【点検 経済対策】消費税率8%へ(4)成長につなげる税制 出資環境整えベンチャー育成 | 毎日のニュース

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 「まさに、未来への投資だ」。安倍晋三首相は、消費税率の引き上げを表明した1日の会見で、経済対策に盛り込んだベンチャー投資や再編促進を促す税制に強い自信を示した。対策の柱として打ち出された、賃上げ企業に対する減税や設備投資減税が当面の国内景気を下支えする「即効性」のある対策とすれば、ベンチャー投資減税などは、日本経済の将来の担い手を生み出す可能性を秘めた「未来」に向けた減税策だ。

 平成28年度末までの期間限定で導入する「ベンチャー投資促進税制」は、ベンチャー企業に投資した企業を対象に、出資金の損失に備えた準備金を経費(損金)に算入して税金が抑えられる仕組みとした。企業が新興企業に出資しやすい環境をつくり、ベンチャー企業の育成につなげる。

 産業の新陳代謝につなげる税制も導入する。「事業再編促進税制」がそれ。再編を行った企業が新会社をつくる際に登録免許税率を半減する仕組みを採用。税制で再編を後押しし、競争力の強化につなげる狙い。

 「技術立国」の将来を支える「研究開発減税」も拡充する。適用期限を28年度末まで3年延ばし、研究開発費を過去3年の平均より5%超~30%増やした企業を対象に、増加額に応じて5~30%の税金を割り引く仕組みとする。

 一方、今回の対策では法人税の実効税率の引き下げは、税制改正大綱に「速やかに検討を開始する」と明記されるのにとどまった。

 ただアジアや欧州の各国に比べて高い水準にある日本の法人税の実効税率引き下げは、安倍首相が唱える「国際競争に打ち勝ち、世界から日本に投資を呼び込む」環境づくりには欠かせない。今後の議論の中で税率引き下げを、検討から実行の段階に移せるか。政権の本気度が問われる。