【お客様は神様です2】
とあるお宅を設計した際の話しです。
もう随分前の話になりますが、
とあるお宅の設計をご依頼頂いた時の話しです。
お宅だけではなく事務所類などを併設した、
いわゆる併用住宅です。
このため半事業用で構造は鉄筋コンクリート、
そこそこ以上に大きな建物になりました。
鉄筋コンクリートの大きな建物ですから設計料もそこそこの金額になります。
駆け出しだった当時の私としてはとてもやりがいのある儲かるありがたい仕事になったわけなのです。
ただ、
お客様にしてみたら当然大きなお金の動く事業を兼ねた建物になりますので、
相当にいろいろとご要望もあります。
そこに住む社長さんと奥様やお子様だけでなく、
従業員さんなんかもいろいろと言ってくる、
銀行さんなんかにもいろいろとあ~だこ~だと意見され、
しまいにご親戚の方に呼び出されたり、
関連業者さんにここはこうしといてなんて頼まれる。
いやはや大変な騒ぎで、
ちっともまとまらない。
ま、今にして思えば、
よくある騒動が巻き起こるのをとりまとめるという、
駆け出しの私としては大変な設計となったわけです。
なのに、
社長さんはちっとも設計監理請負契約をしてくれません。
契約してくれないのにいろんな人から次々と呼び出され、
設計はどんどん進みます。
今なら契約せず頭金無しでなんて仕事は絶対にしませんが、
当時はペーペーの私、
大きな仕事ですからこちらとしてもやりたい、
足下を見られていた?
わかりません。
そんなこんなで大変な思いをしながらほぼ設計が終わりかけた頃、
その社長さんに呼び出されました。
そして、
こう言われました。
「こんな大変な設計、
お若いので様子を見てからと思っていましたが、
ようやってくれました。
おっしゃるとおりの設計料でけっこうです。」
そして印鑑押した契約書を、
これ契約書ですと。
嬉しかったですね。
本当に。
ただ、
この話はそこの話しではないのです。
その後に、
頭金から着工時分まで全部払うからすぐに請求書くださいと言われ、
その場で白紙の請求書に手書きで記入して、
渡したんです。
そしたら、
ちょっと待っててねって。
どこかに行って、
戻ってきたら、
その手に札束が!
で、
はいっ!て
現金で設計料を渡されたんです。
大きな建物の設計料全額を現金で!
何百万です!
札束です。
いや、
そんな、
うれしいけど・・
で、
ちゃんと数えてねって言うので。
いや、
そんな、
なので、
一緒にいた所員と二人で小一時間かかって現金数えて、
帰途につきました。
あんな現金を手で勘定したのは後にも先にもあの時だけです。
帰りが怖い怖い。
誰かついてきてないか?
人を見たらひったくりじゃないか?
事故ったらどうしよう、
びくびく・・
びくびく・・
でも嬉しかった。
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