【ベルリン=宮下日出男】EU(加盟28カ国)の執行機関である欧州委員会の委員長ポストは、首脳会議が候補を欧州議会に提案し、議会が承認する仕組みになっている。トップ人事に民意を反映させるため、2009年に発効した基本条約「リスボン条約」により、首脳らが欧州議会選の結果を「考慮」して候補を選ぶことになった。
先の欧州議会選では主要会派が欧州委員長候補を擁立。結局、中道右派会派が最大勢力を維持し、ユンケル氏が最有力候補となった。
ただ新制度によれば、首脳らは選挙結果を「考慮」する必要はあるが、必ずしも委員長候補にユンケル氏を提案する義務はない。
今後、欧州議会で新会派の構成が決まり次第、ファンロンパイEU大統領が議会側との調整に入り、今月下旬の首脳会議で候補を選ぶ。7月初めに欧州議会で投票に付される予定だが、首脳間や議会との調整が難航する可能性もある。
ユンケル氏以外では、フィンランドのカタイネン首相やリトアニアのグリバウスカイテ大統領の名前も取り沙汰されている。ラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事の名も挙がったが、本人は否定している。