再起は覚束ない管執行部体制

(日刊ゲンダイ2010/7/13)

投票日前日の新聞広告で「説明不足」を陳謝するぐらいだ。菅首相は、自らの「消費税発言」が、選挙で足を引っ張ったことをよく分かっているのだろう。だったらなぜ、そんな不用意な発言をしてしまったのか。
「菅さんは元来、政局オンチなのです。党内手続きも踏まず消費税増税を言い出したらどうなるか、全く分かっていなかった。案の定、選挙戦では民主党の候補者が消費税増税に『賛成』『反対』バラバラで、有権者が失望し離れてしまった。菅さんの周辺に、『総理、それはおかしいですよ』と進言する人もいない。裸の王様なのです」(民主党中堅議員)
選挙後の判断でも、菅首相は世論を読み違えている。
大勢判明の深夜に、早々と執行部の続投まで宣言。仙谷もきのう(12日)の記者会見で、「大変もだえ苦しむことになると思うが、それをくぐり抜けてこそ日本の政治が成熟する」と、自分たちの続投を正当化した。ホンネは政権にしがみつきたいだけだろう。
落選した千葉法相のクビも切らない。閣僚をひとり動かすことで「だったら内閣改造を」の声が高まり、「執行部も交代しろ」に拡大するのを恐れてのことだ。奇策まで繰り出して逃げる政権を有権者が支持するわけがない。
政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう言う。
「有権者はこれまで『責任を取らない政治』に不信感を抱いてきた。参院選の民意を反映すれば、菅さんは党と有権者に何らかの責任を取る必要があります。菅さんが続投なら、選挙を仕切った幹事長が責任をとるのが筋です。民主党の良さは、何事にも逃げないで議論していくところでしたが、今は政権病にかかってしまっています」
菅首相と民主党の支持率続落は必至だ。逃げてばかりでは、巻き返しなどできない。