廃屋の中を歩いた
無惨に転がる家具等の残骸
踏み締めてわかる
事件現場という隔離世界

拭き取られても
片付けられても
あった場所の空気だけは違う

重みがあり
存在感があり
何回来ても慣れることはない

無念で眠れぬ奴がいるのか
如何に神仏の儀式を用いても
本人の意思にそぐわないのだろう

だから語りかけてくる
視えないものの為に
声と音を使って
そんなに想いと存在に気付いて欲しいか

一瞬で起きた惨劇
次々と倒れていく人
道筋を描くように
繋がって消えることのない血痕
全てを終わらせても
達成感はなかった

感じ始めた狂気
表に出た闇の顔
もう一人の自分が望んでいる
綺麗に裂ける楽しさを
響き渡る悲鳴が告げる

疼き始める
忘れ去った渇きと快楽が
出たがっている
鬼と血に餓えた狂犬が

静かに歩く外道
薄ら笑いを浮かべながら

死期が近い獲物を探す

数多の凶器をぶら下げて