開場100周年の大阪松竹座へ。



慌ただしい予定になりましたが、


今井の「白波そば」はしっかりいただきました。ひんやりと関西風の出汁に鱧、かぼす(?)の香るお蕎麦、暑い日でしたので生き返る感じでした。

昼の部
吉例寿曽我
近江小藤太(隼人)、八幡三郎(虎之介) 若い二人が鶴岡八幡宮の石段で巻物を奪い合う大立廻り。久しぶりに見た感じのがんどう返しで大磯曲輪外へ。富士山が見える背景に、祐経(彌十郎)、珍斎(吉之丞)、秦野(廣太郎)、大磯の虎(米吉)、朝比奈(亀鶴)がせりあがる。
ここへ、十郎(千之助)、五郎(染五郎)の兄弟。
染五郎の、力足がきっと上がった五郎(私ならすぐに足がつりそうで(^^;))、荒事もいい感じに。夜千鳥に奮闘の千之助のふんわりした十郎。若い人たちってどんどん変わっていく…。

京鹿子娘道成寺
平成25年の歌舞伎座新開場以降、雀右衛門襲名の先斗町歌舞練場を除くと、大歌舞伎で一人の道成寺を踊っているのは菊之助だけ…。軽やかな道行きから問答、3回目の白拍子花子に貫禄が感じられました。
舞は厳かな中にも軽やか。金冠は鐘の綱には掛けない音羽屋型。踊りになって艶やか華やか。引き抜いて毬唄、振り出し笠、所化の花傘の踊りがあって、恋の手習い。つれない男の姿をきっちりと感じさせながらくどきはしっとり、でもすっきり江戸前というのは思い込みかな。(笑)
羯鼓の振りが気のせいかもしれないけれど見慣れたのとは違うようなステキな感じ、リズミカル。ただ頼めで青紫の着物に帯も橙に変わり、愛らしい娘。鈴太鼓でまた黒い光沢のある帯に変わって軽やかな動きをさりげなく見せて次第に妖しくなり…からの鐘を見込むところは、思っていた以上にあっさりしていたかも…。
どうでもいいことですが着付け。襟元が若干浮いている?風が入るから楽?と感じた毬唄あたり。重ねて着ているせいなのかご本人も少し気になっていたような。考え過ぎかもですが。
手拭いまきは1つだけ3階2列まで遠投(松十郎さん?)、そしていつも思うこと。本公演で次に一人で踊るのはどなたになるのだろう?おねがい

沼津
鴈治郎はんの平作は当然として、扇雀初役の十兵衛がカッコよすぎずリアルな商人(あきんど)で良かったです。荷担ぎをするという平作とのやり取り、美しい娘お米(孝太郎)に一目惚れする感じ、平作のみすぼらしい住まいに上がって辟易とする様子それぞれが、自然でいながら情を感じさせます。千本松原で遂に平作が十兵衛の脇差しを引き抜き自ら腹に突き立てるところ。降りだした雨に、十兵衛が平作に笠をかざす型が何だか新鮮で印象に残り。仇の居どころを聞こえるように明かし親子の名乗り、子どものように平作に抱きつき泣き伏す。やっと巡り逢えた父への想いが溢れます。
実直な商人として生きてきた十兵衛が思わぬところで本当の家族と出逢う。そもそもの始まりは商売先へ安兵衛(寿治郎)を使いにやったこと。人生の不思議を感じます。
鴈治郎はんの愛嬌がありながら暖かみのある声、受ける扇雀さんの実直そうな人物像の作り方、兄弟二人の息が合い成駒家ならではの沼津でした。