「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい 」

これは 夏目漱石の草枕の冒頭ですが 初めて読んだ時に「うまいこと言うなあ」と感心したものでした。

 

知識があるからといってひけらかすと人間関係はうまくいかない 他人の気持ちばかり気にしていると流される、自分の意見を押し通せば頑固な人と言われる だから人の世は生きるのが難しい とまあこんな意味でしょうか。

 

これには続きがあり だからと言って 世捨て人になり自由にやっても殺伐とした世界が待っているだけ。それよりは人に疲れて嫌になったりしたときに生きやすい世の中にしようという思いや 詩や芸術が生まれてくるのだから 人の世のほうがいいのではないか。という感じだと思います。(文学者の方々ごめんなさい(笑))

 

急激に大きくなった会社が上手くいかなくなるのも「人のこころ」が原因、上手くいっていた工務店の売り上げが落ちていくのも「人のこころ」が原因、年頃になって娘が反抗するのも「人のこころ」が原因。この「こころ」を自分の思い通りにしようなんて思わないことです。受け入れる心を持たないと、いつも文句ばかり言ってる24時間になります。

 

不満や怒りばかりを持っていると 周りの人のあなたへの接し方は変わり、距離を置くようになります。そして怖いのはそのことにあなたが一切気が付かなくなることなのです。

 

「人間関係が複雑になりました 時代のせいですかね」というご意見を時々耳にしますが、昔から変わってはいないと思います。

人が人の中で生活する限り 合わないことのほうが多いのです。それでも「わかろう」とか「理解しよう」という気持ちがあるから、人はつながっていくのです。

 

「あの人とは合わない あの人も苦手」と言っていないで 少し違った目で見てみる、そして近づいてみる。それも必要なことではないでしょうか?

反対に 優しいだけのそばにいる人は 本当に自分に優しいのか?なんて考えてみるのも時には必要かもしれませんね。