「JISカナ時代の体験に強く影響されている飛鳥」 | 飛鳥カナ配列 ☆未来の子供たちへの贈り物☆

「JISカナ時代の体験に強く影響されている飛鳥」

この記事は、飛鳥初心者の51さんの↓の記事のレスとして書きました。

http://pc7.2ch.net/test/read.cgi/pc/1111550971/382

382 :"51":2006/03/26(日) 02:48:14 0

 練習し始めて10日が経過しますが、まだあやふやです。
 飛鳥は学習の波及効果が少ないですね。濁点後付けのカナとは違って、「まずまず」が打てるようになると、「ますます」も打てるようになるということがないという意味です。
 この効果はM式やSKYで顕著です。どちらも清音と濁音とを配置上関連づけています。
また例えば"daken"というストロークからは片手毎に"d k"の2キー、"a en"の2キーが再利用でき、それぞれ"doku"や"doken"、"aen","saen","kaen","maden"などに波及効果があります。
初期に早く覚えられるか、打ったことのないストロークにも慣れられるか、という観点からはアドバンテージがあります。
 その点飛鳥は辛いですね。
濁点を後付けにしたり関連付けしてしまうと、配置が濁点に縛られてしまうのでよくないと考えられた結果なのでしかたないことです。
その代わり飛鳥は特定のストロークパターンが繰り返し出現しますから、早く覚えたければ音韻ではなく、運動パターンを頼りに覚えるのがいいのかもしれません…。やってみないと分かりませんが。 >

表題にはああありますが、飛鳥の配列自体はJISカナの影響を殆ど受けていません。

しかし、私が配列を考えるに当たっては、以下に述べる私のJISカナ時代のある
「体験」に、配列のあるべき姿を教えられたという意味で強い影響を受けました。

つまり、JISカナというカナ配列においては誤った考えで作ら
れた配列が、打ちにくさを生んでいたのを確認できたのです。

(ただ、「誤った考え」というのは、現代のPCでの打鍵環境と打鍵への世の中の
 要請を考慮するとそうだということで、サイトメソッドでゆっくりと打つ当時の 
 カタカナタイプライタ時代の要請にはそれなりに答えていたと思います。)

飛鳥は、「その轍を踏まない」という意味で、JISカナは私が配列を作り始
めるときに、良い反面教師となってくれたというのが今回の表題の意味です。

51さんは、飛鳥の配列を覚えるのに苦労されているようなので、
参考になれば思い、書き始めたら例によってまた長くなりそうです。。。

実は、飛鳥が習得初期の覚えやすさを全く無視しているように見える
のは様々な理由があるのです。

ここでは、その理由に入る前に、私が飛鳥がまだ飛鳥という名前ではなかった
親指シフト配列作りの初っぱなから、50音的なものに代表される「覚えやすさ」
を殆ど無視することになったきっかけをお話ししたいと思います。

これは、更に時代を遡って、ワープロ専用機全盛の頃のお話。

BASICのマイコン時代からJISカナを始めていた私は、多くの人が辿った
98のDOSには移行せず、ワープロ専用機に行きました。

と言っても、私が当時から完全文系の長文書きだったからではありません。
インターネットという発表の場もない時代でしたから、文章で自己表現する
ことに私は何の興味もありませんでした。
また、今みたいな長い文章を自分が書くのが好きとは、まだ気づいても
いないころのことです。

大体、こんな長いのプリントアウトして渡す相手なんているはずがありません。
「ここに置いているから勝手に読んで」のネットだから出来ることです。

で、私は教材作りや印刷所に渡す塾の宣伝の原稿作りに、色々便利な
機能が多くて、気軽に買えるので買い換えも簡単な専用機に走りました。

で、当時は「ワープロ検定本」のコーナーが私のいた田舎の本屋さんにも
あるくらいで、ワープロという「特技」と共に、ワープロ検定というのは
世間の注目を浴びていました。

私は、検定自体には興味はなかったのですが、ワープロを教えて欲しいと生徒の
親に頼まれたこともあって、検定本を買ってどういうものだか勉強したんです。

で、あの検定って車の教習と同じで、実技と共にペーパー試験の学科もあるんです。

良く覚えていないのですが、実技は1級でも10分で400字か600字だったと思います。
当時でも、既にタッチタイプのJISカナ歴が長かった私は余裕でパス
できるのが練習問題を打ってみて分かりました。

しかし、ペーパーの問題の一部が丸で馬鹿げていて驚いてしまいました。

曰く、「『W』のキー位置のカナは□である」とか、あるキーに乗っている
カナを、英字のキー名から答えさせるんです。

でも、タッチタイプというのは「て」を打とうとすると勝手に指が
Wに伸びて打つわけです。
覚えはじめの時のように「『て』はWのシフト無しだから、Wをそのまま打とう」
なんて思って打ったら、分速10字とかの世界になってしまいます。

タッチタイプでは、「て」→Wキーに指が行く という一方通行です。
打鍵練習も、その一方通行の音と指の関連を指に覚え込ませるので、
逆をやることは全くないのです。

つまり、W→何のカナが乗ってるか考える というのは、打鍵には一切関係ありません。
何年JISカナで打っていても一回もやったことがないことを聞かれても困ってしまいます。

ですから、上のような設問を出されても、なかなか答えられないのです。

「です。」なんか、死ぬほど打っているのに、Wに指を置く形を作っても
何のカナが乗ってるかなんか全然分からないんですね。
(飛鳥の場合は私は作者なので、配列表作ったり飛鳥文書を書いているので分かりますが)

キーボードがあれば刻印を見れば分かりますが、当然ペーパー試験の会場には
一切キーボードはないわけです。家で検定本で練習しているときでもズルを
しないで、ここはワープロの先生としては正しく答えなくては沽券に係わります。

で、一生懸命考えても出てこないので、しょうがないので机に指を置いて、
「必殺五十音打ち」のカナ探しが始まるんです。

要するに、「あいうえお」から順にバーチャル打鍵して、指がWの位置に行くカナが
出てくるまで探すんです。
当然JISカナですから、「て」を打とうとすると指がWの位置を叩きます。

「て」は19番目で出てくるので、まだ苦労はしませんでしたが、それでも答えが
分かるのには10秒くらい掛かったと思います。

で、笑っちゃったのがA.「0のシフトは何か」という問題でした。
机の上で、シフトして0を打つ形を作っても、何のカナだか全然分からない。

「アイウエオ~~~ヤユヨ」まで40個以上打つ真似をしたのに0キーに指が行くのがない!

あっ、「ワ行は一個しかないけど、「ワ」があった」と思ってバーチャル打鍵
したら、確かに右薬指は0キーを打っている。

しかし、左の小指はそれに同期してシフトキーに行かないんです。
つまり、「ワ」はAの答えではありません。

ううん「ア行からワ行まで探しても見つからないのは。。。あっ!!「を」と「ん」があった!」
で、「を」を打つ格好をすると、ビンゴ!シフトをして0キーを
打つ形を指が勝手に作りました。

正解に辿り着くまで1分とか掛かったはずです。

文の中での「を」を打つときはコンマ何秒かで打っているのに、逆にキー
の位置からカナを聞かれると、答えるのに百倍以上の時間がかかるんです。

でも、初心者にキー位置を聞かれるときも「「ん」はどこ?」の質問はあっても、
「Yキーのカナは何?」と聞かれることはありません。

Yキーを見ながらそういう質問をするはずですが、Yキーを見ていれば「ん」
という刻印も同時に目に入るので、そんなことは聞くはずはないんです。

つまり、Aみたいなことをすらすら答えられる練習をしても
「アホな検定試験以外一切役に立たない」んです。


で、何にでも食って掛かる批判好きという悪名も高い私のことですから、瞬間的に、
「こんなアホ問題を検定試験に出すのはどこの馬鹿者か!」と、当然怒りましたね。

検定試験にそういう設問があるから、仮にアホ設問と分かっていたとしても、検定本
の方も、そういう問題を必要上乗せるわけです。検定本の作り手には罪はありません。

(今から思えば、ワープロ検定協会なんてのも、どうせ旧通産省か文部省の
 天下り辺りが上にいたんでしょうから、期待するのがアホみたいなものです。)

しかし、これも理屈っぽいという誉れ?も高い私のことですから、思考は続きます。

待てよ??俺は最初からキーボードでカナを探すことはしないで、目の前に貼った
配列表からカナを探して打って、JISカナを指に覚え込ませた。

でも、今は何にも覚えていないが、始めての時に「て」を探すとしたら、配列表を見て
「そうか、タ行は左手の左上から順にQAZWDまでが「たちつてと」となっているんだ。

「わ」は0キーで、「を」は表記のみ生き残っているワ行の仲間だから0のシフトなんだ」と
納得して、何回か表を見て打った後はなるべく表は見ないで、頭の中にある↑の法則から
「『と』はDのはず。エイヤッ!」とDキーを打って、正解だと確認して指に各カナの
位置を覚えさせていったはずです。

いったはずなのですが、問題は全然その記憶がないことです。
だから、あの種のアホ問題を解くのに手間取ったんです。


役立たずの「カナの位置の規則性」

配列を作り始めるまでは上に言ったタ行の規則性や「わを」の規則性など、一度も
考えることはなかったので、JISカナを覚える数日以外一切役立たずだったのです。

確かに覚えるにあったってJISカナの規則性は役には立った。
しかし、それは配列を覚え始めた最初の五日間とかだけのこと。

(ただ、私がJISカナを覚えるのが早かったのは、当時でも英文が秒速数打鍵で
 打てていたためです。最上段の数字や記号を含めて、キーの位置が完璧に頭に
 入っていたので、それを手がかりに短時間にJISカナを指に覚えさせられました。

 JISカナでの打鍵練習も、単語だけを繰り返し打って綴りを覚える練習を
 タイプライタで死ぬほどしていましたから、同じことをJISカナでするのには
 何の抵抗もありませんでした。
 
 多分この辺は、日本語の打鍵から急に入る今の人たちと随分違っていると思います。
 でも、単純な英語から打鍵の世界に入るのはいい方法だと今も考えています。

 ですから、英語を打っていなかったり、英字はローマ字だけの人で、数字段を見て
 数字や記号を打つ程度の人だと、JISカナのタッチタイプをマスターするのに
 要する時間はもっと掛かると思います。  

 特にタイプライタの英文打鍵から入ると、書類や新聞雑誌に目をやりながら
 の打鍵練習になります。
 実践では百回に一回の誤打鍵も許されないので、英文タイプライタ打ちは
 タッチタイプが完璧で正確なのです。

 英文タイプの練習段階で英文がスラスラと沸いてくる日本人は少ないので、
 タイプライタの練習はいきおいコピー打鍵にならざるを得ません。
 英語学習中ですから、単語の綴りとかも曖昧ですから、余計にそうです。

 そうすると、お手本から目を離してキー位置を確認などしていたら、続きを
 見つけるのに相当時間が掛かり、無駄な神経を使うので実質練習が出来ません。

 ですから、日本人の学生など、英語も学習段階の人にはコピー打鍵
 だけが主になるため、「完璧タッチタイプ」は必須なんです。

 逆にネーティブの作家などは、頭に英文が幾らでも沸いてくるのですから
 お手本など無用です。つまり、英文の創作打鍵ではタッチタイプしなくても
 いいんです。データなど世俗的なことには無関係な文学などでは特にそうです。
 実際ヘミングウェーなんかは、左右一本指打法のサイトメソッドで長い小説
 沢山書いてますしね。)

あらら、話がまた逸れました。要するに、完璧に四段の全てのキー位置が頭に既に
入っている人は、それを手がかりにカナ配列を覚えるのにも有利だという話でした。。。

とにかく「カナのキー位置の規則性」は、覚えた後は全く何の役に立たないのです。
役に立っていないだけならいいのですが、大体あることに良いことは、他のことに
悪い副作用を与えるものです。

で、配列作りを始めるに当たって私がまず考えたのは、歴史から学ぶということで
「カナの50音的規則性を配列に反映させるべきか否か」の問題でした。

で、一分考えてそんなの百害あって0.1利しかないのでヤメッ!って決めましたね。
当時は自分だけのための配列だったから、決めるのも簡単でしたが。

一人だけで思っていて、何の記録も残していないので正確ではないのですが、
上で書いた「覚えるのに一時役に立つ法則はそれ以降使わない」ことの他に、
どうもJISカナの刻印を眺めて、こんな風に考えて決断したんだと思います。


(下の文の理解のための、当該するカナ出現率教科書データです。
(た=2.26% ち=1.25% つ=1.70% っ=1.62% わ=0.53%  を=1.58%)

「ううん、どう考えてもQの『た』はAの『ち』よりよく使う。それなのに
「た」はQで英文打ちの鬼門になっているほど、打ち難いキーだ。

Zの「つ」だってAの「ち」より使う。Zのシフトの「っ」に至っては「ち」より多く
使うだけでなく、速く打ちたいカナなのに、打ち難いしシフトだし小指が痛くなって参る。。、

それに0のシフトの「を」なんて同じ0のシフトのない「わ」よりよく使うのに、
最悪のシフトの0なんて数字段を使っているのも「わを」が同じワ行のためだからか。。

「く」なんて2.67%も使うのにHとホームを外してるのに、1.54%の
「り」はちゃっかり打ちやすさ三番目のホームのLを占領している。

あっ!!「らりる」がOL.と縦一列に並んでるからか。。。

(って、最後のは当時ではなく、今気づいた発見です。いや、JISカナを覚え
 始めたときは多分その規則性を使って覚えたかも知れません。それ以来考える
 必要がなかったので忘れただけで、きっと、二十何年ぶりの再発見ですね。)


覚えるときに、規則的な手がかりを作ることを重視して配列をすると、
こんなにもカナの出現率とキーの打ちやすさの関係を反比例させたよう
な打ちにくいものを、使い手に永久に押しつけることになるんだ。。。」

最初の数日の手間を惜しんむために払うコストとしては大きすぎるんです。

私の場合、覚えるのが五日ではなく十日かかったとしても、JISカナが
もっと打ち易い配列だったら、飛鳥作りに走ることはなかったはずなんです。
何しろ、あの打ち難い配列に15年も悩まされた挙げ句の果てのことですから。

しかし、皆さん誤解しているのですが、私は他の入力法も含めて
古い配列を「悪い」と言って批判しているのではありません。
作った人がアホだと言っているのでもありません。

JISカナでもニコラでも、毎回タダでこんな長い文を書く人間が出てくるなど
誰も予想できない時代に、データも開発環境も劣っていた中で作られたのです。

今のPCで打つのが前提の視点から打ち難いと言っても、QWERTY配列やJIS
カナは、タイプライタで打つという本来の前提では上段が打ち易いのです。

また、田中さんや神田チームがいなかったら、日本人は日本語の
カナで文章を打つ手段がなかったわけです。

JISカナやニコラやローマ字は一定期間は時代の要求に答えてきました。
しかし、これらはもうネット時代の大量打鍵には応じられません。

また、一部の人が打ち難いのを我慢すればいい時代から、国民の多くが
打鍵を要する時代への変化にも対応できるものではありません。

大体、今の三大メジャー入力法からは誰も学校で教えるべきものを
決めることが出来ないのですから。

私が批判するのは古い配列それ自体ではなく、それを非効率と知っているにも係わらず
古いものを使い続けている現状を放置している、お役所の官僚や企業の臆病な体質です。

コンピュータ周りの(昔は盛んだった)PC雑誌でもメーカーや店のお先棒を担いだ、
新製品の紹介はしても、皆んなに訴えたら関心が喚起できるはずの入力法の記事も
滅多にありません。

一時月刊アスキーで、だらだら続いていたニコラのものだけしか思い当たりません。
私と違って全然熱が入っていないので、毎月読みはしましたが試す気にはなりません
でした。親指シフトスレではありませんが、見事に理論がなかったのは当然ですが。。

新興勢力の飛鳥が自己主張するためには、既製の支配的なものと比べるしかないので
JISカナやローマ字やニコラを比較の対象としているのが、私が他配列に不当に
手厳しいという誤解を生んでいるのです。

大体、革新勢力が権力側におもねって過激な主張をしなくてどうする!>前原民主党

「現状を放置している」と言っても「新JISがあっただろう?」と
思われた方がいるかも知れません。

確かに「放置していた」のではなく「一回だけだけど、何とかしようとした」
というアリバイに、新JISの存在はなるでしょう。

また、JISカナやローマ字が非効率という認識が官民共にあったので、
新方式の開発をし、普及を試みたのは確かな筈です。

しかし、プロジェクトXを見れば分かるように、殆どの開発は失敗の連続で
一回のトライで大成功なんてまずありません。

つまり、「一回やった」はアリバイではなく「一回目で失敗したので、もう懲りてやらない」
という根性無しと臆病さの証拠に逆になってしまうのです。

飛鳥なんて、7年目の今でも迷っている(つまりまた更新になったら前回のは失敗作になる)
始末で、もう何百回何千回と失敗しています。

正確なことは発表もないようなので分かりませんが、新JISでも開発
に三年も掛かってないのです。一年あるかないかではないでしょうか?
(正確なところを知ってる方がいらっしゃったら教えてください。)

(あっ、忘れてましたが、下の記事でレスをしたら51さんは新JISユーザー
 なんですね。。(^^;; はい、新JISはJISカナより後発ですから
 当然JISカナより数段打ちやすいのは分かった上での話です。。)

飛鳥は置いておいて、プロジェクトXでやっていた「IHクッキングヒーター」なんか
最近のマンションなどでの本格的普及まで、開発を始めてからから二十年以上とか
掛かっているのです。幾たびもの失敗を乗り越えて今の普及を見ているのです。

(ただ、モノは開発に成功して普及すれば開発費も取り戻せ、莫大な利益も企業に入る。
 入力法や配列は「考え方」なので、MS並のあくどいことをやらないと、成功して
 普及しても利益にはならない。
 また、利益を出そうとしてモノを高くしたりすると、配列自体の問題があるにしても、
 ニコラのように普及しない。 普及しないから高く売っても赤字になる。

 他のところも儲けた前例がないから、損するに決まっている挑戦はしない。
 つまり、入力法や配列の開発は資本主義の論理に乗らない。

 って、一万数千時間掛かっている飛鳥開発が見事に資本主義に乗っていないのは
 それで一円の報酬も受けていない私が実証しているわけですが。。。( ;_ ;) )



あれれ(゚_。)??。。何書いてたか忘れた。。Page up key 発進!。。。

あっ、要するに覚えやすい配列にすると、その後、永久に打ち難い思いをしなければ
ならないというお話でした。

↓に続きます。