剰余生産物とは? | 草莽崛起~阿蘇地☆曳人(あそち☆えいと)のブログ

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剰余生産物…社会の年々の生産物は,大まかには,次の3つの部分に分類できます。

一つは,その年以前に生産されてすでに使われていた機械や建物などのうち,老朽化や故障などによって廃棄され,その埋め合わせのために,その年にもう一度作り直した部分です。この部分を社会経済学では,再現生産手段と呼びます。

二つ目は,必須生産物です。この部分は,現場作業を遂行する人々[労働する諸個人]が生活のために必要とする消費手段[衣食住などで消費される生活用品]です。この部分がないと労働する人々が生きていけず,その結果、社会全体が必要とする労働が確保できなくなってしまうため,社会にとって「必須」の(=必ず必要な)生産物となっています。

三つ目は,社会の年々の生産物のうち,再現生産手段でも,必須生産物でもない部分です。この部分は,社会の経済活動をそれまでと同じ規模で維持するために必要な再現生産手段と必須生産物以外の部分,経済規模を維持するためだけならなくても何とかなる部分だという理由で,剰余生産物と呼ばれています。では,剰余生産物は何のために生産されているのでしょうか。その理由は,次の通りです。①この部分を,新しく生まれた人のための追加的な消費手段やその追加的消費手段を作るための追加的生産手段として利用することができれば,人口増加に対応できます。②災害などに備えて予備の食料などとして備蓄しておくことができます。③-a生産手段や消費手段を直接生産しない人々[学者,医者,政治家etc.]のための消費手段となります。③-bけが・病気・高齢・幼少などの理由で労働できない人たちの消費手段となります。④消費手段でも生産手段でもない公共の施設[例えば国会議事堂]などになります。

さて、大谷禎之介『図解 社会経済学』では、このような,生産手段に対する労働する諸個人のかかわり方が,社会を構成する諸個人による生産物の,とりわけ剰余生産物の取得の在り方を決定する。」[p.29] と書かれていますが、これはどういう意味でしょうか。「生産手段に対する労働する諸個人の関わり方」というのは、『図解社会経済学』でいうところの「生産関係のかなめ」を指します。それそれの生産関係の特徴が最もよく表れている部分です。それが、剰余生産物を誰がどのように手に入れるかを左右していると大谷先生は指摘しているのです。

例えば、人格的依存関係では、労働する諸個人は、自分が所属する共同体全体の所有物として共同体の意思(掟、シキタリ、リーダーの意思という形をとる)に従って生産手段を取り扱います。同じ人格的依存関係でも、共同体のメンバーがほぼ平等である共同体的生産関係の場合には、全員が生産手段を共同体の意思に従って取り扱うので、この生産手段を使って生産した物は、剰余生産物も含めて共同体の意思に従って、それぞれのメンバーの間に配分されます。

しかし、同じ人格的依存関係でも、共同体が騎士(ヨーロッパ)、武士(日本)などの領主層によって丸ごと支配されている支配・隷属関係の場合には、剰余生物は、領主層によって税・年貢として共同体から取り上げられます。

それに対し、商品生産関係中のもっとも発達し生産関係である資本主義的生産関係においては、大多数の労働する諸個人は、賃金労働者として、自分が扱う生産手段に対して、他人である自分の雇い主の所有物として働きかけ、雇い主の意思に従ってこの生産手段を使って生産を行います。この場合、剰余生産物は、まず一旦は、すべて雇い主のものになります。しかし、そのままでは、災害時のための備蓄とか、公共の施設の建設費とか、社会全体にとって必要なものが確保できませんので、雇い主たちから政府が税という形で剰余生産物の売り上げの一部を徴収し、公共の必要のために用いることになっています。





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