【解答乱麻】湯気立つ場所で子供の笑顔を 開善塾教育相談研究所相談部長・藤崎育子 | 毎日のニュース

毎日のニュース

今日の出来事をニュース配信中!

  愛情込めた料理の場面などが登場する東京ガスのテレビCMシリーズが話題だ。私も見る度に心が温まる。「料理は楽しい」女性編では若い女性たちが揚げ出し豆腐、金目の煮つけ、だし巻き卵などに挑戦している。冒頭には「失敗しても楽しいことは、ほんとうに楽しいことだ」と流れる。プロのようにおいしくできなくても仲間と作った料理をおしゃべりしながら食べることは格別だろう。

 不登校やひきこもりの子供たちの多くは何事をするにつけ失敗を恐れる傾向がある。合宿などで一緒に料理をするときも、最初は自分からすすんで何かやろうという子はほとんどいない。みな「家でやったことがない」という。

 保護者と面談をしていると、子供についての心配は、進学と社会性の能力の2つに集約されるような気がする。このまま学校を休んでいたらこの2つがダメになってしまう。だから学校に戻ってほしいと願う。しかし、気になるのは、どの家でも家事手伝いを子供にほとんどさせていないということである。

 親が働いていて帰宅が夜8時過ぎても、それから夕飯の準備に取りかかる。当然食事の時間も遅くなる。子供が高校生くらいの年齢であっても、親がご飯を用意してくれるまで何もせずじっと待っている。「子供にさせてみたらいかがでしょうか」と言ってみると「無理だと思います」という答えが返ってくる。「手伝うように頼んでも動こうとしません」