マリネという言葉、よく聞かれると思います。
そもそもはラテン語の「mare海」という言葉に由来するのだそう。つまりマリネとはもともとは海水に漬けることです。
海水につけておいしくなるのは、肉、魚、野菜。(果物をアルコールやシロップなどに漬けることは厳密にはマリネではなくて、マセレmacererという言葉を使います)
 
たとえば牛肉の赤ワイン煮込み
 
まずは大きく切った牛肉(とくに固い部位。たとえば肩肉、バラ肉、すね肉など)を香味野菜とともに赤ワインに漬けることがマリネmarinerです。
漬け汁に浸ける目的は、
①素材が柔らかくなり
②芳香がしみこみ
③保存がきくように
なります。
 
赤ワインに漬けてから煮込むと、赤ワインの酸で肉のコラーゲンのくさりが断ち切られ、早く柔らかくなります。ちなみに白ワインのほうが酸が強いため、より有効です。
 
牛肉の赤ワイン煮込みの場合、前日、あるいは前々日からマリネしておきますが、かつて当日にいきなり煮てみたことがあります。
忘れていたとか、撮影のため急いでいたとか、そんな理由です。
しかし2時間煮ても3時間煮ても柔らかくならず、ギブ。
マリネってそんなにも重要だったのか‥と知りました。
 
あるときは前々日から漬けてみて、前日につけるより明らかに香りよく煮上がって、時間がこんなにも大切な役割を果たすことに驚いたこともあります。
 
赤ワインが残ってしまったら、固めのお肉を買ってマリネして、煮込みを作ってみてください。ベーコン、フォン(だし)にトマト。素材を加えれば加えるだけ、重層的で奥行きのある味に仕上がります。
 
逆に香味野菜と赤ワインだけで煮込むと、まっすぐクリアな味に仕上がり、これはこれでおいしいもの。ただしちょっとアルコールが強く香ってしまいますが・・。

舌平目用の包丁 道具その②

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しゅっと長いこの包丁は、舌平目のフィレをおろすための専用です。その名もずはりcouteau filet de sole(舌平目のフィレ用包丁)、両刃の包丁です。左側のフュジfusilで研ぎます。

 

刃先がすっと長くて、しなることが特徴です。このしなりが重要で、魚のフィレをおろすとき、魚の背骨にそって包丁を走らせれば身をもれなくはずすことができます。鯛でもスズキでも私はこの包丁を使いますが、とくに舌平目には有効です。

 

その他にも、切っ先を使ってエシャロットのみじん切りを細かく切り始めたり、グレープフルーツやオレンジの房切りをするときにも有効です。

日本でも5000円くらいから売られています。日本の包丁は優秀なので、国産の舌平目包丁が一番よく切れてよいかもしれません!

 

帆立をおいしそうに色よく焼くのは、じつは簡単ではありません。

 

ぼやっとしていると、表面にはいっこうに焼き色が入らないのに中心まで完全に火が通り、水分までにじんできてだんだん小さく・・・。なんてことに!

帆立に火の入ったにおいはしても、香ばしい、食欲をそそるなんともいえないよい香りはいったいどこへ?

 

ではどうしたらよいのでしょう。

1. まずはしっかりと帆立(刺身用)の水分を拭うことです。水分はフライパンの温度を下げてしまいます。焼く少し前に塩をして塩味を染みこませるのと同時に、少し水分を抜くのも手です。

 

2. 次にフライパンを充分に熱くします。フライパンの上のほうの空気がゆらっとゆがむくらいになったら、油を少し垂らします。そしてすぐに帆立を投入(ここでもたもたすると、油が熱すぎて煙りが出始めます)。

 

ここで陥りがちなのが、量です。ぱっとみて、入るからといって、全量をフライパンに入れていませんか。お肉を焼くときもそうですが、きれいな焼き色を表面にきゅっと付けたいなら、フライパンの面積と火力に応じて、3.適正な量を入れるべきです。「入るから」という理由で野放図に入れてはいけません。

一つずつ確信的に焼く、くらいの意気込みが必要です。

 

触らずに、押したりもせず(水分がにじみます)、片面に焼き色を付けます。裏返し、半生になるように時間を意識して、最後にバターをほんのひとかけら。

(バターは焦げやすいので、高温のフライパンには向きません)

胡椒がいるならここで(焼く前にすると、香りが飛んでしまいます)します。

 

表面にはおいしそうな焼き色が付き、中は半生。よい香りが立ち上るはず。

どうぞお試しあれ。

 

塊のままのお肉を焼くとき、火が強すぎていませんか。

 

昔は、お肉は表面をきゅっと焼き固めて内側の水分を逃がさないために膜を作るために、割合強火で焼くのが普通でした。

 

最近はなるべく火を弱めてゆっくりと温度を上げていき、内部の水分を飛び出させず、やさしく焼き上げるようになってきました。

 

たとえば厚めの牛フィレ、ランプステーキ、鴨の胸肉など焼くときには、フライパンをまずゆっくりかつ充分に中弱火で温め(がんがんに強く温めるというわけではありません)、塩をした食材の端を少しだけフライパンにつけてみて、小さめにじゅーっと言い始めたらOK。お肉を入れます。

最初はじゅーっというおいしそうな音がしますが、入れた食材にフライパンの熱が奪われて音が小さくなってきます。火は小さくして、しばらく音を聞いています。

ピチピチと小さい音がしている状態になるように火力を調整します。無音だと熱量が少なすぎて水分がにじんできてしまうことがあるので要注意。音は近づいてみて、かすかに聞こえるレベルです。

優しく優しく火を入れるのがジューシーに焼き上げるコツ。火を入れるというよりも、全体を温めると言ったほうがよいかもしれません。

時間をかけて、両面に均等に熱を入れます。

 

レストランだとオーブンに短時間入れて室温に出し、またオーヴンに短時間、と言うことを繰り返し、30-40分かけて焼くこともありますが、家ではそんなこともしていられませんね。

 

指で押してだいたい熱が入ったと思ったら、温かい場所に移し、アルミをかぶせて休ませます。大きさによって休ませる時間は違いますが、10〜20分くらいです。

焼いてすぐに切ると肉汁がぱっと飛び出てしまってせっかくやさしく焼いたのに台無しです。休ませると肉汁は落ち着き、流れ出にくくなります。かつ、焼きたてすぐに切ると肉の断面が茶色く焼けた色に見えるときでも、休ませる色で肉汁が回り、うっすらピンクにあげることもできます。

 

ただし表面がかりっとしていないと、それはそれでおいしさに欠けるので、最後に表面だけ強火で熱したフライパンで瞬間だけ焼きます。長く焼くと、優しく焼いた意味がなくなりますので、ほんの一瞬です。そのためにはフライパンはかんかんに熱い必要があります。

最近のレストランでは、遠火の強火の炭で表面を焦がし、かつよい香りも入れているところもあって、すばらしくおいしく香り高いお肉が食べられます。

 

フランス語で野菜の面取りをすることを、トゥルネtournerといいます。

英語だとturnです。つまり「回す」という言葉から。

 

日本だと野菜の面取りは、蕪や大根の角をすーっと包丁を滑らせて取り、あらたな面(といっても狭い)を作ることですが、フランス料理だと、6面か7面のラグビーボール状に整形します。

角がかけるという煮崩れを防いで、料理を美しく見せることができますし、表面積が広がって味が染みこみやすくもなります。フランス料理の場合は同じ大きさに揃えることで、煮る時間を統一する意味もあります。

大きさによって、オリーブ、ココット、シャトーなどいろいろな呼び名があります。

またトゥルネはマッシュルームの笠に飾り切りをすることやアーティチョークを剥くときにも使う言葉です。

 

やり方はこんなふうです。

まず野菜(たとえばにんじん、大根、かぶ、ズッキーニ、じゃがいも)を5cmくらいの長さの筒切りにし、さらにそれを縦に何等分かします(写真奥)。

つぎによく研いだペティナイフを握るようにして持ち、角を大きく削ぎ、そのまま包丁を手前に薄く滑らせ、また徐々に大きく削ぐようにします。「一筆書き」と私は授業で言っていますが、途中で途切れさせずに一気に最後まで包丁を進めるのがコツです。

これを野菜を横に回転させるように6回か7回繰り返して、ラグビーボール状にしていきます。すっときれいに向けるようになるまでにはちょっと練習が必要ですが、できるようになると、楽しいもの。

最初は柔らかいじゃがいもか大根で練習するのがおすすめです。

 

人によって、いろんな形が出来上がってきて、楽しいものです(ほんとはいけませんが。かくいう私も、うっかりするとお腹周りが少々ぷくっとした「でぶっちょ」トゥルネになってしまいます)。授業でレシピにトゥルネがあると、生徒さんは「ええー、トゥルネするのですか!」と言いつつ、没頭されます。

 

野菜をトゥルネにして、グラッセにしたり塩湯でして添えると、料理がぐんとフランス風に!  包丁を研いで、お試しあれ。

 

photo:Masahiko Miyasa

「素敵なフレンチのご馳走」より

 

玉ねぎのみじん切りをゆっくりと炒めることをフランス料理では「シュエする」といいます(前回のお話)。弱火にかけて、塩を入れておけば、つねにかき混ぜる必要はありません。つまりこの間、少し手が離れるということ。

 

この技が当たり前になると、少し料理にかかる時間を短くすることができます。

 

詰め物を作るとき。玉ねぎをみじん切りにして、弱火で火を入れ、ミンチを加えてさらに炒め、塩胡椒。最後にパセリのみじん切りを加えるという工程の場合、全部の刻みものを準備してから、やおら玉ねぎを炒め始める・・・ではあまりに時間がかかりすぎます。

なにはともあれ玉ねぎのみじん切り。そのままの勢いでお鍋に入れて弱火にかけ、塩をしてガスを弱める。弱火で塩がしてあればそうそうすぐに焦げ付くことはありません。かき混ぜるのはときどきで充分。

その間にほかの材料を量ったり、パセリを刻んだりしていくという簡単な話です。

 

ほかにも、たくさんの材料を使って料理するとき、すべての材料をそろえてから始めていませんか。

レシピに「豆を茹でる」とあったら、エンドウ豆の莢から豆を取りだして、それからお湯を沸かし始める。これでは時間が無駄です。先にお湯を沸かし、待っている間に、剥くということです。

 

レシピに沿って料理をするとき、指定された材料をまずすべて揃え、そのあと1番から順にたどるという料理をしていると、ばかばかしく時間がかかってしまいます。

 

ざっくりでも全部読んで頭の中で全体の流れをだいたい把握してから始めると、料理にかかる時間は少し短くなります。

 

 

 

塩の種類

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最近はいろいろな塩が売られています。

 

私が基本的に持っている塩は日常の味付け用のイタリアの海塩と、飾り塩としてのゲランドの塩です。

 

他にもお土産でいただいたカマルグの塩や、形が面白くて買ったイギリスマルドンの塩ーこれはものすごく低い確率ながらピラミッド形の結晶がでてきておもしろい!ーやら、いろいろあります。

 

でも常備している基本はあくまでも2つ。基本の2つのうち海塩はパキッとした塩味がつきます。ゲランドはいわずとしれたことですが、ミネラル分が多く、丸みのあるおいしい塩です。しかし、料理研究家のくせに、手持ちの塩が2つって少ない!と思われるかもしれません。

 

いっとき、なんでもゲランドで味付けをしていたときがありました。影響された生徒さんも、みなさんが美味しい塩に夢中でした。でも。

あるとき生徒さんが「自宅でポテを作ったけど、なんだか薄く仕上がりました・・」とおっしゃったことがあり、いろいろ答えを探りましたが、ハカリがくるっていたのでないとしたら、ミネラル分が多い塩が原因なのかもしれないと思いました。ミネラルの多い塩で漬けると本来の塩分濃度は下がることになるからです。

 

ほかの生徒さんは、「ゲランドでおすましの味を調えていたのですが、なんだかどうにもよくわからず、入れているうちに、気づくととても濃くなっていた」と言うのです。はっとしました。なるほど、そうかもしれません。

丸い塩は、丸い故に料理の基本の味付けに使うには、少しぼんやりしがちで、落としどころが分かりにくいのです。

 

というわけで、料理の基本の味つけにははっきりと塩味がはいるものを使うことにしました。そのほうが最少で的確に塩が入れられるはず。精製塩でもいいくらいです。

そして最後の仕上げに料理に直接ふりかけるようなときのみゲランドを使うことにしました。視覚的な要素も半分。

以上、基本の塩を2つしか持たない理由です。

 

そもそも塩の使いわけについて、あまりに複雑すぎる必要はないと私は思っています。たとえばトマトにダイレクトに塩をして口に運ぶ場合、精製塩とゲランドではあきらかに味が違いますが、煮込み料理の味つけにゲランドやそのほかおいしい塩を使ったところで、分かるほどの違いがでてくるものなのか? 甚だ疑問に思っています。

というのは煮込み料理には素材由来のミネラル分がほかにいっぱいあるわけですから、料理と一体化したとき、塩分がゲランドによるものか精製塩によるものか、分かるとは思えないからです。

 

ただもう1つのポイントは、人は頭で食べる部分があるので、お店で

「これはどこそこ産のおいしい塩です」

と言われると、やっぱりおいしいと思ってしまうこと。(もちろん私もそうです)

あ、でもこれもやはり使われ方としては、(基本の味付けではなくて)最後の飾り塩的ですから、やはり道理にかなっていると思います。

 

塩加減は難しい?

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塩加減とは簡単なようでいて、とても難しいものです。

 

日常の塩加減にはとくにだれも問題は感じないと思いますが、いざあらたまって料理をするときは少し身構えてしまうものです。

 

いろいろな場合があるのですが、結論から言えば、私は「困ったら0.85%で」と伝えます。

なぜこんな数字かといえば、生理食塩水の濃度(=人体の塩分濃度)が0.8〜0.9%だから。

 

困ったらというのは、その方がもし塩の見当がつかないなら、という意味です。日常ならいちいちはからないでしょうが、初めての料理のとき、大量に仕込む必要があるとき(ぶれたら、量が多い分、大変)、時間がないとき(直したり考えたりする時間がもったいない)などなど、そんなときにはたいていこの数字でまず問題ないと思います。

 

私もあとから補正できない料理などはまず0.85で試作してみて、そのあとで小さく数字を触ります。

それは料理、材料、時間によって変わる可能性はあるのですが、基本的にはこの数字で薄すぎてどうしようもない、とか、濃すぎて食べられない、ということはないということです。

 

もちろんそれは基本的な話しであって、ほかにもいろいろ違う塩分の濃度設定をしています。

たとえばマリネにするとき、時間があるならこれでOKですが、時間がない(たとえば教室内の場合)ときは1.2%くらいに設定することもあります。テリーヌなどの加工品は1.3とか1.4など、塩漬け肉のときはもっと必要になります。脂ぎっているときは多めだけれど、あっさりした肉質のときは少なめ、などなど。

 

少し減らしたほうがよい場合は、塊の大きなお肉を焼く場合です。塊の場合、細切れの肉よりも表面積が小さくなり、そこに同じだけの0.85の塩がすり込まれると、噛んだときの塩の感じ方が強すぎることもありえます。内側に塩をすることができない分少々は強いほうがよいのですが、あまりに強いのは考えもの。

というわけで、大きな塊の場合は、少し前から塩をして内側に浸透させておくか、あるいは少し減らし気味にすることもあるのです。

 

 

コンポートのコツ 果物③

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前回に続き、コンポートの作り方。

コンポートにする果物、たとえば桃や梨、りんごは酵素を持っていて、「剥く」という動作によって細胞の内側から酵素がでてきます。これが酸素と結びついて茶色く変色することを褐変といいます。

 

せっかくまっしろに煮上げたいコンポートが茶色くなってしまったら、とても残念。そこで上手に褐変を防ぐコツをご紹介します。

 

酸素と結びついて酸化して茶色くなってしまうのですから、酸化を抑えるために、「酸」を使います。よくレモンで色止めをしますが、同時に爽やかな酸味も入って一石二鳥です。

 

さらに「酸素」を遮断します。具体的にはシロップをたくさん用意して、どぼんと沈めた状態で煮れば茶色くなりません。浮いてくる果物は落とし蓋で沈めた状態で静かに煮ればいいのです。

ただし実際には多めのシロップを用意するということは、大量の砂糖がいるということ。なかなかシロップの再利用ができない(甘すぎるため)ので、もったいないなぁ・・という気分になります。

 

あるいは上面にラップをしたり、オーヴンに入れてしまう、というやり方もあります。しかし落とし蓋で完全に沈める場合は確実に褐変を止められますが、これ以外はやはり少し褐変してしまうことも。

 

もう一つの要素は「熱」です。酵素は47-48℃程度で不活化します。つまり温度が上がればもう茶色くならないのです。

そこで沸いているシロップにつけるわけですが、気をつけないといけないのは、化学変化は温度が高いとどんどん進んでしまうということ。

つまり常温ならゆっくりすすむ褐変も微妙な温度があるとかえって進みやすいのですから、注意が必要です。100℃のシロップにつけても、すぐに果物が48℃になるはずもなく、このタイムラグの間に酸素があると劇的に反応がすすんで茶色くなってしまう、というわけです。

 

以上から、私は

①果物をどぼんとシロップに完全に沈めて煮る。

②果物の上面がシロップからでている状態の場合は、1〜2分に一度はひっくり返しながら煮るという方法にしています。これは最初の5〜10分くらいまでが肝心で、後はそれほど頻繁に面倒を見なくても大丈夫です。酵素が不活化するまでの時間だけ、見張っていればいいのです。

今日は火の入った果物のおいしさ第2弾コンポートです。

 

コンポートとは、果物のシロップ煮のことで、水か赤ワインと、砂糖やスパイス類を使います。

 

まず液体と砂糖、スパイスを入れて煮立ててシロップを作ります。

沸いているところに果物を入れて、沸騰しないように注意しながらやさしく火を入れます。日本語の「茹でる」とか「煮る」の一言では言い表せないのが

pocherポシェ、英語だとpoachポーチ

これは沸く寸前の温度で静かに煮ることを指します。

ぼこぼこ沸騰させてしまうと、果物が崩れてしまうからです。

 

シロップで煮ることの利点は

①少し火が入ることによるおいしさ

生にない食感、香りがでてきて、別の味が楽しめます。

②香りを入れられること

使ったスパイスや赤ワインの香りが果物に染みこみ、もともとのおいしさにプラスαが入れられます。

③甘味が入り、水分が少し抜けること

果物の水分が抜けて、かわりにシロップの砂糖が果物に染みこみます。

水分が抜けることでタルトや焼き菓子に焼き込むこともできるようにもなるのです。

 

果物の熟し加減によって、ポシェする時間は違ってきます。固ければ少し長めに、完熟ならすぐに火を止めます。

そのままシロップにつけたまま冷まし、一定のところまで温度が下がったときにぴたっと果物の中心に火が入るのが理想です。入りすぎもだめ(崩れるし、香りを失うもとに)ですし、入らなさすぎもだめ(途中まで生ということになってしまいます)。ちょうどよいところまでジャストで火の入った果物は食感といい、味といい、素晴らしいものがあります。

どうやってその時間を決めるのか、といえば、何度もやってみることです。コンポートの場合中を割ってみるわけにもいかないので、まず皮を剥いた瞬間の果物の感じで、だいたいの熟し加減をはかり、煮る時間を決めます。シーズン中に何度かやると、だいたい分かるようになります。

 

私は果物はちょうど熟した辺りをコンポートに煮止めるがとても好きです。

なぜなら若ければ香りが充分でないから。

甘味は砂糖で足すことができますが、香りを足すことはできないからです。

 

 

 

コンポートを作る際に直面する果物の「褐変」についてはまた次回。