宇宙航空研究開発機構(JAXA)と米航空宇宙局(NASA)は、2月に打ち上げた全球降水観測(GPM)計画の主衛星が初めて観測した画像を公開した。従来は不可能だった温帯地域の雨や雪の立体的な把握に成功した。
初画像は日本の東海上の発達した低気圧による降水の強さを観測した。日本が開発した2種類のレーダーの観測データを組み合わせ、衛星の進行方向に沿った垂直の断面を調べたところ、雨の降り方の強弱が色別に表現された。
雪が降っているとみられる空間も判別できた。同時に搭載された米国製のカメラは広範囲を高い解像度で観測することに成功した。
1997年から運用している日米共同開発の衛星「TRMM」(トリム)もレーダーを搭載するが、熱帯や亜熱帯の強い雨しか検出できない。GPM主衛星の観測域は温帯を含む北緯65~南緯65度で、弱い雨の検出や雨と雪の区別が可能。地球の降水の95%を観測できるという。
JAXA地球観測研究センターの沖理子研究領域リーダは「期待通りのデータが取れた。温暖化で豪雨や干魃(かんばつ)の増加が懸念される中、TRMMと合わせて観測できる意義は大きい」と話す。調整作業の後、初秋から観測データを公開する。(草下健夫)