新聞というとまずニュースという印象がある。しかし、事実報道だけが新聞の役割ではない。新聞は歴史的にも民主主義のインフラであり、国を動かす力を持っている。新聞のオピニオンが国民世論を間違った方向に誘導したために、国家が衰亡の危機にひんしたことすらある。新聞のオピニオンというと社説だが実はそれだけではない。
大学教授や実務家など専門家の寄稿、インタビューなども重要なオピニオン記事である。そして、どのような専門家にどのような質問をし、専門的内容について本質を損なわず、いかに読者の関心に合わせて編集、再構成できるかにメディアの力量が問われる。
とくに最近、オンラインメディアが爆発的に増えた結果、プロから見てとても専門家とはいえない人に専門でもないことについてインタビューをし、内容的に間違っている記事が増えた。大新聞であっても勉強不足が露呈し、識者を怒らせているであろうインタビューを平気で掲載していたりする。
私自身、とんでもないインタビュー依頼を受けてお断りしたり、記者があげてきたインタビュー草稿の間違いが多くてほとんど全部書き直すなどといったこともあるので、オピニオン記事の品質には敏感にならざるを得ない。逆に、プロの間でも評価の高い専門家のわかりやすい記事に接すると、その背後にいるであろう記者や編集者の仕事ぶりが目に浮かび、良い記事を読んだという気持ちになる。