最近、「発達障害」「アスペルガー症候群」という言葉をよく聞くようになった。だがその実際は、まだよく知られているとはいえない。記事などで取り上げられることがあっても、「理解が必要な弱者」という扱いがほとんどだ。そんな中で、「アスペルガー」の実態を、当事者の立場から「へえ、そうだったのか!」と目からウロコの面白さで読ませてくれるマンガ作品が複数登場している。
その一つが、自身がアスペルガー障害を持つ作者が、周囲から「ちょっと変わった子」と思われながら、保育園から小学校に入学し、小学4年生でLD(学習障害)とADHD(注意欠陥多動性障害)の診断を受けるまでを描いた自伝的コミック、沖田×華(ばっか)『ガキのためいき』だ。
例えば保育園で、×華ちゃんが「他の子と話しているのを見たことがない」。これは×華ちゃんが、がやがやしているところでは特定の誰かの声を選択的に聞き取ることができないためだ。だから園児がたくさんいる保育園では、先生の声も聞こえなければ、自分に話しかけている友達の声も聞こえない。
逆に、そんな×華ちゃんには、コンピューター学習はとても向いている。ヘッドホンで周囲の音を遮ることができるし、教室で突然当てられるといった予想外のことは起こらず、自分のペースで順番に問題を解いていける。だけどそれが理解されていなければ、「コンピューターまかせなんて手抜き」と、親にむりやり塾を替えられてしまうのだ。