北アルプス奥穂高岳 驚嘆の吊尾根編 | 強化人間331のブログ

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サイボーグである強化人間331の、つれづれ山行記録。
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眠い!

 

んであります。前編では消灯後に山小屋に到着するという前代未聞の遅着をやらかし、1時間半くらいしか寝られなかったわたし。自業自得ではあるけれども、睡眠不足のまま高所にいるのはほんとにしんどいです。

 

とりあえず地形図を再掲しておきましょう。前編では白出沢のコル、つまり穂高岳山荘に21:00すぎにやってきたのでした。

本当にわたくしごとで恐縮だけれども、わたしは数あるコルのなかでもここが三本の指に入るほど気に入ってますね。南北に涸沢岳と奥穂高岳を擁し、眼下に広がる涸沢を一望のもとに見晴るかす三千メートル級の峠。これほど超弩級な場所ってそうはないですよ。あまりに好きすぎて地殻変動後の世界を描いたわたしの創作に登場させてしまったほどです。ほんとにどうでもいい情報だな

 

①吊尾根を渡れ!

 

奥穂詣でのなにが楽しみだといって、やっぱりあの吊尾根を渡れることでしょう。吊尾根とは奥穂と前穂をつなぐ稜線なんですけど(実際の登山道はほとんど巻いてます)、あの途方もないスケール感はぜひ味わっていただきたい。それはまあおいおいね。

ちんたら7時前くらいに準備を始め、ほとんど人のはけたロビーでのんびり朝食。みなさんなにを生き急いでるのか存じませんが、とっくのむかしに出発されたようです。7:30に出発。ご覧の通りガスガスです。

そのまま奥穂にいくのも芸がないので、対岸の涸沢岳(3,110メートル)ピストンをば。しょっぱなからすばらしい絶景で度肝を抜いてくれました。まさか今日はずっとこんなじゃあるまいな……。20分もあれば登れますので、奥穂ハントにきた人はこの子も忘れないでやってください。

涸沢岳からの下り。こっちは難しいところもなく、楽勝です。

往復30分ほどで涸沢岳ピストンは終了。8:00にコルへ戻ってきました。ガスのなかぼんやりと浮かび上がる奥穂(のニセピーク)。こりゃだめかもわからんね……

奥穂の登りはしょっぱなにちょっと難しいところがございます。このようなはしごや岩場が連続するので、わたしのように重太郎新道へ降りる予定のない場合は空身でいくのがよいでしょう。実際登ってる人の9分9厘は空身でした。

序盤の岩場さえクリアしてしまえば、あとはもうゆったり標高を稼ぐだけの簡単なお仕事。周辺はガレ場になっており、植物もほとんど見られません。

雨こそ降ってませんが終始ガスに包まれてますね。景色が見られないと余計に疲労を意識してしまいがち。ろくに眠っていないので疲れも思いっきり残っており、のろのろじりじり牛の歩みであります。

8:50ごろ、奥穂高岳(3,190メートル)登頂です。しかしまあ達成感がまったくないっていうね。だってさ、

こんなだもの。晴れてれば槍が鋭く屹立するのを拝めるんですけどねえ。当然ジャンダルムもお預け。せっかくの吊尾根もこんなんなわけでしょ。やる気が湧いてきませんよやる気が。10分ほど休憩し、腐っててもしかたないので吊尾根を渡ります。

お、あれ、ガスが晴れてきましたよ。

むむむ……?

あともうちょい、がんばれ!

やったあ! どうですかこのスケール感。前日からこの瞬間までろくな景色にありついてなかったのに、だしぬけにさっとガスが晴れて眼前に絶景が展開する。最高の瞬間ですよ。

道はこんな感じ。奥穂から下る場合、序盤は稜線通しの道を歩き、中盤から終盤は巻き道にシフトするという感じ。

うわあ、ホンマにすごい。涸沢側にガスが色濃く残っているおかげでむしろ、高峰感が出てますね。ちなみにこれのどこを歩くのかというと、

このような巻き道を通るわけです。よく見ると踏み跡らしき白い線が見えるでしょう。こうして見ると崖にへつるように登山道が通ってるのがよくわかります。見た目ほど危なくはないですよ。

吊尾根の難所はずばりここでしょう。下り始めて少し経ったあたりに出てきます。わかりづらいんですけど急傾斜の岩場でして、それもかなり長い。数十メートルは下るんじゃなかろうか。鎖は通してありますがベストな位置に垂れてるとは言いがたいので、ホールドは別途見つけたほうがよいでしょう。久々のクライムダウンだったので慎重に。

振り返って1枚。言葉を失うとはこのことです。

本当の話、いったいどうなってんですかこの絶景は! 正面に屹立するのは前穂高。堂々たる威容を見せつけてくれました。晴れてるうちに前穂まで辿りつければよいのですが。

お、ラッキー! なにやら足元でもぞもぞ動いてるのがいるぞと思ったら、ぶくぶくに太ったヘビー級の雷鳥さんがいるではないか。この鳥のたくましさは尋常じゃありませんよ。なんたって3,000メートル級の高度に順応しちゃったんだから。天敵になる動物がいないせいか、わたしが近づいてもまったく逃げるようすはなく、ドスドス歩き回ってました。

どうですこれ、会心の1枚でしょうが。右手につらなるのは西穂の稜線、左手に目立つ独立峰っぽいのは焼岳でしょう。このショットを見てやっと、北アにきたという感慨が湧いてきました。

前掲の巻き道エリアはだいたいこんな感じ。漫画に出てくるような典型的山道ですよね。もうわたし、この巻き道が大好物でして。ルンルン気分で歩いていきます。

写真真ん中付近に細い線が這ってるのがわかりますでしょうか。これが登山道ですね。右手に広場みたいなのがありますけど、あれが紀美子平。まったく途方もない景色であります。

対岸の眼下には涸沢が。真ん中あたりにある建物は涸沢ヒュッテでしょう。奥穂、北穂はおっかなくて怖い、という人は涸沢泊まりでもよいので一度、訪れてみてください。涸沢から見上げる穂高ほど美しいものがこの世にあるのかと感動に打ち震えることでしょう。まあかわいい女の子はべつにしてね

北ア中部も見渡せます。写真奥の右手に鎮座するのが鷲羽岳、左手にこんもりしてるのが水晶岳でしょう、たぶん。南部ほどの迫力はありませんが、あっちもちがった魅力がある良質のフィールドです。

うわあ、やっぱり吊尾根はどえらいもんです。どえらいもんと言えばむかし、わたしが小学校のころに流行ったしょうもないダジャレがありましたっけ。

 

ドラえもんはどえりゃあもん。

 

はい、おそまつさまでした。

巻き道をじりじりと詰めます。何枚も写真を撮るので忙しく、ちっとも進まない。若干アップダウンこそありますが難しいところもなく、雲上の散歩といった趣。

似たような写真ばかりで申しわけない。それくらいこのへんが好きなのですよ。

振り返って1枚。奥穂がもうあんなに遠くに。

さあ、紀美子平はすぐそこです。

10:00ごろ、紀美子平に到着。たくさんの人でにぎわってました。昨晩なにも食べていなかったせいか早くも腹が減ってますので、ここでお昼にしました。10:30、ザックをデポして前穂へ。

残念ながらガスが戻ってきて、景色には期待できなさそうです。ちなみに前穂のコースはこんな感じ。終始こんなのばっかりではないものの、ここの登りは岩場の連続で、まともな登山道はほとんどない。ほぼザックのデポ前提で通されてますので、身軽な装備で登られるのを推奨します。

マークを愚直に追っていきます。浮石がけっこうあるので、落石に注意。わたし以外のほとんどの連中がヘルメットを着用してました。

10:55ごろ、前穂高岳(3,090メートル)登頂です。景色はご覧の通りでしたが、吊尾根でさんざん絶景を拝めたのでそれほどショックでもない。

晴れてさえいれば、奥穂の堂々たる威容を拝める大展望台なんですけどねえ。山頂は小粒の岩が散在する賽の河原みたいな場所です。これが日本ですからね、たまげたなあ。

ガスは晴れなさそうだったのですぐに引き返します。下りの場合はここ! ここがとくに難所でした。わかりづらいんですけど、岩はホールドの乏しいスラブですのでかなりの恐怖感を覚えました。ここみんなどうやってクリアしとんのやろ。

11:20、紀美子平に戻ってきました。あとはもうひたすら重太郎新道を下るだけです。どんどんいきましょう。雷鳥広場というのがあります。ここで雷鳥を目撃した経験はありませんが。

これから下っていく道のり。登ってくる人たちもいて、みなさん例外なく死にそうな顔でした。ここを登りにとるとはタフな連中です。上高地インならつらい重太郎新道は避けて、ほとんどの登山者が涸沢から迂回してきますからね。

一瞬の晴れ間を狙って奥穂~西穂の稜線を激写。4年くらい前にあそこを渡ったのでした。懐かしい思い出です。仕事を放り出して連休を取ったため、先輩たちに途方もない迷惑をかけたのでした。すまんな。

岳沢が一望のもとに。まあすごい。ほんとすごい。豊富であるはずの語彙を失うくらいすごい。重太郎新道の下りは膝に負担がかかってしんどいけれども、こうした絶景に巡り合えるというボーナスもちゃんとあります。ザイテングラートから奥穂に登ったとしても、下りはこっちにするのもよいと思います。ただ怒涛のように高度を下げるので足腰に負担はきますよ。

12:30ジャスト、岳沢小屋に到達。1時間10分程度で紀美子平からここまで下ってきました。非常によいタイムです。この小屋から見上げる穂高の稜線がまた渋いのなんの。いぶし銀の1枚でしょう。

小屋のベンチをありがたく使わせてもらいました。ぐったりと座り込み、しばし瞑目して無の境地に。

 

根が生える前に歩き始めましょう。ここまでくればあとはもう、上高地まで緩く長く高度を下げるやっつけ仕事が残ってるだけです。12:40出発。

 

毎度このエリアは非常に長く感じますね。樹林帯のなかをひたすら下り続けます。悟りでも開きそうになったあたりで、

はい、岳沢登山口に到着しました。13:40ごろでしたので、だいたい50分くらいでしょうか。以前はもっとかかってたはずなのですが、コースの途中にワームホールでもあったんでしょうか。ぐったり座って休憩。

 

立膝をついてぼんやり宙を見つめてますと、妙齢の女性が肉まんをぱくつきながらやってきて、しげしげと登山口の道標を眺めております。帽子をはすかいにかぶり、髪をポニーテールにまとめて背中に流した20代前半くらいの女の子。かわええなあと見とれてますと、「この登山道はどこにいけるんですか?」と話しかけられてしまった。

 

疲れなんて一気に吹っ飛びましたとも。ぐったり座り込んでる姿をさらすのはダサいのですっくと起き上がり、ここからは前穂と奥穂にいけるんですよと丁寧に解説。日帰りでいけるかと突っ込んできたので、いけるけれどもお勧めはしないと教えておきました。

 

これをきっかけになぜか話が弾んでしまい、30分近く雑談をしてたっていうね。終始ニコニコしてて話題も豊富、身振り手振りがわざとらしくない程度に優雅で、なんというか人生をしっかり楽しんでらっしゃる感じ。こういう娘が彼女だと実に楽しいだろうと確信した次第であります。

 

なんでも群馬県の嬬恋村にお住みだとかで、怒涛の嬬恋推しには度肝を抜かれました。この村はキャベツの生産量が日本一なんですけど、キャベツ農家はでえら(※岐阜弁)儲けてるそうなんですね。彼女は「あたし計算したんですよ!」と力説し始め、次のような根拠を提示してくれました。

 

キャベツのロット単位 ケース

1ケースあたりのキャベツ個数 8個

キャベツ単価 1個あたりおよそ100円(売上高)

1日あたりのキャベツ出荷数 1,200ケース(=9,600個)

1か月あたりの売上高 営業日が20日とすれば 約2,000万円

キャベツ栽培シーズン 4か月

したがって キャベツ農家の年商 8,000万円

 

もちろんここから経費や製造コストが差し引かれるため、純粋な粗利はもっと少ないでしょうけど、それでもかなりの額なんだそうです。わたしは妙に感心してしまいましたね。農家の売上高にではなく、初対面の人間に嬬恋村のメイン事業を飽きさせることなく説明するその手腕にです。

 

さらにもうひとつツボにはまったのが、彼女がお国自慢として浅間山の登山を挙げたとき。浅間山といえば20世紀後半、連合赤軍と呼ばれる共産系テロリストが山荘に立てこもり、幾多の死者を出した事件がありました。

 

テロリストというと外国にしかいないイメージを抱きがちですが、学園闘争とかやってた当時は共産圏はすばらしい場所で、そこでは資本家に汚されていない国民たちが平等に暮らしてるという幻想が抱かれてたわけです。そんな思想を持つ一派が連合赤軍というテロリストでした。

 

いまでは信じられないことですが当時は北朝鮮が至上の楽園だと思われてて、連合赤軍は旅客機をハイジャック、北朝鮮まで連れてけ! なんてこともありました。ともかくわたしは浅間山と聞くと浅間山荘事件を思い浮かべてしまい、ついそれを口走ってしまった。

 

するとなんと! この話題に食いついてきたのですよ。50年近く前のできごとのはずなのに、「連合赤軍」という名詞を知ってる20代の女性。しかも徳沢に泊まりたいがために一人でやってきたというファイトの持ち主。おまけにキャベツ農家の年商を系統だって説明できる論理性。もっと近くにお住まいならその場で結婚を申し込んでたでしょうね。(おいおい)

 

非常に楽しい時間でした。彼女とお話しできただけでも今回の山行をやってよかった。そんな出会いでありました。さらば肉まん頬張り系女子!

あとはもう書くべきこともありません。のんびり上高地を散策しながら戻るだけ。恒例の木道ですね。月曜日のド平日だというのに観光客がそこかしこにいてる。外人もちらほらいてる。

すばらしい。いつか歳を取ったら山になんか登らず、ひたすら上高地だけ散策するのがひそかな夢です。いつでも叶いそうな夢だな

河童橋周辺から岳沢と穂高稜線を激写。あそこにさっきまでいたんですなあ。人間の足は侮れないものです。さらば穂高よ!

 

14:30ごろバスターミナルに着。15:00の便で平湯温泉へ戻り、平湯温泉で新穂高いきに乗り換え、深山荘前で下車し、車に着いたのは16:30ごろでした。疲れましたなあ。

 

②温泉

 

ここからが本編です。連泊登山の楽しみ、それはずばり温泉ですからな。今回も恒例の平湯温泉「平湯の森」で湯あみさせていただきました。のんびり湯に浸かり、サウナで削って体重計に乗るとなんと! 55.1キログラム!

 

やった、やっと多少の減量に成功しました。今回歩いた距離自体は大したことなかったんですけど、夜の断食が効いたんでしょうか。これくらいの重さを維持したいものですが、はてさて。

 

③反省

 

初日の愚行以外は終始計画通りに推移し、吊尾根でも絶景にありつけたしで、それなりによい山旅になったのではないでしょうか。肉まん頬張り系女子にも会えましたしね。

 

それにしても若いのにいろんな話題を提供できるたぐいまれな女性でした。群馬県在住とか関係なしに連絡先くらい聞いておけばよかったとちょっぴり後悔する今日このごろ。(空木岳のときも似たようなこと書いた気が……

 

おわり

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