お盆が来ました。

毎年、思うことがあります。まじめな話ですみませんほろほろ。



1.訪日外国人が口をそろえる


訪日する人が激増。

YouTubeで彼らの感想を見ているとみな同じようなことを言う。


綺麗だよ。道路にゴミがない。

汚れたり傷のある車なんて走って無い。

トイレがすごくきれいだね。

女の子はナイスな服装だし、みんな可愛いっ。

美味しくて安い食事は感激モノだ。持って帰りたいよ。

食材や味付けのバリエーション、緻密な工夫に新鮮さ。店での接客の良さ。すごっ。


道路も電車内も、大勢いるのにとても静かだ。

道端や電車で寝ている人がいるなんて、びっくりだ。

子どもが一人で電車に乗ってるっ!

警察官もほとんど街で見かけなかった。治安が良いんだなってつくづく感じるよ。

困っていると日本人はほんとに親切に助けてくれるね。

日本人はとても礼儀正しく、ちゃんと相手に敬意を払う。すごいよ。


自然の美しさを保っていると多くのひとが言います。

神社仏閣とモダンな街とが一緒にあることの驚き、

古風なしきたりと、超効率的先端的な技術がいたるところにある巨大都市。

日本人はとても効率的だけれど、自然と調和しているという評が多い。


賞賛の声が多い。

そもそも、憧れてわざわざここまで来た人たちだもの。

ただ、わたしたちには当たり前な現状なので、彼らの誉め言葉に面食らう。

嬉しいけど、わたしがしたことじゃないし。

こんな褒め殺しみたいな経験初めて。

鵜呑みにしていいのかな?ほんとにウルワシの国なん?




2.幸福度


彼らは、どうして日本はこんなに完璧で美しいの?と聞きたいという。

日本人は調和を躾けられるし、集団からの逸脱には制裁もある。

異常に配慮や従順を求められ心身を壊す人も多いです。

ゴミが1つも落ちてないというけど、

わたしたちは小学校の頃から、教室の掃除は業者ではなく、自分たちでさせられた。

自分たちの空間は自分たちで掃除する。自分のゴミは自分で始末する。


どうして、訪日客が口をそろえて清潔感やきめの細かさ、人助けに驚くのかな?

日本以外のすべての国では、ゴミ散らかし放題で、味付けは塩コショウだけで、誰も助けないの?

そんなわけないだろう。

でも、日本だけ、なにが特別なんだろう。

この1億2千万人が廃墟の中から立ち上がり、長い間GDP2位であった。

パリ・オリンピックのメダル数はめでたく3位あたりだし、ポチポチとノーベル賞を受賞してきたし。

とんでもなく優秀?


いや、世界保健機関の統計によれば(2022年)、暗黒面をがっちり抱えていることが分かる。

自殺死亡率は、韓国、リトアニア、ハンガリー、スロベニアと来て、日本は5番目に高い。

140か国ほどあるのに、5番目ですって。

さらに、女性だけで見たら、韓国1位に次いでなんと日本は2位に躍り出る。

おお、、このおもてなしの国では、女性も犠牲となっているっ。



国連が発表する「世界幸福度ランキング」というのもある。

2023年の1位はフィンランド。続いてデンマーク、アイスランド、・・・日本は47位。

長い間、ずっと50位あたりを低迷しています。

「最近の自分の生活にどれくらい満足しているか」を尋ねたものです。

日本と上位の国々を比べると、健康寿命では日本が上回り、1人あたりGDPにも上位と大きな差はなかった。

けど、人生の選択の自由度や寛容さに課題があった。

「職場の相互尊重」が弱い点が、はたらく幸せ実感が低い一因となっていた。

日本の組織文化では、韓国と並んで「上層部の決定にはとりあえず従う」「物事は事前の根回しによって決定される」といった「権威主義・責任回避」が高かったのです。



ここに住む者たちは、個が圧殺され易いといえます。

外向けの顔は良いけれど、目下の者の扱いはゾンザイです。

訪日客に褒められるほどに人は満ち足りてはいない。

なんでも、物事には2面性があるというわけです。




3.夏が来るたびに不思議に思う


原爆が落とされました。

何十万人という人たちが亡くなり、苦しんだ。後遺症をずっと抱えた。

ガザで4万人。ジェノサイドというのは確かにそうなんだけど、桁違いに規模が大きかった。

2発落とさなくても、すぐ終戦だったのに落とした。

甚大な被害を民間人が受けたのです。なのに、誰も恨み言を言わない。毎年、粛々と悲しむのみ。


たぶん、日本がアジアに侵略したという事実をみなが背負っている。

負けた将は何も語らずという人生観も組み合わさっているかも。

でも、壮絶な苦しみの中で親や兄弟は死んで行った。

その血と涙をなぜ民間人が払わないといけない?

誰もアメリカを非難しないって、とても不思議です。



韓国や中国の人の様に、日本がしたことの非を今も非難することの方が気持ちは分かります。

恨み骨髄に至るわけです。今世どころか、来世も許さないっ!

言っても今更仕方ない、では済まされないのです。

でも、中国や朝鮮半島の人たちと比べて、そもそも日本人は起こった悲劇に対して穏やかです。

巨大な地震が始終襲います。台風や豪雨もすごいです。

人口多いから事件事故、犯罪も多い。

なのに、わたしたちの反応が穏やかです。

なぜ激怒に引っ張られないんだろう?

毎年、広島や長崎の式典をテレビで見るたびに疑問が涌きます。




4.この世の次元


お盆の1週間前ほどから霊界は開くという。

世界的に見て、こんなに先祖供養をする民族は珍しいそうです。

お盆はいったい何を意味しているんだろうかと思ってしまう。



わたしには親がいました。その親の親もいたし、さらにその上の親もいた。

ずっと途切れずにここまで遺伝子が続いた。

さらに、おサルさんの前のネズミさんみたいな存在、さらにその前の魚さん、さらにその前のアメーバみたいなの。。

すくなくとも、5億年前から今日のわたしまで命が続いている。

どの1代も欠けずに子を産み続けてここまで来た。

こりゃもう、奇跡としかいいようがない。

先祖供養といいながら、大袈裟にいえば、宇宙と命の不思議さを想うのでしょうか。

そういうけじめをお盆にする。そしてから、霊界が閉じる。



日本人が恵まれてるわけではないでしょう。

どの親世代もかなり欠点のある人たちが構成してきたと思う。

毒親も今に始まったわけでもない。子殺しも、いじめも多かったでしょう。

でも、この島国の四季を浴び、水を飲み、お米を食べているうちに、何かが浸透して来る。

そして、ここに住む者たちは、無意識にその雰囲気をまとう。

染み込むのは、忍耐と品格かもしれません。


ご先祖様がやって来るんだと準備する世界では、それに相応しい世界が展開されて行くでしょう。

配慮、気配り、感謝のウェートが増し、された相手も嬉しかったらそれをお返しする。

もちろん、無理して良い子をするので心のびのびとはしないかもしれない。

でも、良い人の玉突きが日本中に連鎖して行く。良貨は悪貨を駆逐する。。。


キュウリやナスに割り箸刺しても何にも変わらないという服を着た国民なら、それに相応する景色が展開する。

原爆、許すまじ!と思っても、それを声高に叫ぶ民族と、黙する民族とではその後が変わってしまう。

何をまとうかで、その後を変えてしまうでしょう。

なぜか、日本人に染み込むモードは、よその国ではめったに選ばれないものだったでしょう。

自分を犠牲にしても他に尽くす。和の中で生きるという服。

かなり息苦しい服。

でも、それはこの島国にフィットした服だったでしょう。




国ごとに雰囲気をまとうのなら、個々人ごとにも何かをまとうわけです。

その着たもので世界を見るから、実はそれぞれが異なる世界を見ているのかもしれません。

あなたの視座とわたしの視座は明らかに同じではないのです。

あなたはあなたの世界を生成し、わたしはわたしのそれを生成している。

そのような多元的な世界がここでは展開されていて、実は、誰一人とも同じワールドにはいないのかもしれません。

同じ日本に居ながら、各自は着ている服に沿った脚本が強化される。

ワールドは本人が創り出すものだとしたら、それは遣り甲斐のあることでもある。

環境に負けずに、願いを持ち続けることもできます。

不利なスタートだったとしても、コウベを高く掲げ魂を守るということもできる。

お盆が来ると、そんなことを毎年想います。




P.S.


わたしは、胸で先祖を想うだけです。

キュウリやナスに割り箸刺したことが一度も無い、不信心者です。

でも、想うと胸が開かれ、なにか清々しくなります。

5億年分の先祖が勢ぞろいする?



暑い日に原爆が投下され、お盆があるというのも、極東に生成された1つの世界。

日本人個々のワールドが1つに合成されて、日本というワールドが展開されてゆく。

訪日客がこれを喜ぶのは、単に珍しいからじゃないかもしれません。

彼らがどこか遥か遠くに置いてしまった、とても懐かしい過去に触れるのかもしれない。

その懐かしさの匂いを嗅ぎ付けて、こんな遠くにまで来るのでしょうか。