知床沖で沈没した観光船、KAZU 1。

1度は吊り上げてそのまま曳航していたが、

途中で落下してしまい、

最初より深い水深の場所に沈んだ時は、

引き揚げは難しいのではないか、と思ったが、

流石にプロ集団、再度チャレンジして成功した。


最初の引き揚げは、

邪魔になる開口部を閉めたりする為に、

潜水夫が飽和潜水し準備したらしいが、

そこはクリアされている今回は、

ベルトを掛けるだけなので、

無人探査機でできたらしい。


海面近くまで引き揚げ、

水深の浅い所まで曳航して、

夜を徹してサルベージ船に上げ、

ゆっくり網走港に運んだ。

この後水抜作業をして、

本格的な調査が始まる。



船底に3ヵ所穴が開いている、という情報もあり、

キチンと検証できれば、

沈没の原因が分かるかもしれない。

残念ながら行方不明者の方々は、

船内にはおられないようだが、

何か少しでもいい、

持ち物が見つかって欲しい、と思う。



既に事故から1月余りが過ぎ、

行方不明者が流され続けているとすれば、

発見は益々難しくなるだろう。

だが、家族にすれば、区切りなどつけられない。

見つからなくても、海難事故等では、

発生から概ね3ヶ月で死亡認定ができる。

だが、それは家族からの申し出があった場合で、

自動的に認定される訳ではない。

それでも相続の問題や保険金の支払い等もあり、

いつまでも放置してはおけない。

かといって申請すれば、

自分が戸籍上で死亡にしてしまう、という葛藤もある。



そういえば去年の朝ドラ、「おかえり、モネ」で、

津波で妻を亡くした浅野忠信が、

どうしても死亡届を書けない、と号泣するシーンがあった。


失踪宣告でもそうだが、

「死」を突きつける現実が目の前に無いのに、

推定で認めるのは辛い、と思う。

生存はあり得ない、と頭では分かっていても、

だからといって簡単に認められる訳が無い。


やはり死は、遺体があって、

通夜や葬式のような儀式を行いながら、

時間をかけて段々に受け入れて行くものだと思う。


だから、何としても見つけてあげたいし、

行方不明者の方も、家に帰りたいだろう。

それが叶わないのなら、

せめて何故こんなことになってしまったのか、

事故の原因究明と責任の追及だけは、

きちんとして欲しいと思う。


だからといって、納得できる物など、

何一つ無いだろうけれど。



ともあれ、KAZU 1を引き上げてくれたサルベージ会社の皆さん、

本当にお疲れ様でした。