尿素配合の保湿剤は、ぶり返しをおさえるか?
こんにちは。橋本です。
尿素配合の保湿剤。
これを使うことで、アトピーのぶり返し。再びおこる湿疹をおさえることができるのか?
実際にテストしたデータが、あります。
「なにも塗らない場合」と比較
それは、2009年にアトピー患者55名におこなわれたテスト。 *1
まずは、3週間、ステロイド外用薬で治療して、そのあと、
・ 尿素配合の保湿剤を1日2回塗るグループ(22例)
・ なにも塗らないグループ(22例)
で、「皮膚炎の再発があるか?」を比較したテストです。
これは、「二重盲検」のランダム化比較試験で、「医師も患者も、治療内容がわからないようにする」という、より厳密に効果を判定する方法でおこなわれました。
再発の割合
26週間後、皮膚炎が、ぶり返した割合は・・・
・ 尿素配合の保湿剤を塗ったグループ → 32%
・ なにも塗らなかったグループ → 68%
という結果に。
尿素配合の保湿剤を塗ったほうが、再発率が約半分で、あきらかに、ぶり返しが少ないですね。
再発までの日数
そして、皮膚炎の再発までに、「どのくらいの日数がかかったか」の平均値を比べると・・・
・ 尿素配合の保湿剤を塗ったグループ → 180日以上
・ なにも塗らなかったグループ → 30日
と、尿素配合の保湿剤を塗ったグループでは、テスト期間中(約180日間)にぶり返しがなかった患者が多いことがわかります。
「尿素配合」だからといって、ひとまとめにできない
このテストから、尿素配合の保湿剤が、ぶり返しをおさえるケースが多いことがわかります。
ステロイド外用薬で肌をきれいにしたあとなら、保湿剤の選択肢として、尿素のものも十分「あり」ということですね。
しかし、「なにも塗らなかった場合」としか比較をしていないので、保湿剤全体の中での、尿素配合保湿剤の能力は、わからないところ。
「保湿剤だったら何でもよかったんじゃないの?」という疑問には、このテストだけでは答えてくれません。
また、尿素が配合された保湿剤は、すべて「同じもの」ではなく、「基材(ベース)」や、添加物の違いでも、大きく変わってきます。
つまり、同じ「尿素配合の保湿剤」でも、その効果をカンタンにひとまとめにはできないんですね。
やはり、ここは実際に使ってみて「合うか合わないか」、慎重な見極めが必要です。
ちなみに、テストに使われた尿素配合の保湿剤は、ヨーロッパで使われている「 Canoderm 」というクリームです。
参考記事:
尿素の保湿クリームは、湿疹に塗ってもいいの?
参考文献:
1) Wiren K, et al: Treatment with a barrier-strengthening moisturizing cream delays relapse of atopic dermatitis: a prospective and randomized controlled clinical trial. J Eur Acad Dermatol Venereol 23: 1267-1272, 2009.