【近隣説明とは・・3】
話しを戻しましょうか。
先日、昔まだ独立する前に建てたマンションの前を通りかかった際に思い出したお話しです。
そのマンション予定地は、
もともとは古い町だったところに幹線道路が作られ道路沿いはどんどん開発されつつある、そんなところでした。
何しろ幹線道路沿いですしどんどん生活店舗なども廻りに建っており学校も近く横には大きな公園があるという、なかなかに好立地な敷地でうまく建てれば間違いなく売れるであろう分譲マンションです。
そんな好立地な敷地ってそうそうあるもんではないのです。
廻りはどんどん開発されていてビルなどもたくさん建っていますし住宅などもあまりありませんし、北側に影を落とすのはその幹線道路です。
そんなに反対はないだろう?
が、甘かった!
反対反対反対!
隣に鉄工場があったのです。
そこが猛反対!
その反対理由があまりない理由だったんです。
影になる?
工事車両が?
騒音が出る?
それとも単に嫌?
いえいえ違いました。
理由は、
その工場・・
自分が騒音を出すから!
何しろ鉄工場、毎日ギ~ンとかギャ~ンとかバ~ンとか!
マンションなんか出来ると住人が文句を言って来るに決まってる!
ということだったんです。
まあ鉄工場ですし古い工場ですから建物に密閉性なんてまったくありません。
ドアなんて大きな重い鉄扉で毎日開けっ放し、そりゃうるさい。
もちろんそんなのはよほどの不利益なんてのには当たりませんし。
何度も何度も伺ってお話し合い。
こちらもつらいですね、本当に。
気持ちは痛いほどわかりますし。
でも仕事ですし。
ある意味どんどん都市化の進んでいるところですから今ここがやめたってすぐに何かは建つでしょう。
その際にたちの悪い会社が勝手に建ててしまうかもしれないことを考えれば今なんとかしてあげたいのです。
そこで、
マンションのそちら側は全て防音サッシなどの防音対策をして窓を開けなくても良いように換気設備を設ける。
工場の開放された扉にシャッターをつけてあげる。
マンション販売の際の条件にお隣が鉄工場で音が出ることを納得の上で購入してもらうよう重要事項に記し条件化して説明する。
という内容で納得してもらいました。
何しろ昔のことですがそんな内容だったと思います。
そんなこんなで納得いただいてマンションは完成しました。
そしてそれから十数年。
今、
その鉄工場はありません。
随分前になくなりました。
マンション会社の方に伺ったのですが、
工場の反対側に別のマンションが建ち、そのマンションからの騒音苦情が市に殺到!
廻りが騒音苦情をいいまくると我々が建てたマンションの住人達も同調して近辺でうるさい出てけ運動が起きたのだそうです。
それで鉄工場はそこにいられなくなったと。
当然こちらのマンションを購入された方達は納得して買われているはずで、防音対策もされているのでそんなにうるさくはないはずなのですが?
反対側のマンションは何も対策などしていなかったそうです。
たぶん鉄工場の方はこちらのマンションではいろいろ考えてもらえたので反対側のマンション建設の際はそんなに文句も言わなかったらしいのです。
さらにはこちらのマンション最初に買われた方は良かったのですが、何しろ好立地なマンションなので転売がたくさん起きた。
さらにはマンション管理会社が途中で変わってしまい、
次買われる際にそんな重要事項などどっかに行ってしまって買われた皆さんが知らない。
こちらのマンションは防音対策完璧でそんなにうるさくもないはずなのですが、あちらのマンションのママ友達にうるさいでしょうるさいでしょと反対運動に同調させられた?
ということじゃやないかな?
とのことでした。
何だかな~
こういうのよくあることなんですが、
後から来た者が前から住んでいる者に文句を言うってどうよ?
わかって買ったり住んだりしてるはずなのに?
大型プロジェクトなんかがどこかで起きるとその横に後から速攻で引っ越して反対するなんて人よくいますよね。
あれ儲かるらしいですね。
人間としてどうかと思いますけど。
後で知ったのですがその鉄工場、廃業ではなく移転したんだそうです。
そこの都市開発が進んで土地の値段が上がったので文句ばっか言われるこんなとこやめて売払って別の所へ・・
よかった。
そんなこんなありましたが、年月がたち今そのマンションがそこで美しい街並みを作っているのを見るといろいろあったけどうれしいものなんですけどね。
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