生産関係とは? 商品生産関係とは? | 草莽崛起~阿蘇地☆曳人(あそち☆えいと)のブログ

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生産関係の核心、本質、それは、生産-生活手段にたいする労働する諸個人の関わり方です。物質的富(=生産-生活手段)の生産・分配・消費・廃棄を巡る人々の関係の全体は、この本質的関係を柱として組み立てられているのです。説明しましょう。まず、生産-生活手段にはいろいろなものがありますが、これらのものが相互に結びついているという事実をきちんと理解する必要があります。例えば、製鉄所の生産物である鉄は冷蔵庫工場に原料すなわち生産手段として入っていき、この冷蔵庫は生活手段として各家庭に入っていくというようにです。物と物の関係、物同士の関係が出来上がっていて、各人がこれらの物のうちのどれにどのように関わるかによって人間同士の関係も違ったものになってくるわけです。前回見たように、労働は、人間による自然(物質的な対象)に対する働きかけ(関係行為)であると同時に、他の人間(人格的対象)に対する働きかけでもあります。だから、生産にあたって物質的諸手段にどう働きかけているかということが同時に、他人に対してどう働きかけているかということをも示しているということになるのです。

生産関係にはおおよそ次のような種類があるといわれています。

〇人格的依存関係
   共同体的関係…原始共同体など
   人格的支配隷属関係…奴隷制、封建制など

〇物象的依存関係
   小商品生産関係…独立自営農民、独立手工業者など
   資本主義的生産関係…現在の生産関係

〇人格的連合(アソシエイション)的生産関係
…資本主義によって、その素材的要素が形成されつつある新しい生産関係
 
このうち資本主義社会の生産関係は、商品生産関係と呼ぶことのできる生産関係の一種です。商品生産関係には資本主義的生産関係のほかに小商品生産関係があります。

  まず、両者に共通する商品生産関係一般としての性格について述べましょう。商品生産関係とは、生産-生活手段に対して諸個人が互いに自立した(お節介を焼かない)私的個人として関わるような関係です。人々はそれぞれの生産-生活手段を自分の個人的な持ち物としてつまり、他人にとやかく言われる筋合いなどなく、自分の好き勝手に扱えるものとして扱います。彼らには物と物のつながりは、自分が直接扱っているものを中心にしてある程度の範囲まで見えていますが、物と物のつながりの全体を見通せる人はひとりもいません。

AさんとCさんは直接的なつながりはなくても、Bさんと彼が扱う生産-生活手段に媒介されて、間接的なつながりを持っています。しかし、当のAさんとCさんにはそのことがわかっていないということがありうるのです。そういう意味で商品生産関係では、人間同士の関係は見えにくくなっているということができます。

商品生産関係の特徴は、人格依存的生産関係と比べてみるともっと分かりやすくなります。人格依存的というのは難しい表現ですが、依存というのは自立の反対ですから、人々が人格的に自立していない、互いにもたれあったり、一方が他方に従属したりという関係を言います。人格依存にもまた種類があって、メンバーにはっきりした上下関係、支配従属関係がなくほぼ対等な地位の人々がお互いにもたれあって互いを当てにしながらやっと暮らしている状態を共同体的関係といいます。人格依存的生産関係では、諸個人は自分の利用している生産-生活手段を社会が所有しているさまざまな生産-生活手段の全体的な一纏まりの一部分として取り扱います。自分勝手に取り扱うのではなく、共同体全体の意思(多くは掟やしきたりの形を取る)あるいは社会の支配者の意思に従って取り扱うのです。人々は誰がどんな生産-生活手段を利用しどんな活動をしているかをお互いによく知っています。そしてこの関係の内部での人々の社会的地位や役割分担は伝統としてほとんどかわることなく継承されるため、多かれ少なかれ固定的な性格を持つことになります。

これに対して商品生産関係では、人々が生産手段に対して相互に自立的な個人として関わるという生産関係の基本性格は商品生産関係が続くかぎり変わらないものの、この生産関係の中で誰がどの地位を占め、どんな役割を果たすのかということは非常に流動的です。自分からすすんでこれまでの生産手段に換えて別の生産手段を扱うようにしようと努力して成功する人もいれば、望んでいないにもかかわらずそうせざるを得なくなる人もいます。