【編集日誌】ノ社だけの問題じゃない | 毎日のニュース

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 私が駆けだしのころ、大学病院の医局で「プロパー」と呼ばれる背広姿の人たちをしばしば見ました。今はMR(医薬情報担当者)と呼ばれる製薬会社の担当者です。当時は薬の説明や研究の手伝いだけでなく、接待攻勢も盛んだったと聞きます。

 製薬会社ノバルティスファーマの元社員が臨床研究データを改竄(かいざん)した疑いで東京地検特捜部に逮捕されました。誤ったデータに基づく論文は英医学誌「ランセット」にも掲載され、STAP(スタップ)細胞問題と並んで日本の学術研究に対する信頼を揺るがせました。

 医薬分業の進展、認定試験の導入などMRを取り巻く環境は変わりましたが、売り上げを伸ばしたい製薬会社と研究費や人手がほしい医師・研究者の関係は変わりません。今回の事件を契機に、業界・学界全体で不正を防ぐ取り組みが急がれます。(編集長 近藤真史)