粛清、不満の表れ? 北の中国大使館HP 張成沢氏の写真 | 毎日のニュース

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 【北京=矢板明夫】在北朝鮮中国大使館のウェブサイトに、北朝鮮が昨年12月に「国家転覆陰謀行為」の罪で処刑した張成沢(チャン・ソンテク)氏の写真が掲載されていることが10日、分かった。北朝鮮と同じ一党独裁体制をとっている中国では、失脚した政治家の写真などは公式資料から消されるのが一般的で、中国要人との関係が近いとみられていた張氏の写真の掲載は「中国政府の北朝鮮に対する不満を表している」との見方が強い。

 写真は、中国大使館サイトの中国版の、中朝関係の項目に掲載されている。2012年8月に張氏が訪中した際に、胡錦濤国家主席と温家宝首相(いずれも肩書は当時)とそれぞれ会談したときの様子を撮影したものの計2枚がある。張氏の当時の肩書を含めた説明も付けられている。また、同サイトの「経済貿易交流」など別の項目の中にも、張氏の名前が複数回出ている。

 北朝鮮の国営メディアのサイトには、張氏が失脚して「逆賊」とされた後の記事しか掲載されておらず、記録映画からも姿が消されるなど、張氏が政治家として活動した痕跡はすべて消えている状態だ。

 このため、北朝鮮と親密な関係にある中国がいまだに失脚前の張氏の写真を公式サイトに掲載していることは異例といえる。

 中国政府に近い朝鮮問題の専門家によれば、張氏が処刑されたあと、中国は北朝鮮に事情を説明する特使の派遣を求めたが、特使の派遣はないままで、「中国はいらだっているだろう」と推測する。