【住宅各論:階段3】



さてさて、
世の中には計画的にやってはいけない階段というものがあります。
いけない階段あぶない階段です。

まあ、誰でもわかるのが手摺りがない階段とかですが・・

 

段がバラバラな階段、

1段が低すぎる階段、
1段が中途半端に広い階段、

使う人に合わせていない階段、

などをつくってはいけません。

 

階段では廊下と違い転ぶと転がり落ちてしまうんです。

 

 

 

まず階段は一定の蹴上・踏面でなければいけません。
一つの階段で踏面が長かったり短かったり、蹴上げがここは高くて次は低くてなどと、バラバラなのは絶対にいけません

リズムよく上がれないのでけっつまづいて転びます。
転ぶと階段では廊下と違って転げ落ちます。

少しづつ微妙に違うなんてのが一番ダメ。
上っていても気がつかないのでけっつまづき安くなります。

山道の段とか遊歩道の段とか歩きにくいですよね、均一な段なんて作れませんから。
山登りの際は集中して登って注意しなさい!で済みますが、家の中で毎度注意してなさいなんてのは通用しません。



どうしても変えないといけない場合は、はっきりとすぐわかるように変えるようにします。



皆さん観光に行かれますとお城なんか行きますよね。
お城にたくさんある外の石段って歩きにくくないですか?

 


あれはわざとです。
わざと歩きにくいよう歩幅が合わないよう蹴上・踏面をバラバラに変えて石をでこぼこに削り歩きにくくしています。
敵が攻めて来たときに転ばせるためにです。



その階段を使用する人に階段は合わせて作ります。
もちろん段の蹴上が大きい階段は上るのがしんどくなるのですが、

だからといって段が低い方が上りやすいなどということはありません

 

大人は段が低いと足があわないので2段毎に上ります。
この時に踏面が大きいと大股で上らなければならなくて非常に上りにくい階段になってしまいます。


皆さんも参観日などでお子さんの学校などに行きますと感じるんじゃないでしょうか?
子供が主に使用する小学校の階段などでは大人はちょこまかとたくさん足を出すか大股で二段三段飛びに上らなくてはならず非常に上りにくいのです。

 




同様に踏面はどんな階段でも広い方がよいだろうなんてこともありません

よく言われるところでは、
踏面は300mmまで、
それ以上の場合はたくさん

です。

たとえば踏面が400mmの中途半端な階段を作ると人は歩幅があいません。
階段の段を一歩で上るのか二歩で上るのか?
非常に歩きにくい階段になります。

踏面が600mm以上あるような広い場合は歩幅と歩数を合わせて2歩3歩で上ることが出来ます。

このため公共施設の外部の階段や住宅でもポーチやアプローチなどの階段では長い距離で少しの高低差を上るため踏面をわざと大きく取ったりします。

 




また階段に限りませんが、

段が極端に低すぎるのは絶対にいけません

法律で決められている蹴上げは180mm以下だから、
じゃあ50mmにしよう低い方が良いだろう!
なんてのは絶対に駄目です。

もちろん法律違反ではありません。
適法です。

でもだめです。



低すぎる段は大きく足を上げる必要がないので少しだけ上げる・・
するとその上げ幅がわからなくなり非常に歩きにくく、さらには足を引っ掛けやすくなります
さらには目にとまりにくくなり段に気がつかなかったりします。

足をあまり上げずにすり足で歩くお年寄りなどはすぐに引っかかって転倒します。

階段では足は上げるのか上げないのかはっきりさせなければいけません
そしてぱっと見てそれがすぐにわからなければいけません。

 

 

何度も言いますが階段ではけっつまづいて転ぶと落ちるのです。

廊下同様に毎日毎日上り下りする階段です。

何やったって転ぶ時は転ぶんですが少なくとも転びやすい階段はつくらない。



ただ、どんな階段でもそれは全てそこを上るであろう対象者を決めて初めて決まります
子供が使うのか大人が使うのか高齢者が使うのか?

そしてその階段を毎日使うのか初めて使うのか?
つまりすぐに慣れるのか覚えるのかそうではないのか



このため一番難しいのは様々な年齢の不特定多数の初めて来た人が使う階段ということになります。



住宅の階段というのは、

基本的には決まった少数の人が毎日使うことになり慣れやすいので法律的にはまだ緩いということなんです。




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