【住宅各論:階段6】



なんか階段の堅い話ばかりになってしまった・・
もっと軟らかい話にしようと思ってたのに・・



それにしても、
昨今はひどい階段ばかりが多くなってきました。
ないないづくしの階段です。

今では世の中の住宅の階段のそのほとんどはユニット階段です。
これってようするに百派一絡げの既製品

 


工場で同じ形で大量に製作されてきてポンっとおいただけの階段

あ、くっついてはいますが・・

その家の家族がどうか、
生活スタイルがどうか、
内部のデザインがどうか、
なんてことはかけらも考えられてはいません。

 

一見格好良く見えたとしても、既製品なのですから実はどこでも同じ階段です。

お友達の家に遊びに行ったら・・

あれ?

同じ階段じゃん!って。

しかも、その家その全体デザインその家族に合わせて考えられた階段ではありませんからそこだけ浮いて見えます。


ただ、構造としても安全にしても法的にも絶対に間違いはありません
さらに作るのが楽!
っちゅうか何しろ工場で作ってきておくだけですから間違いようがありません。

しかし当然独自の美しさなんてかけらもありません。
なしないづくしです。

 

 

無茶苦茶言ってますが・・

実は私だってこいういったユニット階段はよく使うのです。

だって予算がなければ仕方が無いのです・・

 

でもその階段に何か足してあげるようにしています。

何か一工夫。

何かプラスアルファ。

 

色を変えてあげる。

デザイン手摺りを足してあげる。

壁面に書架とかニッチとか棚とか。

側板を切ってしまう。

何でも良い・・

それだけでガラッと階段は変わります。


そうかと思うと・・
デザイン階段などと言って意匠性のみの手摺りもないような住宅階段。
段板は蹴上げも側板も何もなく踏面のみのすかすか。
安全性などまったく考慮されてはいません。

 


ま、見た目は異様に格好いいですが?

落ちないよう過ごす方が難しい。
お子さんは住んでるうちに何度も落下を経験することになるかもしれない階段です。
まあ注意深い丈夫な子に育つことを見越しているのかもしれませんが。

地震や火事があればもう窓から飛び降りるしか手がない階段です。
ま、2階建てならそれもありか?っちゃ~そうなのかもしれませんが。



何しろ階段は難しいのです。
難しいから絶対に間違いのないユニット階段に逃げてしまうのもやむを得ない所ではあるのかもしれません。

 

 

難しい難しいなんて言っていますが、

難しいからこそうまく考えられ作られた階段は・・
それはそれは美しい物
です。

細かい部材を多数組み合わせて作られる階段はそこに構造の美や用の美を込めてその物を美しく見せることが出来ます。

なので階段だけで見せるなんて建物もたくさんあります。

敬愛する建築家の村野籐吾先生の作品などでは階段だけを集めた作品集なんてのが何冊も発売されているほどなんです。

これは村野先生の箱根プリンスホテルの階段、美しすぎて泣きたくなってきますね。

 

 


階段その物がそこに美しく存在する階段。

 

 

その部屋のデザインと調和した階段。

 

 

まるで階段などそこにないかのような景色に溶け込んだ階段。

 

 

シンボリックな階段。

 

 

様々な階段があります。



構造的に機能的に優れていて、そしてなによりも安全でなければならない階段、
それを美しく作ることは本当に難しい。

けれども、それが腕の見せ所です。



美しい階段をつくりたい!
いつもそう考えて設計をしています。



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