私の独断と偏見で、猫が描かれている絵のベスト10をご紹介したいと思います。
しかしどれも好きすぎて、10枚に順位はつけられません。
お気に入り10点、と思ってください。
菱田春草『黒き猫』
いきなりすごい正統派を出してしまいました。
菱田春草は猫の絵をたくさん描いていますが、これは亡くなる前年に描かれました。このころ、だいぶ目は見えなくなっていました。
当時は「朦朧体」と批判されることもありましたが、猫の毛のふわふわ感、抱き上げたら溶けそうな、幽玄の美です。
黒猫つながりで、竹下夢二の『黒船屋』
猫というよりは人間の子どものような大きさとどっしり感がありますね。
そして女の人の手!
大きいと思いませんか?
竹下夢二が描く女性は、手が大きいことが特徴です。
『黒船屋』には元絵があります。
キース・ヴァン・ドンゲンの『黒猫を抱く女』
夢二は独学だったため、ロートレックやルノワールの絵を模写しながら勉強していたそうです。
ピエール・ボナール『白い猫』
どうしてこんなに足を延ばしたんでしょうね。
女性の化身でしょうか。
この流し目…。
ピエール・ボナールは「芸術は自然ではない」と言っています。
自然主義派への抵抗でしょうか。
藤田嗣治『仕立て屋の猫』
藤田嗣治も猫の絵を何枚も描いています。
パリでもっとも成功した日本人画家かもしれません。
展覧会ではいつも人だかりができていたそうです。
そうしてフランスに帰化し、レオナール・フジタになりました。
こちらも捨てがたい、藤田嗣治の『闘争』です。
1匹1匹、写実的でありながら、全体の渦巻みたいな構図がかっこよすぎ。
アブラハム・テニールス『猿と猫の理髪店』
なんというユーモア。
他にも『煙草を吸う猿』や『トランプする猿』があります。
猫というより猿派ですかね。
エミール・ムニエル『ベストフレンド』
「少女画家」と呼ばれたエミール・ムニエル。
ウィリアム・アドルフ・ブグローの弟子だけあって、繊細な筆致です。
女の子の髪の毛のツヤツヤ感やレースの繊細さがすごい。
パウル・クレー『猫と鳥』
鳥はどこに?
猫の額にいます(始祖鳥みたい)。
絵を見ていると、猫の目に吸い込まれそうになりません?
バンクシー『陽気な猫』
イスラエルの軍事攻撃を受け、廃墟となったパレスチナ、ガザの家の壁です。
毛糸だまで遊んでいるあどけない子猫の様子。
その毛糸だまは鉄くずです。
廃墟に猫というギャップから、悲惨さに気づいてほしい、というバンクシーからのメッセージです。
2015年の作品ですが、ストリートアートであること、バンクシーが覆面画家であることで、著作権問題がうやむやなままです。
ご本人が、ビジネス目的ではなくメッセージを世界に広めたいとおっしゃっている点をふまえて、掲載させて頂きました。
敬意を込めて。