【住宅各論:キッチン4】



さてさて、
お次はキッチンセット材質や機器についてです。



たくさんありますよね、
何が良くて何が悪いのか?
ま、
悪いなんて言うのもおかしな話なんですが。

ようは調理が滞りなく出来れば何だって良いようなもんなんですけど。

・・・
そんなこと奥様に言ったらぶっ飛ばされてしまいますので、
ご主人、
絶対に言ってはいけません。



まず、
ワークトップ(天板)

基本的には2種類、
人工大理石、
ステンレス、

です。

他に、
メラミン樹脂板、
セラミック、
本物の石、
塗装鋼板、

なんかもあります。



安価なのはメラミンですがメラミンは一般的にはけっこう高強度な物なのですが、さすがに刃物や陶器や火気を扱うキッチンのカウンターとしては傷がつきやすい物になってしまいます。
なので安価な物や簡易なキッチンなどに使われます。

超高価なのはセラミック鋼板などで堅く傷がつきにくく意匠的にとても優れています。

あるいは製作すればタイルのカウンターなんてのもありです。

 

 

 

が、
これらは逆に堅すぎて包丁の刃が欠けたりガラスや陶器が倒れただけで割れてしまったりしますので意匠性優先でよく料理をされる方にはあまり向きません。



なので、
基本的には人工大理石ステンレスが一般的ということになります。
意匠性を優先するなら、
つまりお洒落なのは人工大理石
ただ、人工大理石にもいろんな種類材質がありますので高強度の物は少々値が張ります。

 

 

 

 

そして、
機能性を優先させるなら、
つまり傷つきにくく適度な柔軟性があり料理しやすいのはステンレス
です。
 

 



次に、
面材つまりキッチンの扉材や側面や背面の板素材。
ベニアやMDFなどの複合材や鉄板やステンレスなどの板の上に張ったり塗ったりした化粧板材です。

これは星の数ほど種類があって、
それこそ各キッチンメーカーがありとあらゆる面材を出しています。

スカッとした物からピカピカの物から木目から石から塗装から・・

そして、
面材を何にするのかでキッチンセットの値段は決まる
と言っても過言ではない、
そのくらい価格を大きく決めるのがこの面材です。



では、
まあじゃあだいたいの値段順にということで。

ポリエステル板
とにかく安いのですが強度がなく耐熱性や防水性もあまりありません。
包丁シュッで傷がついてしまいます。


アクリル板
色柄は多種あって昔は多かったのですがやはりあまり強度がなく熱に弱いので、
最近はあまりありません。


化粧シート貼り
昨今一番多い面材です。

 

 

 

シートは紙の物から樹脂の物、複合シートなど様々あり、
多いのはDAPやFFシートなどですが樹脂にシリコンやら何やら混ぜてどうのこうのでよくわかりませんのですがとにかく強いです。
カラーから鏡面から木調から石風までありとあらゆる色柄が選べます。
逆に言うと、
木に見えても木ではなく、石に見えても石ではなく、金属に見えても金属ではありません。

 

 

 

また、
シートの素材を何にするかで強度や耐熱性や防水性も様々になります。
安価なシートは傷つきやすく、
高価なシートを使っていればある程度傷つきにくく熱にも強い面材となります。


メラミン化粧板
メラミン樹脂の板の面材
面材としては高強度で耐熱性や防水性にも優れよく使われています。

 

 

 

ただ、
あまり凝ったデザインなどは作りにくいのでシンプルなキッチンにしたい場合などに向いています。


塗装板
合板などにウレタン樹脂やフッ素樹脂などを厚塗り浸透塗装した面材です。

 

 

 

 

高強度で耐熱性や防水性にも非常に優れますが、
これも塗装ですので柄などはあまり出来ずシンプルなキッチンに向いています。
また、
何を塗るかによって値段はピンからキリまでということにもなってきます。


木製
天然木などの上にウレタン樹脂などを塗って強度と耐熱性や防水性を持たせた面材です。

 

 

 

 

樹脂などが塗ってあっても木は木なのでそれほどの強度はないのですが、
逆に木目があるため傷が見だたないという利点があります。
板そのままだと経年で反ったりひびが入ったりしてきますので、合板などと組み合わせて作ってあるのが普通です。
このため、そこそこに高価な面材になってきます。


ステンレス
高価な面材の代名詞で、
強度・耐熱性・防水性どれをとっても文句が出ません。
ただ、
金属ですのでどうしてもちょっと冷たいスカッとしたデザインになり、
そんな意匠性を好まれない方には向きません。
色のついたカラーステンレスと普通のステンレスに塗装をした物とがあります。


ホーロー
鉄の板にガラス板を合わせて焼き付けて密着させたのがホーローです。

 

 

 

これも強度・耐熱性・防水性にとても優れますが、
非常に高価です。
また、
製造方法から色柄はあまりなく細かなデザイン性もありません。
ただ、
ホーロー独特のちょっと変わったデザイン性を持ちますので、これが好きな方には非常に好まれる面材です。



これ以外にも、
特殊なキッチン面材などはいっくらでもあります。

今はもうないのですが、
その昔、
ピアノ塗装の面材のキッチンを使ったことがあります。

 

 

 

そう、
ピアノと同じ塗装をした面材です。

面ん玉が飛び出るほどの値段でしたが・・
同僚とキッチンにポルシェが1台おいてある、
なんて冗談で話していたものです。


天然木の面材に名人が彫刻したキッチンとか、
本物の大理石や花崗岩の板の面材とか、

 

 

 

そんなんも見たことあります。

それこそ製作すればどんなものでも板状になった物なら面材に出来ます。



ま、
こういうのは意匠性のみを考えていて使うなんてことはまったく考慮されていないので、
本当にキッチンとして使うのか怪しい物ですがね。

せいぜい水割りに氷いれるくらいにしか使わないんでしょうね。
そこで中華料理なんか作ってたらそれこそアホですもんね。



こうして面材によってキッチンセットというのは値段がピンからキリまでになってきます。
遠目にはまったく同じに見えても値段は0が1個も2個も違ったりします。



あ~
疲れたから機器については次にしますね。
あしからず。





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