★子ども達へ。

きっと近々日本の学校の試験前の逃げ程度に母のこの感想文をのぞき見するであろう息子と、今は全く眼中にないけど将来海外にまた行って「あの時はどうしたかな」と初めて読む時がくるであろう娘に、ほぼ私信です()。または、母子で海外に渡るとこんなことを母として思うようになるのかな、という一例です。

 

 

息子へ

 まずは母の一年間の留学という「遊び」に付き合ってくれてありがとう!貴方は強い人だと思います。英語も話せない新参者としてカナダに来たすぐは嫌な思いも居心地悪い時もあったね。それでも貴方の優しさに安心感を覚え懐に迎えてくれる友人が一人ひとり増え、貴方のその瞬間を楽しもうとする根っからの明るさに引き寄せられて声をかけてくれる人が増え、物事を真剣に学ぼうとするその素直さに絶対的に信頼を寄せて貴方を守り切ろうとしてくれる先生や上級生、年上の友人達に恵まれました。それらは、貴方の強さだと思います。その人徳が、学校で無口な妹も助けてくれたことも、母にさえ新しい友人を与えてくれたことも、今回の私達の留学をさらに強固で何倍も色とりどりなものにしてくれたことに心から感謝!

面倒なことが苦手、やりたくないことに立ち向かう持続力が足りない、読書もあまりしないので知識の浅さと論理的思考が不得手、予想外のことが起きた時こそいかに平常心をもち冷静に対応するかが苦手。それらがこれからの大きな課題ですが、ただそれらを持ち備える素晴らしい友人達が貴方の周りにカナダ留学中たくさん集まってきてくれていたのを目にしていたら、母としてはきっと大丈夫なのではないかと安心しています。時に彼らに助けてもらい、学び、真似び、助けてもらいながらも乗り越えて行くのではないかと感じます。

今回の留学で出会えた友人一人一人を大切にね。

 


 

 

 

娘へ

 同じく、まずは母の一年間の留学という「遊び」に付き合ってくれてありがとう!そして同じく、貴方も強い人だと思います。

無口で、内気で、日本語であろうとも話すことが苦手なあなたに、日本では「ダサい」とまで言う人もいたね。たとえカナダに行ってからも、反論しないあなたの存在を否定したり、利用しようとする人も時にはいたね。それでもまっすぐ、冷静に、王道で、正々堂々と成長をやめようとしなかった貴方に、先生達や大人、同じような性格を共有できるクラスメイト、妹を守ろうとする兄と兄の友人達、「カナダのお姉さん」達に見守られ助けられ、一緒に遊んでもらいながら、貴方自身が今言うとおり自信に溢れ、自分自身でいることを楽しむ明るさを身に着けたと思います。帰国後「日本の学校で友達できるかな。勉強ついていいけるかな」と口にしているけど、あなたならどこにいっても大丈夫。あなた自身という軸がしっかりしてるから。そして将来の夢に向かっていつもまっすぐ努力することを決して辞めないから、全く心配いらないです。胸を張って今を楽しんで!

一年の間には、ヒヤリとする問題も発生し、どうなることかと不安になったこともあったけど、パニックで思考停止する母と兄を横目に、一人冷静に状況を観察し、解決策をボソリと発する貴方のおかげで私たちの留学は安定感のある、安全な実り多いものとなったと思います。ありがとう!

貴方に何かを伝えたい、教えておきたいと思っても、なかなか聞き入れてもらえず口論になったり苛立ったりするオンナ同士の母娘の私達。母を知る人々から言わせると母そっくりな、頑固者。貴方自身が考える貴方は強く、しっかり者で、一人でも確かに大丈夫。でも貴方が笑顔で周りの人々に一言話しかける、何かを発信するだけで、その成長率は格段に高まり、一人でいるときより何千倍も楽しいものに激変する瞬間をあなたはカナダで数え切れないくらい体験することができました。貴方を支えよう、貴方と友達になりたいと思う人々への敬意を忘れず、笑顔で、英語でも日本語でもいいから言葉を発する勇気を忘れないでね。

 

 

 

 

以上、最終月12か月目の感想文でした。

 留学したら何が変わるのか、留学させたら何がみえるのか、それが知りたくてワクワクしながら出発した一年前の自分に対して、一年後の今の自分から伝言するような不思議な気持ちで書きました。カナダに到着した1年前、飛行機から眼下に見えるバンクーバーの街に私達が知る人は誰もいませんでした。1年後同じ場所を飛び立つとき、その街には数々の友人がたくさんいることが何よりもうれしかったです。

 

 

子どもに留学という機会を与えてみて思うのは、子どもに留学が与えた一番の収穫はもしかしたら今目の間に見えることではなく、そして子ども自身でさえも今は自覚しているものでもなく、子ども達がもっと大きくなって様々な選択をし、時に人生の岐路に立つなかで判断の土台や指標となるようなそんな存在なのではないかと思うようになりました。その時に私が彼らに与えたカナダでの時間は、一番の大きな価値を発揮するのではないかと思います。親としてついつい留学させた対価はなんだったのだろう、と「貧乏根性」でその結果を今すぐ見てみたくなりますが、今見えているよりももっと大切なものはもっともっと先に子ども達だけに静かに、でも物凄い力をもって訪れるのだろうと思い、焦らずその時を楽しみに待ちたいと思います。

 

 

滞在先のグランパが、お酒もはいって普段よりも更に朗らかになるとよく話してくれたことがあります。「留学を、その後どう活かすか」。その通りだと思い、忘れられない言葉です。海外にいる時間だけが留学ではなくて、そこで得たものをその先もどう活用していくか、発展させていくか、それが大事。つまり「留学」はずっと続いていくのだと思います。私達母子は大きな冒険を一つ終えましたが、でももう次の冒険は始まっていて、その次もその次も続いていく。どこであっても、いつであっても、どんな形でも。だからやっぱり今もワクワクです!新しい冒険も、引き続き楽しみます!