こんにちは。
李香蘭カンパニーの畠山典之です。


「わだつみ」

海の神さまを意味する日本の古語。
転じて海、海原…

李香蘭 第二幕。急速に敗戦へと向かう日本…その中に学徒生の遺書をつづった「わだつみ」の場面があります。前回、僕は上原良司さんの遺書「所感」の一節を読ませていただきました。

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実は彼は遺書を3通書いています。


【最初の遺書】
上官にうながされ書いたのでしょうか、いわゆる普通の遺書。「私は戦死しても満足です。何故ならば、私は日本の自由のために戦ったのですから」しかしその中にあっても彼の自由への願いが伝わってきます。

【第二の遺書】
「左の引出に遺書があります。右にある釘をぬいてから引出して下さい」彼の手記にあるそれが第二の遺書です。ここでは家族への感謝そして、自分の思いを打ち明けています。「日本を昔日の大英帝国の如くせんとする、私の理想は空しく敗れました。この上は、ただ日本の自由、独立のため、喜んで命を捧げます」…そして末尾の「離れにある私の本箱の右の引出に遺本があります。開かなかったら左の引出しを開けて釘を抜いて出して下さい」へと続きます。

【第三の遺書】
自由な、思想を奪われた時代。本音を書けずに亡くなった多くの若者たち…こうした何重ものガードの末、親しいものだけが読むことのできた本当の遺書「第三の遺書」それが「所感」です。これは出撃前夜に書かれました。

 
後に、知覧飛行場で上原の出撃を見送ったひとりの陸軍報道班員はこう語っています。 

出撃を待つ隊員のなかに、ただ一人ほとんど口をきかない青年がいた。「全体主義で戦争に勝つことはできません。日本も負けますよ。私は軍隊でどんなに教育されても、この考えを変えることはできません。私は軍隊のなかにいても自由主義者です」そう言って、澄んだ目をふせた…と。

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出典: http://blogs.yahoo.co.jp/yuushi2011/62677685.html


"なぜ、自分は特攻隊員として死ぬのか"
を考えつづけた上原良司。最期は自由の勝利を確信して死に向かったことでしょう。

「飛行機に乗れば器械に過ぎぬのですけれど、いったん下りればやはり人間ですから、そこには感情もあり、熱情も動きます。愛する恋人に死なれた時、自分も一緒に精神的には死んでおりました。天国に待ちある人、天国において彼女と会えると思うと、死は天国に行く途中でしかありませんから何でもありません。

明日は自由主義者が一人この世から去って行きます。彼の後姿は淋しいですが、心中満足で一杯です」

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上原良司
慶應大学経済学部学生 昭和20年5月11日
特攻隊員として沖縄嘉手納湾にて米機動部隊に突入戦死 22歳

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戦後70年目の2015年も残すところ、あとひと月。しかし、戦争を語り継ぐことは節目の年だけのものではありません。

変わりえぬ歴史の真実。平和への祈りも変わらずに持ち続けたいものです。

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僕たちの戦いの場はいよいよ劇場へと移りました。