@短冊を見つけた夜に… | 溢れる想い 〔ポエムのささやき〕

溢れる想い 〔ポエムのささやき〕

心から溢れた言葉をつなげて、文章にしてみました。
あなたの小さな何かになれたら嬉しいです。

夫の入院している

 

病院に到着しました…

 

「ふぅ~」

 

顔の汗を拭きながら

 

少し溜息…

 

それほど

 

今年の夏は

 

暑いや…

 

玄関には

 

大きな笹に

 

色鮮やかな短冊が

 

飾ってあります…

 

色んな色の短冊は

 

それだけで

 

アートだね…

 

ふと短冊に

 

近づいた…

 

「元気になりたい…」

 

『早く家に帰りたい…』

 

患者さんが

 

短冊に願いを込めて…

 

短冊が一枚

 

揺れた気がした…

 

ふと目をやると

 

まるで

 

殴り書きのような

 

そんな文字…

 

『妻が電車で席に

 

座れますように…』

 

その文章を

 

読んだ時

 

すぐにそれが

 

夫が書いたと

 

分かっちゃう

 

分かっちゃうんだ…

 

汗と涙が

 

床に落ちてく…

 

慌ててトイレで

 

顔を洗う…

 

そして

 

夫の病室に入る…

 

「どう?元気?」

 

夫はしきりに

 

手首を押さえている…

 

もう昔の体には

 

戻れません…

 

もう昔のように

 

なりません…

 

それでも

 

夫の視線は

 

ただ

 

前だけを向いている…

 

私はそっと

 

夫の手首に

 

手を添える…

 

「今までありがとう…」

 

その手首に

 

心で感謝する…

 

私を見つめてくれる

 

その笑顔に

 

何度も

 

何度も

 

「一緒にがんばろうね…」

 

の文字を

 

あなたに

 

沢山

 

貼り付けるんだ…