【ワシントン=小雲規生】米ニューヨーク南地区の連邦地裁は27日、国家安全保障局(NSA)がテロ活動防止を目的として行っている不特定多数の一般市民を対象にした通話履歴収集について、合憲であるとの判断を示した。米首都ワシントンの連邦地裁は16日にNSAの同じ活動に対して違憲の可能性があるとの判断を示しており、地裁間で判断が分かれたかたちとなった。
ウィリアム・ポーレイ判事は、NSAの通話履歴収集が憲法の修正4条で禁じられた「不合理な捜索」にあたるなどとする人権団体の訴えに対して、通話履歴収集はテロリストに対する「政府からのカウンターパンチだ」と指摘。「米国内でのテロ活動の成功以上に市民の自由を脅かすものはない」として、通話履歴収集は合理的で合憲であるとの判断を示した。
またポーレイ判事は、NSAが米中枢同時テロ前に米国内にいた実行犯がイエメンにかけた電話を海外で傍受していながら、発信場所を特定できなかったために実行犯が海外にいると誤認したと指摘。通話履歴収集が行われていれば、実行犯が米国内にいる事実を米連邦捜査局(FBI)に通報できたかもしれないなどとして、NSAの活動の有効性を認めた。
一方、ポーレイ判事は米国内でNSAの活動の是非をめぐる議論が続いていることを踏まえ、通話履歴収集を行うべきかどうかはホワイトハウスや議会の判断に委ねるとした。