最初の5日間が公演中止になって肝を冷やしましたが、たまたま後ろの方の日程だったので観られました。

(ネタバレ有りなのでご容赦を)

 

 

 

 

キャストは以下の方々(文字小さくてごめんなさい)

 

 

このミュージカル、キャスティングが良かったと思います。

 

狂言回しのスピードワゴンは、YOUNG DAISさん。HIP-HOPの方なので、作品全体を通していいアクセントになってます。「スピードワゴンはクールに去るぜ」が素敵ラブ

 ダリオ・ブランドーのコング桑田さんはソウルシンガー。さすが、ドスの効いた低音が素晴らしかったです。

ワンチェンの島田淳平さんは身体表現の人。動き方がまさに人外でしたびっくり

ツェペリの東山義久さんは声質が男前!ラブ

切り裂きジャックの河内大和さんは、警部との二役だったんですね。馬のシーンは舞台だからできるというか、そのまんまというか、妙に印象的でした笑い泣き

 

ジョースター卿の別所哲也さんは朗々と響き渡る声が貫禄。品のある英国貴族でした。

エリナの清水美依紗さんは、ビジュアルだけ見たときは個性派かと思っていたのですが、正統派の綺麗な歌声。たおやかで芯が強いヒロインを体現していました。

ディオの宮野真守さんは石仮面を被った後が特に生き生きとしてたなあ。

 

ジョジョの松下優也さんは、純粋さが良く出てたと思います。

脇役が個性的すぎるので正統派ヒーローである主人公が割を食っている感があるのですが、育ちが良くて高潔で、その反面お人好しで甘いところもあるジョジョ、という人物像が浮かび上がってきました。

 

原作の登場人物と同様、キャストも実に個性豊か。それぞれが持ち味を発揮していました。

 

そして、思っていたよりもはるかに原作に忠実。

「このセリフも言ってくれた!」

「このシーンもやるんだ!」

と、何度思ったことか。

脚本家(元吉庸泰さん)の熱意を感じます。

ジョースター邸で慈愛の女神像が出てきたときは「あのシーンやるのか!!」とテンション上がりました!

 

ミュージカルオリジナルの部分も、私は違和感なく受け入れられました。

「星か泥か」の話と、ダリオ(ディオの父)を大きく取り上げたのがオリジナル。

 

どちらも、ジョジョとディオの対比を明確に印象付けています。

ジョジョにとっての父は誇るべき、受け継ぐべき精神の象徴。

けれど、ディオにとっての父は断ち切るべき、人間としての弱さの象徴なのかも。

人間としての限界、弱さを乗り越えるために石仮面をかぶる(=人間をやめる)、ということなのかな、と思いました。ダリオ役のコング桑田さんの存在感が生きてます。いい声ラブ

 

波紋の表現方法も面白かった!「生命のエネルギー」だから、命ある存在が表現するってことですよね。納得です。

 

そして前半のクライマックス、ジョースター邸での決闘。おそらくここが、開幕が遅れた原因なんじゃないかと思います。

全編通して円形のセット(上下二つの層に分かれてる)が回りながら進行するので、歌ったり台詞を言ったりしながらそれの上や下を動きまわる役者さんたちは大変だと思う。

それらに加え、本作では複数のシーンでフライングがあったのが負担になったのではないかと。

けれど、やはりあの原作のあの場面を何としてもやり遂げるんだ、という気迫が感じられて、圧倒されました。

 

 

あ、タルカスとブラフォードの造形だけは、私のイメージとはちょっと違いました。

この2人は、尺の関係で存在自体を削られても仕方ないと思っていたので、出してくれたことには感謝してるんですよ。

なのに出たら出たで文句を言うなんて、ややこしいファンですねえ、自分真顔

あと、前半に比べると後半は少し(原作未読の人には)わかりにくかったかも。


演奏はオケではなくてバンド的な編成。打楽器で効果音(殴られた音とか)も出しているのがライブ感あって良かったです。オケピではなく両脇の高めの位置にいるのも新鮮。私は2階席で、比較的近い位置だったので、その分演奏が(歌よりも)大きく聞こえちゃうところもありましたけどね。それもまたライブの良さですよ笑い泣き


久保嘉男さんデザインの衣装も良かったです。プログラムで至近距離からの写真を見ると、生地(ジャガード生地というらしい)もすごく素敵でした。

あ、プログラムは荒木先生の今の絵(多分書き下ろし)もありますから、お買い得ですよー。連載開始から37年経って、画風の変化もよくわかります。


全体として原作へのリスペクトが感じられた、良い舞台でした!