふれる素敵な一日をお過ごしください!
頑張り屋のみなさんを応援しています!