生態系保護 船バラスト水浄化を支援 政府、装置導入で税制検討 | 毎日のニュース

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 政府は8日、船舶が船体を安定させるため、タンクに取り込む海水(バラスト水)の浄化装置導入を促す税制の導入に向けた検討に入った。1隻当たり平均2億円に及ぶ装置購入費の一部を法人税から割り引く「税額控除」か、初年度に償却費の多くを費用に計上して税負担を減らす「特別償却」を選べるようにする。バラスト水は、取水地と別の海域で排出されるためプランクトンなどの外来種が拡散し、生態系を破壊すると問題視されている。浄化装置の導入を促し対策を加速する狙いだ。

 制度は平成26年度から28年度までの時限措置となる見込み。年末に与党がまとめる26年度の税制改正大綱に盛り込むことを目指す。

 船舶は積み荷の重量で喫水が上がり、船体が安定する。だが、荷降ろし後は船の重心が上がり転覆しやすい状態となるため、荷を陸揚げする際にバラスト水を取り込み、荷積みの際に排出している。

 バラスト水に含まれた水生生物が「望まれざる密航者」として他国の海域で繁殖し、生態系を破壊する恐れがある。日本でも赤潮の原因となる有害藻類などが侵入しているという。

 国際海事機関(IMO)は16年にバラスト水管理条約を採択し、27年上期にも発効される。日本も条約に基づき国内法を整備する方向で調整している。法律で浄化装置の設置が義務付けられれば、取り付け工事が集中し、造船所で対応できない可能性がある。優遇税制で設置の前倒しを促し、国内での装着率向上につなげる。国土交通省によると、国内海運事業者が保有する外航船は約2千隻にのぼる。