【日曜経済講座】破綻した中国の経済成長モデル 編集委員・田村秀男  | 毎日のニュース

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 ■「日本取り込み」作戦の公算

 厳戒の北京で、9日から4日間の予定で中国共産党の第18期中央委員会第3回総会(3中総会)が開催中だ。主要議題は「広範囲で大胆な経済改革」という。1970年代末以来、堅持してきた高度経済成長モデルのほころびがひどい。汚職腐敗、貧富の格差、不動産・金融バブル、さらに環境破壊と問題が噴出し、成長も行き詰まってきた。さて、どうする。

 3中総会前には、北京の天安門前でウイグル族とされる容疑者による車両突入・炎上事件や、山西省太原市の省共産党委員会庁舎前での連続爆発事件が起きた。農民などの暴動や各種抗議活動は1日当たり数百件起きている。

 これまで、一党支配体制の存続の鍵は経済成長にかかっていると党中央は判断してきた。党指令によって人民銀行がお札を刷り、資金を重点配分すれば投資を増やせる。人民元レートを安い水準に誘導すれば輸出も伸びるのだ。だが、この成長の方程式はここにきて狂いっ放しだ。

 2008年9月の「リーマン・ショック」を受け、輸出が打撃を受けると、当時の胡錦濤政権は国有商業銀行が融資を一挙に3倍に増やした。地方の党幹部は不動産開発の受け皿会社を相次いでつくり、農地を潰して高層ビル群を建設する。上海など大都市郊外はもちろん、住宅需要の少ない内陸部でも高層住宅建設ラッシュが起きた。中国は固定資産投資主導で、世界で最も早く、リーマン不況を乗り切ったが、その成功プロセスはがん細胞を増殖させた。汚職腐敗の横行である。