甘利明経済再生担当相と自民党税制調査会の野田毅会長は9日夜会談し、経済財政運営の指針「骨太方針」に明記する来年度からの法人税の実効税率引き下げをめぐって、具体的な下げ幅や代替財源の書きぶりを協議した。政府が9日に示した骨太方針の骨子案では具体策が明記されておらず、13日にまとめる原案に盛り込む表現ぶりの一部が固まったという。ただ、財源などをめぐり依然、意見の隔たりがある部分もあり、最終的な調整でどこまで歩み寄れるかが焦点だ。(今井裕治)
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安倍晋三首相は9日の参院決算委員会で「来年度から法人税の引き下げに着手していく」と述べ、法人実効税率引き下げを重ねて明言した。さらに「骨太方針に(法人税減税の方向性を)盛り込むよう与党と政府で議論を行い、調整を行ってほしい」と述べ、骨太方針の原案には、具体的な下げ幅などを盛り込む考えを示した。
現在35%程度の法人実効税率の引き下げをめぐっては、甘利氏が7日、「私と安倍首相の思いは一致している」と述べ、甘利氏が主張する「5年で20%台」が政府の数値目標になるとの認識を示した。
しかし、法人実効税率1%の引き下げは4700億円の税収減となる。このため、どう減税の穴を埋めるかが課題だ。
甘利氏は、安倍政権の経済政策「アベノミクス」に伴う税収の上ぶれなどを活用すれば「穴」を埋められるとの考えを示す。これに対し、野田氏は税収の上ぶれ分を財源に使えば、平成32年度に基礎的財政収支を黒字化する政府目標の達成が難しくなるとの立場で「恒久減税には課税ベースの拡大などによる恒久的な財源の確保が欠かせない」との主張を崩さない。
9日夜の会談でも代替財源などについて、どこまで盛り込むかなどについて意見が一致しなかったとみられる。