毎年この時期になると思い出す事がある。
「あの学生たち、今どうしているだろうか...」
数年前、体育系専門学校からの就活・求人、会社訪問の依頼を受けていた事がある。
一人ひとり日時を決め、午前中見学の後、昼食をご馳走しながら色々話しを聞いてあげたりした。
三人ほど受け入れたところで少々思うところがあり、学校へ電話し就活担当の先生が訪問してくれる事になった。 まだ二十代の若くて可愛らしい女性、小生から見たら先生か生徒か分からないくらいだが、誠実で丁寧に話をしてくださった。
その先生に、学生達と話して気になった事を質問した。
「先生の学校の生徒さんの、一番多い進路先は何ですか?」と。 先生が少々顔を曇らせながら、「実は進学なのです」と口を開いた。
専門を勉強したのに何故また進学なのか? そんなやり取りを2、3した後に「私は普通の大学を卒業し、この学校の職員として就職しました。 自分自身この専門学校を卒業した訳では無いので、生徒たちの心情が正確に理解出来ているかどうかはまだまだ勉強中ですが、おそらく彼ら彼女らは自分に自信が無いのだと思います」
小生が会った学生三人が三人とも、食事をし砕けてきたら実は進学したいと話していた。 鍼灸マッサージや四年制大学に。
「先生は生徒たちの進学についてどう思われますか?」と尋ねたら、「私は間違っていると思います」と力強い目で語った。
その後流石に一人ひとりは大変なので、希望者十数人まとめて見学を受け入れ、それを最後に学校からの就活受け入れを一旦終了した。
まず社会に出て働いてみて、それから本当に自分が進みたい道を決めても遅くは無い。逆に先に資格を取ってしまったら、自分はこの道!!と根拠に乏しい信念を抱いてしまうのだから。
過去小生のブログに度々登場する、大変お世話になった尊敬する上司が「資格は業務上必要に迫られ、必須になって取るのが基本。ずらずら資格並べる奴にろくな奴はいない」と言っていたが、四十年にも迫る社会人経験でまさにその通りな事ばかりである。
若いのに肩書きで着飾るのではなく、代わりのいない自分に、是非なってもらいたいものである。