14時30分から「引窓」を見て終演が16時30分。それから東銀座へ。東劇で18時30分~MET LIVEVIEWING「魔笛」を見終わったら21時58分、😱分かっていたけどだいぶ疲れました😣💦⤵️
そんなわけで翌日の歌舞伎座昼の部は…。深く反省。

でも昼の「引窓」と夜の「魔笛」に共通点も見つけられて、面白かったのです。
光と闇の二項対立。「引窓」は日の高いうちと日が沈んでから、「魔笛」は、ザラストロの叡智=光の世界と夜の女王の闇の世界。😊

さて歌舞伎の見方は、宗之助さん。いつもの歌舞伎解説プラス、回り舞台を回しながらセリを上下させて壮観。間もなくさよならなその姿を惜しむよう。
後半の「引窓」の解説も良かった。特に八幡の里が藪が多く家の中も暗かったこと。それ故にこの八幡辺りの屋根には光を取り込むための引窓があったこと。夜は行灯しかないので、満月の月明かりは貴重、その日は引窓を開けて本を読んだりしたこともあったらしいなど。そんな時間を慈しむような生活、逆に贅沢な気もしてきます。
照明で月明かりを再現し、窓を開閉するとどれだけ家の中の様子違うかを実際の「引窓」のセットで見せてくれたので、あーこんなに違うんだとよく分かりました。普段は明るいままだから、たまには本当の明るさ暗さでやる「引窓」なんていうのも見たいかもと思ったりしました。できるのかどうか分からないけれど。

満月で、明日は石清水八幡宮の放生会で、という状況が芝居に巧みに取り入れられている面白さ、更に手水鉢の件まで。よく説明されていたし、字幕は義太夫だけでなく所々、セリフの用語にあっても良かったかもしれません。

二項対立は、継子の与兵衛=南方十次兵衛(芝翫)と本の子の濡髪長五郎(錦之助)でもあり。その二人の息子の置かれた対照的な状況に一喜一憂する母お幸の梅花さん(京扇屋❗先日の浅草でこの大向を久しぶりに聞いて何だか嬉しかったのです)が過不足なく母の気持ちを表現して素晴らしく。
最初は無邪気に郷代官になったことを喜ぶ与兵衛が母が人相書を売ってほしいと言うところでの、何故本当のことを言ってくれないのかと言う与兵衛の母への気持ち。母にはやっと会えた長五郎への気持ちと与兵衛への遠慮。与兵衛は、母の気持ちも同情ではなくて兄弟としての長五郎への想いもあり。
前髪を剃り落とし金つぶてでホクロを落とされても、なお母に与兵衛のために自分を差し出すようにという長五郎の気持ち。仕方のないこととは言え、母には悔いもあったんだろうなぁと思うと、何度見ても色々なことを感じるお芝居です。

与兵衛の芝翫、前半の無邪気に喜ぶ姿からの後半の昼間のうちは…で窓の紐を切る形の良さ。若々しく力強く良かったです。
長五郎の錦之助、ニンではない役なのに情感豊かなセリフで、長五郎の哀しみが伝わって来ました。長五郎の殺人は、相手が同士討ちをしたのでやむなくとどめを刺しただけ。(平成27年10月国立劇場の通し「難波芝居裏殺しの場」国立の通し狂言やはり貴重です)そう思うと余計に辛い。
与兵衛もかって人を殺していて、しかもそちらは無罪、余計に二人の運命は明暗を分けることになります…。

引窓の光と闇が、対照的な二人の運命だとか、母の心の闇(悔い)とほのかな光のような幸せ、などを象徴している。人生って本当に分からない…でも悲しいだけでもない。ひたむきに生きる人々の人を想う気持ちが
静かに伝わってくる名作なのでした。