Scienceが選ぶ今年のトップ10 | 医薬翻訳のアスカコーポレーション 社長ブログ

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大阪北浜、東京田町にオフィスを持つ医薬・バイオ分野の語学サービス会社 アスカコーポレーション社長 石岡映子のブログ。

先週23日、サイエンス誌は「Breakthrough of the Year 2016」を発表した。2016年の画期的な科学的発見を編集部や読者が選ぶもので、トップは「重力波の発見」。
100年前にアインシュタインが予言した重力波が実証された。重力波とは、例えば2つの中性子星が互いに向かってらせん状に進むことによって、時空 に生じる小波?詳しくは本誌で。

 

そのほかにも興味深い9トピックが選ばれた。

 

天文学者が小さな惑星「Proxima Centauri」を発見した。地球によく似た惑星らしく、太陽系外の惑星の実態がわかるかも。


また、AlphaGo(碁)というコンピュータプログラムが5試合で世界2位の碁プレイヤーを打ち負かすほど人工知能(AI)が進化。IBMのプログラムがチェスでプロを打ち負かし、6試合で世界チャンピオンを打倒したのは20年前。碁はチェスよりルールがシンプルなのでプレイヤーが考える思考には天文学的な可能性があるらしい。それをAIがやっつけたのだ。

 

また、老化の伸ばす方法が見つかった?
研究者たちがマウスの特定の細胞を除くと、そのマウスは長生きし、老化しても健康なままだったらしい。老化の研究はどんどん進む。

 

興味深いのは、チンパンジーなどの類人猿にも他者の心を読み取る高い認知機能があることを初めて示した、と。欲望、意図、知識を見分ける能力は人間だけのものではなかった。猿も仲間を欺いたり、他の猿が何を考えているのかわかるらしい。

 

何よりも驚かされたのは、マウスのiPS細胞から卵子を作製した研究成果だ。
「試験管ベイビー」が本当にできた?マウスのiPS細胞から体外培養だけで卵子を作ることに世界で初めて成功した、と。この研究は、九州大大学院医学研究院の林克彦教授ら、日本チームの偉業である。Science には2012年に発表され、今年の10月にNature などで発表された。

 

今回の試験管ベイビーのトピックは、読者が選ぶトップだった。重力と生命、どちらも神秘で、わからないから面白い?
参考までに読者の投票から:
1. Human embryo culture 43%
2. Gravitational waves 32%
3. Portable DNA sequencers 13%
4. Artificial intelligence beats Go champ 7%
5. Worn-out cells and aging 5%

他にも、驚くようないくつも研究が紹介されている。
詳しくは、http://science.sciencemag.org/content/354/6319/1516


ASCA ではこの記事を翻訳し、Science Japanese Gateway HP に公開する。今しばらくお待ちを。

 

 

今年は日本人の研究が2つも紹介された。
まずは上記の、マウスのiPSから卵子を作ってその卵子から子マウスが誕生した研究成果。デザイナーベイビーなども懸念されるものの、不妊の原因解明などにつながると高く評価された。

 

もう一つは、同じく上記、類人猿にも他者の心を読み取る認知機能があることを初めて示した研究で、狩野文浩・京大特定助教と米デューク大などによる共同実験だ。高い認知機能はヒトだけが持つという定説を覆し、心理学や進化学に大きな影響を与えた。

 

日本人の研究が選ばれたのは快挙。もし林先生が今年もScienceに投稿されていたら、2016年のトップに選ばれた?