【中高生のための国民の憲法講座】第6講 「世界唯一の平和憲法」は誤り 西修先生 | 毎日のニュース

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 「日本国憲法は、世界で唯一の平和憲法である」。これも「神話」です。私は、世界の188の憲法典を調べてみました。その結果、158(84%)の憲法典に平和条項がおかれていることがわかりました。

 ◆戦争放棄し兵役の義務

 規定の仕方はいろいろありますが、たとえば日本国憲法第9条1項とおなじように、「国際紛争を解決する手段としての戦争放棄」は、イタリア(1947年)とアゼルバイジャン(1995年)の憲法にあります。日本国憲法と大きく違うのは、これら両国の憲法には、兵役の義務規定があることです。「国際紛争を解決する手段としての戦争放棄」は、自衛権の行使を否定しておらず、自衛のために、軍隊をもつことは許されていると解釈されているのです。これが、国際的に合意された解釈です。

 また、侵略戦争の否認・禁止を定めている憲法として、ドイツ基本法(1949年)や韓国憲法(1987年)などがあります。両国も、軍隊をもち、兵役の義務規定をおいています。

 近年、核兵器・生物兵器・化学兵器を作らない、使用しないことを明記する憲法も増えてきています。1991年のコロンビア憲法や1993年のカンボジア憲法などです。核兵器をもっているのではないかと疑われ、戦争にまで発展したイラクでは、サダム・フセイン政権が倒れたのちに制定された2005年の憲法は、これらの兵器の開発・製造を明白に禁止する規定を導入しました。