浅尾 南 

浅尾 南 

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先輩が来た。

 

今日は兄とバイクを買いに行ったらしい。

兄は中古だがきちんとしたバイクを買えてとても嬉しそうだった。

しかし、一番嬉しそうだったのは先輩だった。先輩は兄をみて喜び、バイクを見て喜んだ。

兄のバイクに乗り、家の周りを一周したり、エンジンをふかしたりして、とてもはしゃいでいた。


先輩には少し子供っぽいところがある。すぐに怒ったりもするし、自分のことを自慢げに話したりもする。

それは、父親のときからだった。先輩が父親のときは、いつも怒られた。車屋について行って飽きてしまい、早く帰ろうと急かしたら、置いていかれたこともある。おもちゃを庭に投げ捨てられたこともある。

そんな時、私は父を憎く思い、嫌った。


だが、先輩は優しい。まるで同一人物ではないようだ。先輩になってからは怒られたことはほとんど無い。

不思議に思っていたことを告げると、母はこう言った。

「先輩は今までしてきたことを後悔してるんだとおもうよ。きっとつらい思いをさせてきたんだろうって」

そんな風に思っていたことを、私は知らなかった。私は子供のころ、父を嫌悪し、怯え続けていた。

それを振り返り、先輩は私たちに今まで以上の愛情を注いでくれているのだとわかった。

しかし、話が終わってからも先輩という立場でしか会うことのできない苦しさ、もどかしさだけがずっと、私の胸に渦巻いていた。